僕を嫌っていた幼馴染みが記憶喪失になったら溺愛してきた

無月陸兎

文字の大きさ
22 / 28

22.

しおりを挟む

 静まり返った部屋の中、自分の心臓の音がやけにうるさく感じた。
 緊張で固まる僕を、ユーリがベッドに押し倒す。両手を優しく押さえて、覆いかぶさってくるユーリをおずおずと見上げると、その瞳は熱を帯びていて……。
 あぁ、本当に最後までしちゃうんだ。
 覚悟を決めた筈なのに、なんだか恥ずかしくて、逃げ出したくなってくる。

「イネス……」
「んっ」

 それを咎めるように名前を呼ばれ、唇を奪われた。
 軽く触れるだけのキスが何度か続いた後、ユーリの舌が僕の唇をなぞる。促されるままに口を開けば、舌がぬるりと入り込み、容赦なく絡みついてきた。くちゅ、と濡れた音を立てながら舌を吸われると、全身から力が抜けていく。

「ん……っ、ふ……」
「イネス……可愛い……」

 耳元で囁かれ、背筋がぞくりと震える。すっとユーリの頭が下に移動し、首筋を舐められた瞬間、思わず声が漏れた。

「やっ……!」

 僕の反応に、ユーリは喉を鳴らして笑う。そのまま首筋を強く吸い上げられて、ちりっとした痛みが走る。ひとつ、またひとつと痕が増える度、僕の身体も熱を持ち始めた。

「んっ……あっ、ユーリ……」
「愛してるよ、イネス」
「……僕も……んっ」

 再び唇を奪われ、キスを繰り返しながらシャツのボタンが外されていく。胸元に指が触れた瞬間、びくりと身体が跳ねた。そこはお仕置きされた時に一度触られて、変な気持ちになった場所だ。

「そ、そこ……触るの?」
「あぁ。ここも、可愛がってあげたい」
「えっ、や……んっ、ぁ……!」

 長い指が、突起に触れる。指の腹で優しく捏ねたり、摘まんだりされると、びくびくと身体が小刻みに震えてしまう。
 以前は、ここを更に舐めて吸われた。変な声が出て困ったし、えっちな体だってからかわれて恥ずかしかったな。今日はそんな風にならないよう、ぎゅっと目を閉じて我慢してみるけれど、感覚は逆に研ぎ澄まされていく。耐えきれずに目を開けると、意地悪そうに僕を覗き込むユーリがいた。

「我慢するな。気持ち良いなら、素直に声を聞かせてくれ」
「で、でも……変な声が出るの嫌だし、ユーリからかってくるもん……」
「からかってない。その可愛い声をもっと聞かせて欲しいと思ってるだけだ」
「うぅ、可愛くないって言ってるの……んっ、あっ」

 言葉を遮るように、ユーリの熱い舌が胸を這った。丹念に舐めしゃぶられる度、勝手に腰が浮いて揺れてしまう。

「ひぅ……やっ……あぁっ!」
「はぁ、本当に可愛いな。イネスが乱れて喘ぐ声、愛おしくてたまらない」
「っ、ユーリの……悪趣味ぃ……」
「ん? 何か言ったか?」
「あっ……あぁ……!」

 歯を立てて甘噛みされ、びくんと体が仰け反る。執拗に胸ばかりを責められて、僕は半泣きで謝った。それでも止めてはくれず。ユーリが満足してやっと胸から離れた頃には、息も絶え絶えで──僕は精液を腹部へ飛び散らせていた。

 うぅ、胸だけでイってしまうだなんて……恥ずかしくて死にそう。ユーリが言うように僕の体ってえっちなのかな?
 そんなことを考えていると、汗ばんだ額にそっと口づけが落ちる。気付けば僕の服は全て脱がされていて、お腹には洗浄魔法(クリーン)までかけられていた。
 なのにユーリは前を軽く寛げてるだけで、まだほとんど服を着たまま。なんだか……ズルい。

 それが不満で、僕は起き上がるとユーリのズボンへと手を伸ばした。ズボン越しでもわかるくらい熱くて、ガチガチだ。
 ユーリは驚いたように目を見開き、すぐに柔らかく笑う。

「もしかして、脱がせてくれるのか?」
「ん……僕だけ裸は不公平だから。それに……ユーリにも気持ち良くなって欲しい」
「……そうか。なら、触って」
「うん」

 ドキドキしながら、下着ごと下ろすと勢いよくユーリのモノが飛び出してきた。血管の浮き出たそれは天井に向けて反り返り、とても逞しく、大きい。ゴクリと唾を飲み込み、恐る恐る手を添えてゆっくりと上下に動かす。優しく扱く度にビクッと反応する様子が愛おしくて、夢中で動かし続けた。

 裏筋を親指の腹で擦ると先走りが溢れてきて、ユーリが小さく呻く。チラリと盗み見たユーリは眉を寄せて息を荒げ、頬を赤く染めていた。その色っぽい顔に胸が高鳴り、手を動かす速度が自然と速くなる。

「ユーリ、気持ち良い?」
「……はぁ、っ……上手だな」
「本当……? 良かった……」

 褒められて、喜びが込み上げてくる。
 どうしよう、すごく嬉しい。ユーリのモノは確実に硬さを増してるし、お世辞は言われてないと思う。このまま続けたら射精してくれるかな? それとも舐めた方がいい?
 どちらにしようか迷っていると、不意に腕を掴まれ、そのままベッドに転がされた。

「えっ? なんで……」
「……もう限界だ。準備するから……イネスの中に、入らせて?」
「っ……うん」

 とは言え、あんなに大きいものが本当に入るんだろうか。ここから先は初めてなので、少し不安だ。

 ユーリは空中から小瓶を取り出し、傾けて中の液体を手に垂らす。透明色のとろりとしたそれは媚薬の一種だろうか?

 男たちに使われた記憶が蘇り、息が詰まる。頭がぼんやりとして霞がかってしまうから、出来れば使いたくないんだけれど。断ったら、面倒な奴だと思われないかな?

「大丈夫。これはただの潤滑剤だから、媚薬みたいな効果はないよ。これを使えば挿入時の負担が減るし、滑りも良くなる。イネスを傷つけないために使わせて?」

 不安に思う僕に気付いたらしく、ユーリが優しい声で説明してくれる。媚薬ではないことが分かり、ホッとした。
 こくりと頷くと、潤滑剤に濡れたユーリの指が臀部に触れ、つぷりとナカに入ってくる。

「んんっ」
「痛くないか?」
「その、痛くはないけれど……何か変な感じ、するかも」
「力を抜いて、リラックスして。大丈夫、すぐに慣れるから」
「う、うん……」
「ほら、キスしよう」

 キスをしている内に、強張っていた体が少しずつ緩んでいく。すると、指が奥まで入ってきて、中を探るように動き始めた。ゆっくりと時間をかけて解され、少しずつ違和感が薄れた頃。ユーリの指がある一点に触れた瞬間、全身に電流が走った。

「ひぁっ!!」
「見つけた。ここがイネスの弱い所だな」
「なっ、何? 今の……っ!」

 与えられた強い快感に戸惑う僕を見て、ユーリは口の端を上げた。そのまま同じ場所を狙って、執拗に触れてくる。

「あっ! やっ、そこ……だめぇ!」
「ダメ? ここ弄ると凄く気持ち良いだろ?」
「そっ、それ以上されたら……ぁ……おかしくなっちゃう、から……んんっ!」
「でもちゃんと慣らさないと、痛い思いするのはイネスなんだぞ」
「い、痛くても……良い。我慢、するから……おねがっ……」
「ダメだ。イネスに痛い思いはさせたくない。もう少し待ってくれ」

 願いは聞き入れてもらえず、三本の指が入る迄、その後も執拗にそこばかり責められた。
 気持ちが良すぎて、頭がおかしくなりそう。
 枕に顔を埋めてシーツを握り締め、快楽に耐えようとしたけれど……無理だった。

「あ、あぁ……ああああー!!」

 そして、僕は二度目の絶頂を迎える。力が抜けきった僕の中から、ゆっくりと指が抜かれていった。

「いーちゃんが、たくさん気持ち良さそうにしてくれて嬉しい。ここも可愛がってあげたかったが……このままだと一つになる前に気を失ってしまいそうだな」
「んっ、んぅ……そこは触らないで……! も、無理……出ない、からぁ」
「分かってる。残念だが……ここを可愛がるのはまた今度にしよう」

 イったばかりの敏感な所に触れられ、体が震えた。涙目になりながら訴えると、ユーリは名残惜しそうに手を離す。
 安堵したのも束の間、秘部に熱く硬いモノを押し当てられる感覚がした。すりすりと何度か擦り付けられ、ぬぷりと切っ先が少しずつ入ってくる。ユーリは慎重に腰を進めているみたいだけれど、圧迫感がすごくて苦しい。

 全部収まった時には互いに息切れして、暫くそのまま抱き合っていた。

「……全部入ったよ」
「あ……ほんと、だ。ユーリが、僕のナカに……」

 ぽこりとした下腹部を撫でると、嬉しさが込み上げてきた。すごい、あんな大きいのがちゃんと入ったんだ。ユーリと一つになれた嬉しさで、胸がいっぱいになる。

「くっ……。イネスの中、熱くて蕩けそうだ。気持ち良くて、ずっとこうしていたいが……そろそろ動いてもいいか?」
「んっ……いいよ……」

 頷くと、ユーリは僕の腰を掴んで、緩やかな律動を始めた。最初は様子を見るようにゆっくりと抽送を繰り返していたけれど、徐々に速くなっていく。肌同士がぶつかる音と、水音が部屋中に響き渡る。

「あ……ぁ……ユーリ……ゆーりぃ……!」
「ん? どうした、イネス?」
「んっ、はぁ……あっ。好きっ、大好きっ……!」
「……俺もっ! イネスの事が好きだ。愛している……!」
「ぼくもぉ……すきぃ……愛してる」
「イネス……っ!」

 ユーリは僕の脚を持ち上げて肩に乗せた。そして膝立ちになると体重をかけるようにして最奥を穿ってくる。目の前がチカチカとして、意識が飛びそうだ。何度も激しく揺さぶられて、必死にぎゅうっとユーリにしがみつく。もう何も考えられない。ただ、譫言のようにユーリの名前を呼び続ける。

「ゆーり……ゆーりぃ……あっ、イクっ。また、イっちゃう……!」
「っ……ああ、俺も……そろそろ」
「あっあっ、はげし……ゆーりぃ!!」
「イネス……出すぞ……受け止めてくれ……!」
「んんっ、~~~ッッ!!!」

 一際大きく穿たれた後、最奥で勢い良く吐き出され、熱い飛沫を感じる。それと同時に僕も三度目の絶頂を迎えていた。
 お互いに荒い呼吸を整えながら余韻に浸っていると、不意に唇を塞がれる。ゆっくりと舌が絡み合い、とろけるような甘い口付けを交わされた。

「んむ……ちゅ……はぁ……」
「ん……ふ……」

 やがて名残惜しそうに唇が離れると、銀糸が垂れてプツリと切れる。
 ……すごく、気持ち良かった。初めてなのに、僕ばかり何度もイっちゃったけれど、ユーリは満足出来たかな?

 ぼんやりとした頭でユーリを見つめていれば、ふわりと微笑まれ、優しく額に口づけが落とされる。

「すごく良かったよ、イネス。体は大丈夫か?」
「うん。まだ、なんだかフワフワしてるけれど」
「ごめん。初めてなのに、少し無理をさせてしまったな」
「……そうだよ。優しくするって言ったのに、何度か意地悪もしたし、あんまり優しくなかった」
「あー……それは、イネスが可愛過ぎたからつい。でも、イネスと一つになれて本当に幸せだった」
「……うん、僕も幸せだよ」

 そう言って微笑み返すと、ユーリは嬉しそうに目を細めた。ちゅっと頬に軽くキスをして、頭を撫でてくれる。

「疲れただろ? 後処理は俺がするから、もう休め」
「うん……ありがとう。今日はもう、動けそうにないから甘えちゃうね……」
「あぁ。おやすみ、イネス」
「……ん、おやすみ……ユーリ」

 瞼が落ちてくる感覚に抗えず、視界がゆっくりと暗転していく。ユーリの温もりを感じながら、僕は深い眠りについた。


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです

まんまる
BL
フレア王国の第3王子シルティ(18歳.Ω)は、王宮騎士団の団長を務める、キーファ侯爵家現当主のアリウス(29歳.α)に、ずっと片想いをしている。 そんなシルティは、Ωの成人王族の務めとして、自分は隣国のαの王族に輿入れするのだろうと、人生を半ば諦めていた。 だが、ある日突然、父である国王から、アリウスとの婚姻を勧められる。 二つ返事でアリウスとの婚姻を受けたシルティだったが、何もできない自分の事を、アリウスは迷惑に思っていないだろうかと心配になる。 ─が、そんなシルティの心配をよそに、アリウスは天にも登る気持ち(無表情)で、いそいそと婚姻の準備を進めていた。 受けを好きすぎて、発情期にしか触れる事ができない攻めと、発情期の記憶が一切ない受けのお話です。 拗らせ両片想いの大人の恋(?) オメガバースの設定をお借りしています。ぼんやり設定です。 Rシーンは※つけます。 1話1,000~2,000字程度です。

虐げられた氷の聖子は隣国の野獣皇帝に執着(愛)されすぎて溶かされる

たら昆布
BL
暴君皇帝×薄幸の聖子

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

婚約者変更で傲慢アルファの妃になりました

雨宮里玖
BL
公爵令息のハルは突然の婚約者変更を告げられ戸惑う。親同士の約束で、ハルは第一王子のオルフェウスと婚約していた。だがオルフェウスの病気が芳しくないため王太子が第二王子のゼインに変更となり、それに伴ってハルの婚約者も変更になったのだ。 昔は一緒に仲良く遊んだはずなのに、無愛想で冷たいゼインはハルのことを嫌っている。穏やかで優しいオルフェウスから、冷酷なゼインに婚約者が変わると聞いてハルは涙する。それでも家のために役に立ちたい、王太子妃としてゼインを一途に愛し、尽くしたいと運命を受け入れる覚悟をする。 婚礼式のときからハルに冷たく傲慢な態度のゼイン。ハルは負けじと王太子妃としての役割を果たすべくゼインに迫る。初夜のとき「抱いてください」とゼインに色仕掛けをするが「お前を抱く気はない」とゼインに一蹴されてしまう——。

俺の好きな人は誰にでも優しい。

u
BL
「好きなタイプは?」と聞かれて世界で一番多く答えられているのは間違いなく「優しい人」だろう。 相手の優しいところに惹かれ、気づいた時には引き返せないところまで恋に落ちている。 でも次第に気付くのだ。誰だってみんな「優しい人」ではなく「"自分だけに"優しい人」が好きなのだと。 ロランは、"誰にでも優しい男"、フィリオンに恋をしてしまい、地獄のような日々に身を焼かれていた。 そんなとある日「この恋、捨てたいな…」と溢したら「それ、捨てようとすんの、やめてくんね?オレ、あんたがアイツを見る視線に興奮すっからさ」と遊び人で有名な男、ヒューゴに言われる。 彼は、自分を好きな人間には興味がなく、別の誰かに恋い焦がれている人間の目が好きな変態らしい。 そんな身勝手な遊び人とちょくちょく話すようになってからというもの、フィリオンの様子はどんどんおかしくなっていく。 恋を捨てたい男と、恋を捨てるなと言う男と、優しさが狂い始めていく男の話。 ※作者の意思ではなくキャラの意思で結末が決まります。ご要望は受け付けられませんのでどちらとくっついても美味しいと思う方のみお読みください。 ※中世ヨーロッパ風学園ものです。 ※短編予定でしたが10万文字以内におさまらないので長編タグへと変更します。 ※完結までノンストップで毎日2話ずつ更新。

処理中です...