ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

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第114話 二人の名誉

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王宮に着くなり急ぎ父上の居る執務室へと向かった。

途中でパタパタと動き回っているアリシアに会った。

「アリシア、久しぶりだな。元気にしてたか? グランプロス帝国で良い肉が手に入ったんだ。あとで取りに来てくれ」

「――!? 何ですか、そのジジィみたいな頭は?」

アリシアは目を大きく見開き、僕の頭に指を差した。

「それは白髪じゃねぇーよ! よく見ろ。銀髪だ、!」

「私はすっかり、精神をられたかと思いましたよ。アレク様は何かと苦労の多い人生だなぁと」

「まあ、色々とあったからな」

「そうですか。あっ、忘れてました。ルナール様達が心配してましたから、その醜いお顔でもお見せした方が良いですよ」

「醜いお顔って…… ――分かった。近いうちに学園に行くから、その時に出しておくよ」

「それでは、私の方からルナール様達にお伝えしておきますね」

「ああ、頼んだよ」

アリシアと別れ、父の元へと急いだ。





執務室には父上、母上、宰相、外務大臣が僕を公開処刑にでもしようかと、首を長くして待ち構えていた。

「父上、母上。ただいま戻りました」

「アレクよ、大義であった。お前の活躍、カルイとギョシンから聞いているぞ。しかし、プフッ その髪…… 似合わないなあ~ すぐ死ね ぐへへへ」

「……………………」

父上は開口一番に僕をディスり始めた。

「プフッ いい年してグレるとか、あり得ないわ~ 全然似合わねぇ~し ダセ~し このクズ 早く死ね グホホホ」

「……………………」

母上も父上のディスりウェーブに乗っかった。

「まったくアレク様には、プフッ ご苦労させられておりますなぁ~ この場で死ね ゲホホホ」

「……………………」

母上のディスりウェーブに宰相も乗って来やがった。

「プフッ まぁ、若気の至りってヤツですかなぁ~ まだまだお若い とりあえず死ね ゲフフフ」

「……………………」

宰相のディスりウェーブに外務大臣も乗っかって来やがった。

これで労いのディスり大会は終了した。普通に褒めてくれても良いのに…… この人たちは人をディスらないと死んでしまう病気なの? それとも人間のクズなの?







「まさか、ケーリンネガー王国とグランプロス帝国を族滅して帰って来るとは思わなかったぞ。これでフロンガスター王国は超大国となったのだが、お前に褒美を出そうと思うが、何かあるか?」

父上は上機嫌で僕におねだりをしても良いと言ってきた。僕としては全力でおねだりするつもりだ。

「父上、母上、お願いがあります。グランプロス帝国皇太子アイスキー・アール・デレモントとケーリンネガー王国第二王女ユリアラ・カント・ジャングスターの名誉回復をお願い致します」

僕は座っていたソファーから離れ、スライディング土下座をした。

「彼らは、グランプロス皇帝とケーリンネガー国王の犠牲者です。我が親友達の名誉回復を是非にお願い致します。あと、グランプロス帝国とケーリンネガー王国の一日では早い復興をお願い致します!」

僕は絨毯に額を擦り付けた。

「ギョシンとウィザードから聞いている。壮絶な決闘のだったらしいな」

すでに、ギョシン騎士師団長とウィザード魔法師団長から決闘の事を聞いていたのか、決闘の話を振ってきた。

「今までいろいろな強敵ヒロイン共と手合わせ(精神的に)して来ましたが、その中でも断トツに強かったです(物理的に)。もしかしたら、この場に僕は居なかったかもしれません! それほどの強敵ともでした。ユリアラ王女もまた、アイスキーを一途な愛に生きた女性ひとでした。もはや、恨み辛みもありません。彼らの名誉回復と復興だけが、僕の一番の望みです」

父上に再度、頭を下げておねだりをした。

「うむ、分かった。アイスキー・アール・デレモント、ユリアラ・カント・ジャングスター両名の名誉回復とケーリンネガー王国、グランプロス帝国の復興で良いのだな。具体的にはどうするか考えているのか?」

「はい。アイスキーは国民からの絶大な支持を得ております。今後の我らの統治を考えますと。アイスキーはグランプロス帝国皇帝の悪行を断罪し、グランプロス帝国国民を護るために闘い、惜しくも敗れた。親愛なる偉大な新皇帝アイスキー・アール・デレモントとして祭り上げましょう。ユリアラ王女もケーリンネガー王国旧国王の悪行に翻弄され、一途な愛に生きアイスキー新皇帝を支えた慈悲なる皇后としては、どうでしょうか?」

「前皇帝と旧国王を悪として、アイスキーとユリアラを国民達の心の寄る辺とするのだな」

「はい。その通りです。父上」

「しかし、その二人を死に追いやった、お前は極悪人として汚名を被る事になるが、それで良いのか?」

「はい。その覚悟は出来ております。彼らの名誉が回復出来るのであれば、僕は甘んじて悪名を被りましょう」

父上はそんな僕を静かに見守っていた。
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