ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

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第113話 ざまぁにはざまぁでお返し致します

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ギョシン司令官とウィザード副司令官は、二人の亡骸を運び終わると、僕を残し静かに謁見の間を出て行った。

僕はその場に膝を抱え座り込み、このやるせない気持ちを、どこにぶつければいいのか分からなくなってしまった。

もし、ユリアラが不倫バレした汚嫁およめのように

『ごめんなさい。(謝るなら最初からしなければいいのに)
遊びだったの。(最低な遊びだね)
寂しかったの。(寂しいと他の男のところに行くんですね?)
もう二度としないから。(今後するしないでなく今したことが問題なんですが)
別れるのだけはいや。(このまま続けるのだけはいやです)
あの男に騙された。(僕を騙したのはあなたです)
私は被害者なの。(僕が被害者で、あなたが加害者です)
私は悪くない。(悪いのはあなたです)
あなたを一番愛しているの。(二番目がいるのですか? あなたの愛とは?)
だから私たちはやり直せるはず。(無理です。離婚の一択です)
だって私たちは愛し合ってるんだから。(前は愛していたが、今は愛していない)
私にはあなたしかいないの。(ATM金づるは必要だもんね。でもATM金づるになるのはごめんだ)
愛し合った仲だったじゃない。私を助けて。(他人になる人を助ける義務はありません)
慰謝料払えとか財産放棄をしろとか言わないで、あなたの大きな愛で包んで欲しいの。(寝言は眠てからにして下さい)
あなたとの子供が欲しい。(汚らしいあなたとの子供はいらないです)
今ならあなたの子供を産んであげる。(ご遠慮します)
ひとりにしないで。(ばかだなー、お前には間男まおとこがいるじゃないかー)』

なんて言われた方が、コイツは人間のクズ以下のクズだとして割りきれていたのに…… 最後のごめんはキツすぎる。どう考えても許すしか無いだろう…… 自己満足の卑怯者が……


アイスキー、お前もお前だ。皇族の責任とか、義務とか、そんなプライドなんて捨て切れていたら、ユリアラと幸せになれたのに…… なんでそんなくだらないものに固執するんだよ。チキショー…… 

僕の提案した妥協案が良くなかったのか、もしかしたら言い回しが悪かったのか、エムタイや酔拳を学ばなければ良かったのか、ヒロインたちに打倒ヒロインなんて言わずに無視をしてれば良かったのか、ヒロインたちに悪態をつかないで、イチャイチャハーレムニートをしてれば良かったのか。そうすれば、グランプロス帝国にもケーリンネガー王国にも関係の無い暮らをして行けたかも知れない……

そうしていたら、あの二人を死なせる事は無かったかも知れない。僕にチートスキルやチートギフト、チート魔法があったら…… こんな事にはならなかっのか…… そもそも転生した自分の存在自体が間違っていたのか……


「自分自身が分からなくなってしまった。教えてくれよ。アイスキー、ユリアラ……」

いくらアイスキーとユリアラを責めても、もう二人はこの世にいない…… 

分かっている事は二人は死に、僕が生き残った。それだけだ。アイスキー…… ユリアラ…… 僕は生きて生き抜いて、必ず幸せになったやるからな。君たち二人が出来なかった幸せを…… 僕は君たちの代わりに絶対幸せになってやるからな。約束だ……

それとユリアラ。君は婚約破棄の時に、僕に『ざまぁ』と言ってたよな。君はアイスキーの後を追い、僕は生きて幸せになることを誓った。簡単に死を選んだ君とは違って、僕は生きる…… 生きてやる…… 泥水をすすってでも生き抜いてやる。

「ユリアラ、この世で幸せになれなくて…… ざまぁ。僕は生きて必ず幸せになってやる。アイスキーと二人仲良く、僕が幸せになるところを天国で見ていろよ! ざまぁにはざまぁで返させていただくよ。このチキショーがっ!」

僕はフラフラと立ち上がり、謁見の間を出た。

あとのことは、ギョシン司令官とウィザード副司令官に任せ、僕はフロンガスターへと帰ることにした。

帰郷する前に、アイスキーとユリアラが眠る墓所に訪れた。見晴らしの良い高台で、質素な墓石が二つ仲良く並んでいる。

「今は寂しいかもしれないが、落ち着いたら必ず改葬してやるからな。それまでは、すまないがここで待っていてくれ。アイスキー、ユリアラまた会いに来るからな。またな!」

二人にそう言い残し、ある決意を胸にフロンガスターへと向かった。





フロンガスターに着くと王宮の者たちは、僕の金髪から銀髪に変わり果てた姿に絶句していた。

特に宮門の門衛は僕を見て、こともあろうに

「アレク様お帰りなさいませ。おやっ!? その髪形は?」

「いや~ あっちで色々あってね」

門衛の質問に適当に答えると、

「わかりましたぞ! 思春期特有の中二病ですね? 眼帯なんかしてたら完璧なんですけどね。アレク様も、まだまだ精進が足りませんなぁ~ まぁ、私とのキャリアの差がありますから。これから精進を重ねて下さいね」

「違うよ。僕は中二病患者じゃないから!」

中二病を否定すると、今度は

「あっ~ あれですか。反抗期ですか? アレク様が今頃、反抗期真っ最中だったとは…… グレるの良いですが、ホドホドにしておいて下さいね」

「……………………」

僕は無言のまま宮門をあとにした。


――この国の連中は王族に対しての尊敬と礼儀が足りないのではないか? まさか僕はなめられているのでは…… もし、僕が鎌倉武士の子孫だったら、なめた時点で殺されているぞ。
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