113 / 148
第113話 ざまぁにはざまぁでお返し致します
しおりを挟む
ギョシン司令官とウィザード副司令官は、二人の亡骸を運び終わると、僕を残し静かに謁見の間を出て行った。
僕はその場に膝を抱え座り込み、このやるせない気持ちを、どこにぶつければいいのか分からなくなってしまった。
もし、ユリアラが不倫バレした汚嫁のように
『ごめんなさい。(謝るなら最初からしなければいいのに)
遊びだったの。(最低な遊びだね)
寂しかったの。(寂しいと他の男のところに行くんですね?)
もう二度としないから。(今後するしないでなく今したことが問題なんですが)
別れるのだけはいや。(このまま続けるのだけはいやです)
あの男に騙された。(僕を騙したのはあなたです)
私は被害者なの。(僕が被害者で、あなたが加害者です)
私は悪くない。(悪いのはあなたです)
あなたを一番愛しているの。(二番目がいるのですか? あなたの愛とは?)
だから私たちはやり直せるはず。(無理です。離婚の一択です)
だって私たちは愛し合ってるんだから。(前は愛していたが、今は愛していない)
私にはあなたしかいないの。(ATMは必要だもんね。でもATMになるのはごめんだ)
愛し合った仲だったじゃない。私を助けて。(他人になる人を助ける義務はありません)
慰謝料払えとか財産放棄をしろとか言わないで、あなたの大きな愛で包んで欲しいの。(寝言は眠てからにして下さい)
あなたとの子供が欲しい。(汚らしいあなたとの子供はいらないです)
今ならあなたの子供を産んであげる。(ご遠慮します)
ひとりにしないで。(ばかだなー、お前には間男がいるじゃないかー)』
なんて言われた方が、コイツは人間のクズ以下のクズだとして割りきれていたのに…… 最後のごめんはキツすぎる。どう考えても許すしか無いだろう…… 自己満足の卑怯者が……
アイスキー、お前もお前だ。皇族の責任とか、義務とか、そんなプライドなんて捨て切れていたら、ユリアラと幸せになれたのに…… なんでそんなくだらないものに固執するんだよ。チキショー……
僕の提案した妥協案が良くなかったのか、もしかしたら言い回しが悪かったのか、エムタイや酔拳を学ばなければ良かったのか、ヒロインたちに打倒ヒロインなんて言わずに無視をしてれば良かったのか、ヒロインたちに悪態をつかないで、イチャイチャハーレムニートをしてれば良かったのか。そうすれば、グランプロス帝国にもケーリンネガー王国にも関係の無い暮らをして行けたかも知れない……
そうしていたら、あの二人を死なせる事は無かったかも知れない。僕にチートスキルやチートギフト、チート魔法があったら…… こんな事にはならなかっのか…… そもそも転生した自分の存在自体が間違っていたのか……
「自分自身が分からなくなってしまった。教えてくれよ。アイスキー、ユリアラ……」
いくらアイスキーとユリアラを責めても、もう二人はこの世にいない……
分かっている事は二人は死に、僕が生き残った。それだけだ。アイスキー…… ユリアラ…… 僕は生きて生き抜いて、必ず幸せになったやるからな。君たち二人が出来なかった幸せを…… 僕は君たちの代わりに絶対幸せになってやるからな。約束だ……
それとユリアラ。君は婚約破棄の時に、僕に『ざまぁ』と言ってたよな。君はアイスキーの後を追い、僕は生きて幸せになることを誓った。簡単に死を選んだ君とは違って、僕は生きる…… 生きてやる…… 泥水をすすってでも生き抜いてやる。
「ユリアラ、この世で幸せになれなくて…… ざまぁ。僕は生きて必ず幸せになってやる。アイスキーと二人仲良く、僕が幸せになるところを天国で見ていろよ! ざまぁにはざまぁで返させていただくよ。このチキショーがっ!」
僕はフラフラと立ち上がり、謁見の間を出た。
あとのことは、ギョシン司令官とウィザード副司令官に任せ、僕はフロンガスターへと帰ることにした。
帰郷する前に、アイスキーとユリアラが眠る墓所に訪れた。見晴らしの良い高台で、質素な墓石が二つ仲良く並んでいる。
「今は寂しいかもしれないが、落ち着いたら必ず改葬してやるからな。それまでは、すまないがここで待っていてくれ。アイスキー、ユリアラまた会いに来るからな。またな!」
二人にそう言い残し、ある決意を胸にフロンガスターへと向かった。
◇
フロンガスターに着くと王宮の者たちは、僕の金髪から銀髪に変わり果てた姿に絶句していた。
特に宮門の門衛は僕を見て、こともあろうに
「アレク様お帰りなさいませ。おやっ!? その髪形は?」
「いや~ あっちで色々あってね」
門衛の質問に適当に答えると、
「わかりましたぞ! 思春期特有の中二病ですね? 眼帯なんかしてたら完璧なんですけどね。アレク様も、まだまだ精進が足りませんなぁ~ まぁ、私とのキャリアの差がありますから。これから精進を重ねて下さいね」
「違うよ。僕は中二病患者じゃないから!」
中二病を否定すると、今度は
「あっ~ あれですか。反抗期ですか? アレク様が今頃、反抗期真っ最中だったとは…… グレるの良いですが、ホドホドにしておいて下さいね」
「……………………」
僕は無言のまま宮門をあとにした。
――この国の連中は王族に対しての尊敬と礼儀が足りないのではないか? まさか僕はなめられているのでは…… もし、僕が鎌倉武士の子孫だったら、なめた時点で殺されているぞ。
僕はその場に膝を抱え座り込み、このやるせない気持ちを、どこにぶつければいいのか分からなくなってしまった。
もし、ユリアラが不倫バレした汚嫁のように
『ごめんなさい。(謝るなら最初からしなければいいのに)
遊びだったの。(最低な遊びだね)
寂しかったの。(寂しいと他の男のところに行くんですね?)
もう二度としないから。(今後するしないでなく今したことが問題なんですが)
別れるのだけはいや。(このまま続けるのだけはいやです)
あの男に騙された。(僕を騙したのはあなたです)
私は被害者なの。(僕が被害者で、あなたが加害者です)
私は悪くない。(悪いのはあなたです)
あなたを一番愛しているの。(二番目がいるのですか? あなたの愛とは?)
だから私たちはやり直せるはず。(無理です。離婚の一択です)
だって私たちは愛し合ってるんだから。(前は愛していたが、今は愛していない)
私にはあなたしかいないの。(ATMは必要だもんね。でもATMになるのはごめんだ)
愛し合った仲だったじゃない。私を助けて。(他人になる人を助ける義務はありません)
慰謝料払えとか財産放棄をしろとか言わないで、あなたの大きな愛で包んで欲しいの。(寝言は眠てからにして下さい)
あなたとの子供が欲しい。(汚らしいあなたとの子供はいらないです)
今ならあなたの子供を産んであげる。(ご遠慮します)
ひとりにしないで。(ばかだなー、お前には間男がいるじゃないかー)』
なんて言われた方が、コイツは人間のクズ以下のクズだとして割りきれていたのに…… 最後のごめんはキツすぎる。どう考えても許すしか無いだろう…… 自己満足の卑怯者が……
アイスキー、お前もお前だ。皇族の責任とか、義務とか、そんなプライドなんて捨て切れていたら、ユリアラと幸せになれたのに…… なんでそんなくだらないものに固執するんだよ。チキショー……
僕の提案した妥協案が良くなかったのか、もしかしたら言い回しが悪かったのか、エムタイや酔拳を学ばなければ良かったのか、ヒロインたちに打倒ヒロインなんて言わずに無視をしてれば良かったのか、ヒロインたちに悪態をつかないで、イチャイチャハーレムニートをしてれば良かったのか。そうすれば、グランプロス帝国にもケーリンネガー王国にも関係の無い暮らをして行けたかも知れない……
そうしていたら、あの二人を死なせる事は無かったかも知れない。僕にチートスキルやチートギフト、チート魔法があったら…… こんな事にはならなかっのか…… そもそも転生した自分の存在自体が間違っていたのか……
「自分自身が分からなくなってしまった。教えてくれよ。アイスキー、ユリアラ……」
いくらアイスキーとユリアラを責めても、もう二人はこの世にいない……
分かっている事は二人は死に、僕が生き残った。それだけだ。アイスキー…… ユリアラ…… 僕は生きて生き抜いて、必ず幸せになったやるからな。君たち二人が出来なかった幸せを…… 僕は君たちの代わりに絶対幸せになってやるからな。約束だ……
それとユリアラ。君は婚約破棄の時に、僕に『ざまぁ』と言ってたよな。君はアイスキーの後を追い、僕は生きて幸せになることを誓った。簡単に死を選んだ君とは違って、僕は生きる…… 生きてやる…… 泥水をすすってでも生き抜いてやる。
「ユリアラ、この世で幸せになれなくて…… ざまぁ。僕は生きて必ず幸せになってやる。アイスキーと二人仲良く、僕が幸せになるところを天国で見ていろよ! ざまぁにはざまぁで返させていただくよ。このチキショーがっ!」
僕はフラフラと立ち上がり、謁見の間を出た。
あとのことは、ギョシン司令官とウィザード副司令官に任せ、僕はフロンガスターへと帰ることにした。
帰郷する前に、アイスキーとユリアラが眠る墓所に訪れた。見晴らしの良い高台で、質素な墓石が二つ仲良く並んでいる。
「今は寂しいかもしれないが、落ち着いたら必ず改葬してやるからな。それまでは、すまないがここで待っていてくれ。アイスキー、ユリアラまた会いに来るからな。またな!」
二人にそう言い残し、ある決意を胸にフロンガスターへと向かった。
◇
フロンガスターに着くと王宮の者たちは、僕の金髪から銀髪に変わり果てた姿に絶句していた。
特に宮門の門衛は僕を見て、こともあろうに
「アレク様お帰りなさいませ。おやっ!? その髪形は?」
「いや~ あっちで色々あってね」
門衛の質問に適当に答えると、
「わかりましたぞ! 思春期特有の中二病ですね? 眼帯なんかしてたら完璧なんですけどね。アレク様も、まだまだ精進が足りませんなぁ~ まぁ、私とのキャリアの差がありますから。これから精進を重ねて下さいね」
「違うよ。僕は中二病患者じゃないから!」
中二病を否定すると、今度は
「あっ~ あれですか。反抗期ですか? アレク様が今頃、反抗期真っ最中だったとは…… グレるの良いですが、ホドホドにしておいて下さいね」
「……………………」
僕は無言のまま宮門をあとにした。
――この国の連中は王族に対しての尊敬と礼儀が足りないのではないか? まさか僕はなめられているのでは…… もし、僕が鎌倉武士の子孫だったら、なめた時点で殺されているぞ。
10
あなたにおすすめの小説
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!
MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!
笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる