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しおりを挟む丘の教会から二人は、屋根のない特注の馬車に乗り込んだ。
花で飾られた街中を、お披露目会としてゆっくりと進みながら城に向かって行った。
花びらが舞う中。
大勢の民から祝福され、二人は笑顔で手を振っていた。
ジークは、隣に座っているローズマリーの腰を手で引き寄せて密着していた。
ローズマリーは、離れようとした。
しかし。力をこめられ更に引き寄せられた。「少しでも離れることを許さない」といわれているようだった。
そういうやり取りを、馬車の中ではやられていたが。
はたから見れば~
愛し合っていて、お互いに少しでも離れたくないように見えた。
若い娘達は「キャ~キャ~」と叫んだり。
「あんな素敵な王太子に、あんなに愛されて幸せね。」
「うらやましいわ~。」とあちこちで話していた。
若者達は~美しい花嫁を見て
ぼーっとしたり、見つめたりしていると。
王太子と目が合い。今にも殺されそうな視線を感じ、直ぐに目をそらした。
あちらこちらで
「見て見て。仲が良くていいわね。」
「こっちが見てて恥ずかしくてなるぐらいの。ラブラブだな」
「次世代も安泰だな。世継ぎも直ぐに生まれそうだ。」
「そうだな。」
「幸せになってほしいわね。」
「「そうだね。」」
馬車がある若い娘の前を通りすぎると~
ボソッと「なんで?マリーナ様でなくて姉のローズマリーなのよ。あんなにお似合いだったのに。まさか~王太子を体で誘惑したの?ローズマリーに王太子妃は~」と言いかけた瞬間。後ろから黒いローブを着た男達に連れて行かれた。
その後。その娘を街で見かけた者は誰もいない。
無事に馬車は城に到着した。
それまでに~
何人の者が街から消えたかは~わからない。
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