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第143話 キング・オブ・ヘタレ
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私達は密厳院発露懺悔文懺悔文を一心不乱の何度も絶叫し、なんとか心の平穏を取り戻した。本当に覚えて良かった密厳院発露懺悔文! もし覚えていなかったら、私の精神はマリアの所業によって、心の底からずたぼろに崩壊していただろう。
心の精神安定剤となりうる密厳院発露懺悔文は文字の如く、己の過ちを正しく認めて反省する偈文。一字一句、間違わず、正確に覚えておいて本当に良かった。もし、一字でも間違って絶叫していたら、間違いなく、恥ずかしくて悶絶死してたかも。
「沙希、危なかったね。マジでヤバかったわ」
「そうね。密厳院発露懺悔文を知っていて良かったわ。危うくまたプリストの世界へ転生するところだったわ」
「ヒロインに転生出来たからって調子に乗ってたわ。まさか、自信満々で黒歴史を刻んでるとは思ってもみなかったわ~。今更ながら過去の自分の首を噛み切って殺してやりたい」
「私だってそうよ。断罪されたくないからって、ファンクラブまで立ち上げるなんて…… 恥ずかしすぎて死にたい……」
「ファンクラブ条約第1章第1条、ファンクラブ会員はいついかなる時も紳士淑女たれ」
「ギャーー!」
「ファンクラブ条約第2章第3条、アレク様に対して抜け駆けは絶対しない」
「ギャーー! マジで許してーー!」
「ファンクラブ条約第6章第5条。順序等を定める際は公平なジャンケンで決めること」
「ギャーー! 小学生かよっ!」
「ファンクラブ条約第3章第1条は、アレク様の監視を怠る事を禁ずる」
「最後にでかいのがキターー! マジで犯罪者やんけ!」
私は沙希の健気にもファンクラブ設立に関わった者として敬意を払い。ファンクラブ条約を暗唱した。その結果、沙希は絶叫とともに膝をついた。
「沙希、大丈夫よ。ストーカー行為は私が許します。罪を償い、強く生きていくのよ」
私はまるで聖職者にでもなったかのように上から目線で沙希を慰めた。
「里香…… あんた、どうして上から目線なの? あんただって、ファンクラブきってのイノシシ暴走特攻隊長だったじゃない!」
「ギャーー! ヤメレェー ヤメテけれぇー! 私の暗黒史を地獄の底から掘り起こさないでぇー!」
お互いがお互いをディスる。以前なら、それを紫音が私達を嗜める。これが私達が以前、日本で生活していた頃の日常だった。
「――ここにはもう紫音が居ないのね。もう会えないのかな?」
「私達の暴走を止めてくれる紫音が居ないと何か物足りないわね。もう一度、紫音に会いたいわ」
「「……………………」」
紫音ともう会うことが出来ない寂しさに涙が自然と溢れ出る。
◇
お互いに落ち着きを取り戻し、
「ところで沙希。私、夢の中でユリアラ王女に会ったわ。暗闇の中、アイスキーとかいうイケメン天使様とユリアラ王女に助けて貰ったわ」
「私もその二人に助けてもらった」
「あのユリアラ王女とイケメンが夫婦だとか言って、リア充を爆発させていたわ」
「確か…… アイスキー…… アイスキー……」
「どうしたの沙希? 沙希もイケメンに惚れたの?」
「ちょっと、あんたは黙ってて! アイスキー…… アイスキー……」
沙希はプロ棋士のように長考しはじめた。
「あっ! アイスキーって、もしかしてユリアラ王女と結婚したグランプロス帝国皇太子アイスキー・アール・デレモント様のことじゃない?」
「それって、アレク様がユリアラ王女のご迷惑な間男扱いになった件だよね?」
「里香。アレク様が間男になることは絶対ないわ」
「沙希どういうこと?」
「アレク様はヘタレ中のヘタレ。『キング・オブ・ヘタレ』だから、そんなことはあり得ないのよ」
「あっ…… 察し」
――私の知るアレク様は私達を見ると妙に及び腰になっていた。それは恰も鬼嫁に睨まれた旦那のような…… ヘタレすぎる!
「そういうわけで、間男になる可能性は天文学的数値において、それ以上に無いわ」
「でも、ゲームのアレク様は常に無表情で好感度も全然上がらないCOOLイケメンだったじゃない」
「私の推測だと、ゲームのアレク様もだったんじゃないかな?」
沙希は神妙な面持ちで衝撃発言を言い放つ。
「――!? ヘタレだったから攻略出来なかったこと?」
「多分ね。そうとしか考えられないわ」
――難攻不落・絶対的ラスボス、アレク様が驚愕のヘタレだった疑惑浮上! こんなヘタレ王子に私達は永遠の処刑バットエンドを繰り返していたのか…… マジで泣きたくなる(ガチ泣)
心の精神安定剤となりうる密厳院発露懺悔文は文字の如く、己の過ちを正しく認めて反省する偈文。一字一句、間違わず、正確に覚えておいて本当に良かった。もし、一字でも間違って絶叫していたら、間違いなく、恥ずかしくて悶絶死してたかも。
「沙希、危なかったね。マジでヤバかったわ」
「そうね。密厳院発露懺悔文を知っていて良かったわ。危うくまたプリストの世界へ転生するところだったわ」
「ヒロインに転生出来たからって調子に乗ってたわ。まさか、自信満々で黒歴史を刻んでるとは思ってもみなかったわ~。今更ながら過去の自分の首を噛み切って殺してやりたい」
「私だってそうよ。断罪されたくないからって、ファンクラブまで立ち上げるなんて…… 恥ずかしすぎて死にたい……」
「ファンクラブ条約第1章第1条、ファンクラブ会員はいついかなる時も紳士淑女たれ」
「ギャーー!」
「ファンクラブ条約第2章第3条、アレク様に対して抜け駆けは絶対しない」
「ギャーー! マジで許してーー!」
「ファンクラブ条約第6章第5条。順序等を定める際は公平なジャンケンで決めること」
「ギャーー! 小学生かよっ!」
「ファンクラブ条約第3章第1条は、アレク様の監視を怠る事を禁ずる」
「最後にでかいのがキターー! マジで犯罪者やんけ!」
私は沙希の健気にもファンクラブ設立に関わった者として敬意を払い。ファンクラブ条約を暗唱した。その結果、沙希は絶叫とともに膝をついた。
「沙希、大丈夫よ。ストーカー行為は私が許します。罪を償い、強く生きていくのよ」
私はまるで聖職者にでもなったかのように上から目線で沙希を慰めた。
「里香…… あんた、どうして上から目線なの? あんただって、ファンクラブきってのイノシシ暴走特攻隊長だったじゃない!」
「ギャーー! ヤメレェー ヤメテけれぇー! 私の暗黒史を地獄の底から掘り起こさないでぇー!」
お互いがお互いをディスる。以前なら、それを紫音が私達を嗜める。これが私達が以前、日本で生活していた頃の日常だった。
「――ここにはもう紫音が居ないのね。もう会えないのかな?」
「私達の暴走を止めてくれる紫音が居ないと何か物足りないわね。もう一度、紫音に会いたいわ」
「「……………………」」
紫音ともう会うことが出来ない寂しさに涙が自然と溢れ出る。
◇
お互いに落ち着きを取り戻し、
「ところで沙希。私、夢の中でユリアラ王女に会ったわ。暗闇の中、アイスキーとかいうイケメン天使様とユリアラ王女に助けて貰ったわ」
「私もその二人に助けてもらった」
「あのユリアラ王女とイケメンが夫婦だとか言って、リア充を爆発させていたわ」
「確か…… アイスキー…… アイスキー……」
「どうしたの沙希? 沙希もイケメンに惚れたの?」
「ちょっと、あんたは黙ってて! アイスキー…… アイスキー……」
沙希はプロ棋士のように長考しはじめた。
「あっ! アイスキーって、もしかしてユリアラ王女と結婚したグランプロス帝国皇太子アイスキー・アール・デレモント様のことじゃない?」
「それって、アレク様がユリアラ王女のご迷惑な間男扱いになった件だよね?」
「里香。アレク様が間男になることは絶対ないわ」
「沙希どういうこと?」
「アレク様はヘタレ中のヘタレ。『キング・オブ・ヘタレ』だから、そんなことはあり得ないのよ」
「あっ…… 察し」
――私の知るアレク様は私達を見ると妙に及び腰になっていた。それは恰も鬼嫁に睨まれた旦那のような…… ヘタレすぎる!
「そういうわけで、間男になる可能性は天文学的数値において、それ以上に無いわ」
「でも、ゲームのアレク様は常に無表情で好感度も全然上がらないCOOLイケメンだったじゃない」
「私の推測だと、ゲームのアレク様もだったんじゃないかな?」
沙希は神妙な面持ちで衝撃発言を言い放つ。
「――!? ヘタレだったから攻略出来なかったこと?」
「多分ね。そうとしか考えられないわ」
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