ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

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第142話 密厳院発露懺悔文

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私は最強のスキル『手のひら返し』を発動させ、何とか美少女天使ユリアラ様を上機嫌へと導くことに成功した。

「もう少しで、ここから出れそうよ」

「えっ!? ホントに? 私、助かるの? 良かった~ ホントに良かったぁ~ 私、一人で心細くて本当は不安で不安でしょうがなかったの」

天使ユリアラ様の希望に満ちた一声に、安堵の表情を浮かべ、今まで抱えていた不安が自然に口から出てしまった。

「大丈夫よ。安心して」

天使ユリアラ様はまるで最高位の女神様のように微笑みを返し、私の心を落ち着かせてくれた。

「ここからはキミ一人でも大丈夫だろう」

「みんながあなたを待っているわ。さあ、急いでみんなのところに帰ってあげて」

「はい…… 最後に聞いて良いですか?」

「全ては答えられないが、私の話せる範囲であれば答えるよ(ニッコリ)」

さすがイケメン天使アイスキー様。容姿、性格、道徳心、筋肉率マッチョ。どれをとっても全てが完璧すぎる! こんな優良物件がこの世界に存在するなんて、闇堕ち女神ユリアラ様が羨ましいわ……

「あの~ どうして私を助けてくれたんですか?」

直球ど真ん中の質問をしてみた。

イケメン天使アイスキー様は何か言いにくいのか、困った表情を浮かべ、

「ん~ なんと言って良いか…… ――からキミ達への――を手伝って欲しいと頼まれたんだ」

声が小さすぎて、私には聞き取れる箇所と聞き取れない箇所があった。

「そろそろお別れだよ。キミ達も元気で」

「みなさんによろしくね。あと、あの時はごめんなさいって伝えて頂戴。あなた達はしっかりと力の強く生きていくのよ。わかった?」

「はい! わかりました! 助けてくれてありがとうございます」

二人の大天使様夫婦は満面の笑みを浮かべながら、突然、私の手を容赦なく手放した。

「キャッーー! ちるー!!」

二人が手を離した瞬間、私は真っ逆さまに堕ちていく!

その瞬間。眩い光が私を照らし、あまりの眩しさに目を閉じると……





『ガバッ』

「ハッ!」

目を開けると、そこはいつもと変わらない保健室の天井だった。

「夢…… 変な夢をみたわ」

カーテンで仕切られた隣の沙希の方を見ると、カーテン越しで彼女の影が見えた。沙希も今、起きたばかりの様子だった。

カーテンを開け、沙希と二人、互いに顔を見合わせると……

「沙希…… 私、また変な夢を見たわ」

「里香…… あなたも…… 私も暗闇の中を彷徨っていると二人の美男美女の大天使様夫婦が現れて、私を助けてくれた夢だったわ」

「ホント!? 私も同じ夢だった」

「あっ!」
「ウッ!」

突然の頭痛が私達を襲った。


私の知らない記憶が頭の中に流れ込んで来る。

バスの事故の事。

プリストの世界にマリアとして転生した事。

悪役令嬢のルナールと仲良くなり、アレク様ファンクラブ鉄則の活動であるストーカー活動でアレク様と仲良くなった事。

アレク様とユリアラ王女の婚約破棄。そして、フロンガスター王国と隣国との戦争。

ルナール、メアリー、フローラ、ミレーユ、クリスのヒロインが全員転生者だった事。

アレク様の究極魔法で私達を日本に帰してくれた事。

クリスとメアリーの2人がプリストの世界に残った事。

私の事をギャルビッチと言い放ちやがった毒舌の精霊メアリーが…… 紫音だった事。


――すべて思い出した! 最後にアレク様がプリストの世界で体験したことは全て忘れるからと…… 日本へ帰ったら紫音の記憶も忘れ去られるという事も……

ベッドから飛び起き、隣に寝ている沙希に声を掛けた。

「沙希。私、全部思い出した! あれは夢じゃなかったんだ!! 毒舌の精霊メアリー(紫音)もちゃんと居たよ」

沙希も青白い顔をしていたが、私と目が合うと、

「うん、理香。私も全部思い出したわ。私、ルナールだったのね。じゃあ、フローラとミレーユも今頃、記憶が戻ってるかもしれないわ」

無事に日本に帰ってこれた事に沙希と二人抱き合って喜んだと同時に自分達の犯してきた鬼畜の所業黒歴史が蘇る。

「ギャーー やめて死んじゃうー!!」
「イヤーー 恥ずかしいー!!」

「あわわ。わ、私…… ゴリゴリの脳筋イノシシヒロインだったわ。悪役令嬢モノに出てくるざまぁされる転生ヒロインみたいな…… 恥ずかしい! 死にたい! マジで死にたい! クッ、殺せ! くっころ! くっころ! カモーン! くっころ! くっころ! もうガチで立ち直れない!」

「ヤバイ、ヤバイ、ヤバすぎワロウタ! 私、ストーカーだった! ガチモンのスペシャリスト・ストーカーだった! 私がストーカー集団の親分かよ! マジかよぉー! これじゃあ私、どこからどう見ても犯罪者やん 私、警察に捕まるじゃん! どうしよう……」

我等われら懺悔さんげす 無始むしよりこのかた妄想にまとわれて衆罪しゅざいをつくる

身口意しんくいごう 顛倒てんどうして 誤って無量不善むりょうふぜんごうを犯す

珍財ちんざい慳悋けんりんしてを行ぜず こころにまかせて放逸ほういつにしてかいせず

屡々しばしば忿恚ふんにを起して忍辱にんにくならず 多く懈怠げたいを生じて精進ならず

心意しいに散乱して坐禅せず 実相に違背いはいしてを修せず

つねかくの如くの六度の行を退して かえって流転三途るてんさんずの業をつくる

名を比丘びくに仮って伽藍がらんけがし 形を沙門しゃもんに比して信施しんせ

くるところ戒品かいぼんは忘れてせず がくすべき律義りつぎしてこのむこと無し

諸仏しょぶつ厭悪えんのしたまう所をじず 菩薩の苦悩する所をれず

遊戯笑語ゆうげしょうごしていたずらに年としを送り 諂誑詐欺てんのうそぎしてむなしく日を

善友にしたがわずして癡人ちじんに親しみ 善根をつとめずして悪行をいとな

利養りようを得んとほっして自徳じとくさんじ 名聞みょうもんほっして他罪たざいそし

勝徳しょうとくの者を見ては嫉妬しっとをいだき 卑賤ひせんの人を見ては憍慢きょうまんしょうず 

富饒ふにょうの所を聞いては希望けもうおこし 貧乏のるいを聞いては常に厭離おんり

ことさらに殺し誤って殺す有情うじょうめい あらわに取りひそかに盗る他人のざい

れてもれずしても非梵行ひぼんのぎょうを犯す 口四意三くしいさんたがいに相続し

仏を観念する時は攀縁はんえんおこし きょう読誦どくじゅする時は文句もんくあやま

善根ぜんこんせば有相うそうじゅうし かえって輪廻生死りんねしょうじいん

行住坐臥ぎょうじゅうざが知ると知らざるとおかす所のかくの如くの無量の罪 今三宝いまさんぽうに対して皆発露みなほつろたてまつ

慈悲哀愍じひあいみんして消除せしめたまえ 乃至法界ないしほっかいもろもろ衆生しゅじょう 三業所作ざんごうしょさかくごとくの罪

我皆われみな 相代あいかわってことごとく懺悔す さらまた そのむくいをけしめざれ

南無なむ慚愧懺悔ざんぎざんげ無量所犯罪むりょうしょぼんざい
南無なむ慚愧懺悔ざんぎざんげ無量所犯罪むりょうしょぼんざい
南無なむ慚愧懺悔ざんぎざんげ無量所犯罪むりょうしょぼんざい

私と沙希は、これまで犯してきた己の大罪にしゃするため、一心不乱に密厳院発露みつごんいんほつろ懺悔文さんげのもんを絶叫するのだった。
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