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ただ、私とカツドンが婚約してからというもの、カツドンの国の災害は急激に減った。その国はもともと比較的自然災害の多い国で、地震大雨台風などと色々な災害に襲われることが珍しくなかった。しかし、婚約してからというもの、そういう災害はぴたりとやんだ。
それに気づいた人の中には、私の力が本物なのではないかと考えてくれる人もいた。
だが、それはかなり少数で、ほとんどの人たちは私の力だとは理解しない。偶然だろう、運が良かった、そんな風に考えるだけ。
そんな状態のまま、時が過ぎてゆく。
◆
婚約から数ヶ月、ある静かな夜に私はカツドンから呼び出された。
私は彼のところへ行く。
彼の傍らには数名の女性。使用人の中の比較的地位が高い人たちが、カツドンに身を寄せ、そっと寄り添っている。年齢は、四十代から十代後半まで。中には見かけたことがある女性もいた。
「いきなり悪いね、マレイさん」
「何でしょうか?」
「実は婚約破棄させてもらいたいのだけど。いいかな」
「えっ」
唐突過ぎてすぐには理解できない。
「僕は親の指示で仕方なく君を婚約者にした。でもやっぱり、こんなのは我慢できないよ。愛しているわけでもない人と一緒に生きていくなんて無理だよ」
使用人の服を着たまま髪を下ろしその髪の先でカツドンの頬を撫でるのは、四十代くらいの大人びた女性。彼女は、愛する孫を見つめているかのような目つきで、カツドンの頬を優しく撫でる。
「それに、君が国守りの娘だなんて、何かの間違いだよね?」
「いえ。間違いではありません」
否定すると、カツドンは急に表情を固くする。
「本当に? 嘘をつくのはやめてよ。本当に間違いでないと言ってる?」
それに気づいた人の中には、私の力が本物なのではないかと考えてくれる人もいた。
だが、それはかなり少数で、ほとんどの人たちは私の力だとは理解しない。偶然だろう、運が良かった、そんな風に考えるだけ。
そんな状態のまま、時が過ぎてゆく。
◆
婚約から数ヶ月、ある静かな夜に私はカツドンから呼び出された。
私は彼のところへ行く。
彼の傍らには数名の女性。使用人の中の比較的地位が高い人たちが、カツドンに身を寄せ、そっと寄り添っている。年齢は、四十代から十代後半まで。中には見かけたことがある女性もいた。
「いきなり悪いね、マレイさん」
「何でしょうか?」
「実は婚約破棄させてもらいたいのだけど。いいかな」
「えっ」
唐突過ぎてすぐには理解できない。
「僕は親の指示で仕方なく君を婚約者にした。でもやっぱり、こんなのは我慢できないよ。愛しているわけでもない人と一緒に生きていくなんて無理だよ」
使用人の服を着たまま髪を下ろしその髪の先でカツドンの頬を撫でるのは、四十代くらいの大人びた女性。彼女は、愛する孫を見つめているかのような目つきで、カツドンの頬を優しく撫でる。
「それに、君が国守りの娘だなんて、何かの間違いだよね?」
「いえ。間違いではありません」
否定すると、カツドンは急に表情を固くする。
「本当に? 嘘をつくのはやめてよ。本当に間違いでないと言ってる?」
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