小さな町の不思議・怖い話

みつか

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海の岩

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昔から女性禁制の場所がある。

防波堤の先に大きな山のような岩がある。
その大きな岩には、海の神様がやって来ると言われている。

海の神様は女性の為、人間の女性がその場所に立ち入ると嫉妬して『不漁になる』『災いが起こる』『神の怒りをかう』などと言い伝えられていた。

言い伝えがあったのだが、大きな山のような岩がある防波堤の途中には立ち入られない様に柵が設けられていて、管理者しか入れない状態であった。

実質的には男女共に立ち入りは出来ない状態だった。


《立ち入り禁止》

立て札を見た釣り人。

「きっと、この辺の釣り場よりあの岩の所の深みならきっと大きくていい魚が釣れるに違いない!!誰も釣らない穴場!!」

そんな風に思う釣り人が居た。

立ち入り禁止の柵から数十メートル先にそびえ立つ大きな岩山。

防波堤の先にそびえ立つ大きな岩。
岩の周辺は底が見えないくらい急に深くなる場所だった。
周りと比べて海の色が変わっており、浅瀬から一気に深みに変わっているのが見て分かるほどの色味の違いがあった。

船から行けばすぐに上がれそうだが、その岩山は断崖絶壁。
岩山に上がっての釣りは不可能だった。

船で防波堤の先に行こうとしても、防波堤のすぐ近くは浅瀬になっているので、船は座標の危険性が高く横付けできなかった。

船釣りを頼めば、岩の近くで釣ることも可能ではあるが港の入り口。
船の出入りが多く、そんな所で釣りをしようものなら気性の荒い漁師に怒られるのは目に見えていた。

どうしても防波堤の先、大きな岩のそばで釣りがしたい男は考えていた。

昼間は集落の人が見張っている様な気がして立ち入り禁止の柵を乗り越えられない。

「そうだ!夕暮れ時の少し暗くなる時間に柵を乗り越えよう!」

そんな風に計画していたのだが、1人で行くよりせっかくだから釣り好きの女性や他の人も誘おう!と数人に声を掛けた。

計画を知っても、何故立ち入り禁止なのかを知っている人は

「いやぁ~、用事があって……」

言葉を濁して断った。
結局集まったのは計画した男性1人と釣り好きの女性とその友達。男性の友達が2人の5人だった。

夕暮れ時、観光客を装い防波堤をウロウロしていると地元の人に声を掛けられる。

「こんばんは!そこから先は行かん方が良いよ!人がよくケガしたり落ちたりするから」

『立ち入り禁止』を越えるな、と注意してきたのだった。

「はーい!ありがとうごさいま~す!」

にっこり笑ってやり過ごす。
地元の住民が居なくなったのを確認すると、車から荷物を持っていざ現場へ!

柵の前に着くと女性の友達と男友達1人が怖気づいた様子で

「やっぱり、私辞めとく~。怖いも~ん」

「……だよな!俺も車で待ってるわ!なんかヤバイ空気が……気をつけて行けよ!!」

怖気づいた2名を他所に

「せっかくのチャンスなのに……行かないのか?勿体ない。じゃあ俺らは行くぜ!」

「楽しそうじゃん!行かないの?」

釣り好きの女性はワクワクしている。

男達は残る男友達に行く気持ちが変わらない事を告げると、海側に高く上がっている塀の上に飛び乗り塀の上を歩き柵を越える。

柵を通り過ぎると、3人は見つからない様にライトをつけずに防波堤の先へと歩みを進める。

大きな山のような岩を横目に、集落から見えなくなる場所まで歩く。

大きな岩には儀式用なのか白い布?の※紙垂(しで)しめ縄の様なものが巻かれていた。

※神聖な場所であることを示す象徴としてしめ縄等に付ける

女性はゾクリと背筋に寒気を感じながら、見ないように通り過ぎる。

男性陣はお構い無しに進む。

何だか空気感が変わった様なヒンヤリと冷たい澄んだ空気が漂う空間。

女性は怖くなる。男性達に話すと

「今更……せっかく来たんだ!ちょっと釣ってから帰ったら良いだろう?」

と諭されて締まった。

集落から隠れている場所なので、ライトをつける。それも手元がやっと見える程小さなライト。

3人は思い思いに釣り糸を垂らす。

やはり穴場!大きな魚がすぐにヒットする。
喜ぶ男性。

「やっぱ来てよかった!!」

計画した男性は喜び、クーラーボックスへと魚を入れている。

ビタン!ビタン!

と、魚が跳ねる音が響く。

女性が釣り上げたのは、白い手の様な物。

「ヒッヒィィーー!!」

腰を抜かす女性。
友達に助けを求めるが、釣りに夢中で

「見間違いだろ?」

と取り合ってくれない。

怖くなった女性は釣り竿を放置し、小さなライトを持って車のある方向へと走り去って行った。

友達にもヒットし

「やった!大物~!!」

と喜びリールを巻き上げる。

ボチャン!!

大きな音と共に糸が切れる。

「チッ!大物だったのに……なぁ、針ない?あれ?おーい?!釣り竿置いてどこ行った?帰ったのか?居ないなら、これ借りるぜ~!」

女性の使っていた釣り竿を男性は手に取る。

ビタン……ビタン……ビタン

「ん?何処から音が鳴ってる?」

辺りをキョロキョロと見回すと、防波堤が濡れている。
波が打ち上がった気配は無い。

小さなライトで辺りを照らすとそこにはびしょびしょにに濡れた白い腕がビタン!ビタン!と蠢いている

暗闇に照らされる白い腕。

「ギャーーーー!!」

男友達も、釣り竿を放り投げて小さなライトを持ち腰を抜かしつつ車の停めてある方向へ急いで逃げて行った。

それに気づかずに釣り続ける男。

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