~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩

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先にジークが降りた。
そして~手を差し出しローズマリーがゆっくりと降りた。

ジークがローズマリーの耳元で
「抱いていこうか?距離も長いし、歩くの辛いだろう?」と抱きかかえようとしたが。

「大丈夫です。自分の足で歩いて行きます。」と返事をすると

「フ。抱きかかえて行きたかったが。ま、今回は良いか。」とゆっくりと。寄り添いながら、謁見の間を目指した。

後ろからは、侍女長や専属の護衛騎士達が二人を見守りながら歩いていた。

扉が開いた。
そして。王座に座っている王と王妃がいる場所まで、赤い絨毯の上をローズマリーは左足を引きづりながら歩いた。
杖はあるが使わずに、ジークの腕に掴まっていた。

ジークはローズマリーの歩く速さに合わせながら、ゆっくりとゆっくりと歩いた。

ジークはそんなローズマリーを見ながら。
周りには気付かれないように。
ニヤリとしていた。
やっと手に入れた喜びを噛み締めていた。

王と王妃の前に二人は跪く。
(ローズマリーには、特注フカフカクッションが置いてある。)

「私。春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリングは、教会の女神の像の前で誓いをたて、祝福を受けました。はれてローズマリー=ローバー改め。ローズマリー=スノーフレーク=スプリングと夫婦になりました。一生。ローズマリーを私のただ一人の妃として、いかなる理由ですとも側妃はもちません。
力を合わせて、民が幸せになる。そして。さらなる繁栄を目指す事を、ここに誓います。」

周りにいる大臣や呼ばれていた貴族からは

「おめでとうございます。」
「流石。我らの王太子だ。」と
お祝いの言葉と、王太子を称える声が聞こえた。

王と王妃は、息子が幸せにしている姿は親として喜ばしい。

それに~妃になったローズマリーが、義理の娘になったのも嬉しい。

しかし。素直に喜べない、複雑な気持ちも二人にはあった。

そして。本来ならば、家族としてこの場に居るはずのローズマリーの両親。妹のマリーナは、ここにはいない。

しかし。何故いないのか?
それを口にする者はいなかった。


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