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伯爵家からのお迎え。
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明けて翌日。
ヒューブはギルマスに言われたとおりに午後からは宿から一歩ま外に出ていなかった。
ミラティランド伯爵から名誉騎士爵に叙爵されるからだ。
「面倒だな、面倒だな、面倒だなぁ」
もう数えるのが馬鹿らしくなるくらいに「面倒だ」と呟いている。
正直言って、名誉爵だろうが何だろうが貴族に取り立てられるのは本当に面倒臭い事ばかりで、貴族同士のお茶会なんてしている暇は今のヒューブには欠片もないからだ。
「ったく。伯爵様も余計な事をしてくれるよなぁ…いっその事断っちまうかな」
そうは思うが、できるものならそうしたい。叙爵を辞退してただの冒険者として生きていきたい。
自由で楽しい人生を過ごしたい。
村の皆んなの分までな。
「どうなってんのかな。アソコは」
思いを馳せていたら、ドアがノックされた。
「ヒューブお兄ちゃん。お迎えが来たよ」
「そっか。分かったよ。ありがとね」
看板娘のノエルちゃん、通称ノンちゃんが伯爵様からの迎えが来たと教えてくれた。
ノンちゃんは猫獣人族の女の子だ。
ヒューブより三つ下の十歳で、いつもお家のお手伝いをしている元気で可愛い女の子なのだが…何だか今日は朝から元気がないっぽい。
どうしたのかなと心配していたのだが、
「ヒューブお兄ちゃん。お貴族様になるの?」
「うん。一応ね」
「もうバイバイなの?」
「ん?何でバイバイなの?」
「だって、お貴族様になったら大きな御屋敷に住んで、たくさんの使用人を雇って暮らすんでしょ?だから、もうここには来ないんでしょ?」
あ~、成る程。
元気がないのはソレが原因だったか。
確かに貴族になるとノンちゃんの言うような暮らしをするものだが、ヒューブの場合は少し違う。
叙爵されるとは言うものの、名誉爵位なので領地や屋敷は下賜されないし、多分幾らかのご褒美金を貰うだけだろう。
だけどまだ子供のノンちゃんにはその辺の事が分かっていないようで、
「貴族=御屋敷住まいの大金持ち」
というイメージなのだろう。
「あのね、ノンちゃん。お兄ちゃんは確かに貴族にはなるけど、御屋敷も使用人も無いんだよ?」
「え?だって、お貴族様なんでしょ?」
「そうだよ。確かに貴族だよ。でもね、お兄ちゃんは肩書き…格好だけのお貴族様なんだよ」
「格好だけ…それじゃ、帰ってくる?」
「勿論さ。だから、荷物だってまとめてないでしょ?」
「そういえば…」
「それとも、ノンちゃんはお兄ちゃんに出ていけって言うの?」
「え!?そ、そんな事言ってないよ。帰ってき、ちょ、お兄ちゃん、泣かないで泣かないでーーー!」
「イヤイヤ、イヤイヤ。ノンちゃんがイジメる、ノンちゃんがイジメるーーーー!わーーん、ノンちゃんのイジメっ子ーーー!!」
ヒューブが泣きだすとノンちゃんは慌てに慌てて、大慌てする。
「わ、わーー。大変、大変!お兄ちゃん、ノンちゃんごめんなさいする、ごめんなさいする」
「ヤーーーーッ!」
「良い子良い子したげるから」
「ヤーーーー ッ!」
「ギューーってしたげるから」
「ヤーーーーッ!」
「ほっぺにチューーしたげるから」
「全部してくれなきゃヤーーーッ!」
「うん。全部したげるから泣かないで」
「分かった。なら、泣くのやめる~」
中々泣き止まないヒューブだったが、それは全部、お芝居だった。
「あ、あーーーーッ!お兄ちゃん、嘘泣きーーーーーッ!!」
「んにゃはははははーーー。涙を武器にするのは女の子だけじゃないんだよ~」
「む~、インチキ、インチキ!」
ノンちゃんはほっぺを膨らませるが、約束は約束だ。
「お兄ちゃんのエッチ!」
ヒューブの頭を撫でて、ギューーッと抱きしめて、ほっぺにチューーをするノンちゃんの顔は真っ赤になっていた。
ヒューブはクスクスと笑いながら、
「それじゃあ、行ってきます」
「はい。いってらっしゃい」
まるで若夫婦のような遣り取りに、宿にいた人達は温かい眼差しで見ていた。
伯爵家の馬車にのったヒューブは、使者の執事さんに一通りの礼儀作法を教えてもらったので、失礼のないようにしなければと頭の中で何度も何度もイメトレした。
気になっていたヴェランザ男爵の事を聞いたら、執事さんことレイムさんは苦虫を噛んだみたいな顔で色々と教えてくれた。
その色々は…本っ当にクソくだらない事ばっかりだった。
思わず、
「決闘になったら、ブッ殺しても良いんですよね?」
と聞いてしまったくらいだ。
執事のレイムさんは明言を避けはしたが、否定もしなかった。
口にはできないが、本音は殺ってくれと思っているのだろう。口の端が少しだけ緩んでいた。
ヒューブはギルマスに言われたとおりに午後からは宿から一歩ま外に出ていなかった。
ミラティランド伯爵から名誉騎士爵に叙爵されるからだ。
「面倒だな、面倒だな、面倒だなぁ」
もう数えるのが馬鹿らしくなるくらいに「面倒だ」と呟いている。
正直言って、名誉爵だろうが何だろうが貴族に取り立てられるのは本当に面倒臭い事ばかりで、貴族同士のお茶会なんてしている暇は今のヒューブには欠片もないからだ。
「ったく。伯爵様も余計な事をしてくれるよなぁ…いっその事断っちまうかな」
そうは思うが、できるものならそうしたい。叙爵を辞退してただの冒険者として生きていきたい。
自由で楽しい人生を過ごしたい。
村の皆んなの分までな。
「どうなってんのかな。アソコは」
思いを馳せていたら、ドアがノックされた。
「ヒューブお兄ちゃん。お迎えが来たよ」
「そっか。分かったよ。ありがとね」
看板娘のノエルちゃん、通称ノンちゃんが伯爵様からの迎えが来たと教えてくれた。
ノンちゃんは猫獣人族の女の子だ。
ヒューブより三つ下の十歳で、いつもお家のお手伝いをしている元気で可愛い女の子なのだが…何だか今日は朝から元気がないっぽい。
どうしたのかなと心配していたのだが、
「ヒューブお兄ちゃん。お貴族様になるの?」
「うん。一応ね」
「もうバイバイなの?」
「ん?何でバイバイなの?」
「だって、お貴族様になったら大きな御屋敷に住んで、たくさんの使用人を雇って暮らすんでしょ?だから、もうここには来ないんでしょ?」
あ~、成る程。
元気がないのはソレが原因だったか。
確かに貴族になるとノンちゃんの言うような暮らしをするものだが、ヒューブの場合は少し違う。
叙爵されるとは言うものの、名誉爵位なので領地や屋敷は下賜されないし、多分幾らかのご褒美金を貰うだけだろう。
だけどまだ子供のノンちゃんにはその辺の事が分かっていないようで、
「貴族=御屋敷住まいの大金持ち」
というイメージなのだろう。
「あのね、ノンちゃん。お兄ちゃんは確かに貴族にはなるけど、御屋敷も使用人も無いんだよ?」
「え?だって、お貴族様なんでしょ?」
「そうだよ。確かに貴族だよ。でもね、お兄ちゃんは肩書き…格好だけのお貴族様なんだよ」
「格好だけ…それじゃ、帰ってくる?」
「勿論さ。だから、荷物だってまとめてないでしょ?」
「そういえば…」
「それとも、ノンちゃんはお兄ちゃんに出ていけって言うの?」
「え!?そ、そんな事言ってないよ。帰ってき、ちょ、お兄ちゃん、泣かないで泣かないでーーー!」
「イヤイヤ、イヤイヤ。ノンちゃんがイジメる、ノンちゃんがイジメるーーーー!わーーん、ノンちゃんのイジメっ子ーーー!!」
ヒューブが泣きだすとノンちゃんは慌てに慌てて、大慌てする。
「わ、わーー。大変、大変!お兄ちゃん、ノンちゃんごめんなさいする、ごめんなさいする」
「ヤーーーーッ!」
「良い子良い子したげるから」
「ヤーーーー ッ!」
「ギューーってしたげるから」
「ヤーーーーッ!」
「ほっぺにチューーしたげるから」
「全部してくれなきゃヤーーーッ!」
「うん。全部したげるから泣かないで」
「分かった。なら、泣くのやめる~」
中々泣き止まないヒューブだったが、それは全部、お芝居だった。
「あ、あーーーーッ!お兄ちゃん、嘘泣きーーーーーッ!!」
「んにゃはははははーーー。涙を武器にするのは女の子だけじゃないんだよ~」
「む~、インチキ、インチキ!」
ノンちゃんはほっぺを膨らませるが、約束は約束だ。
「お兄ちゃんのエッチ!」
ヒューブの頭を撫でて、ギューーッと抱きしめて、ほっぺにチューーをするノンちゃんの顔は真っ赤になっていた。
ヒューブはクスクスと笑いながら、
「それじゃあ、行ってきます」
「はい。いってらっしゃい」
まるで若夫婦のような遣り取りに、宿にいた人達は温かい眼差しで見ていた。
伯爵家の馬車にのったヒューブは、使者の執事さんに一通りの礼儀作法を教えてもらったので、失礼のないようにしなければと頭の中で何度も何度もイメトレした。
気になっていたヴェランザ男爵の事を聞いたら、執事さんことレイムさんは苦虫を噛んだみたいな顔で色々と教えてくれた。
その色々は…本っ当にクソくだらない事ばっかりだった。
思わず、
「決闘になったら、ブッ殺しても良いんですよね?」
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