チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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四章 海を渡った少女

カナは色恋沙汰に関してはポンコツじゃ……。

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 ー玉藻ー

 ムイスを出て半日ほど歩く頃、妾はとある違和感に気がついた。

 何と言うか……、カナがいつもと変わらぬ表情で歩いておる……。

 バッシュは少なくとも妾がカナと出会う前から共に旅をしておるはずなのじゃが……、その割に少しも寂しい……とか、恋しい……といった表情を一切見せておらぬ……。

 妾達に気遣って敢えて気丈に振る舞っておるのかのう……。

「の……のう……、カナ……。バッシュと別れて寂しゅうないのか……?」

 妾は意を決してカナに問うて見た。

「バッシュ……?うん、寂しいけど……、バッシュが自分で決めたことだから……」

 カナは少しは寂しげな顔こそしておったが、それ以上の感情は読み取れぬ……。
 おそらくじゃが、バッシュはカナに対して少なからず好意を持っておったはず……。

 というのも、船で妾がカナと旅をすると言った時、バッシュはかなりムキになっておったからのう……。

 それに、昨日の夕餉ゆうげを済ませた後、バッシュが何か言おうとしておったが、あれはきっとカナに側にいて欲しかったのでは無いのかと妾は邪推してしまう……。

「カナはバッシュの事、どう思っておったのじゃ……?」

「どうって……、頼りになる仲間……かなぁ~……」

「バッシュに対して好意とかなかったかの……?」

「好意……?ん~……、好きというよりどちらかと言うと兄……みたいな……?」

「もし、バッシュがカナを好いておったとしたらカナはどう思う……?」

「バッシュが私を……?ないない。私がバッシュに好かれる要因なんて無いよ」

 カナは苦笑しながら顔の前で手を横に降っておる。
 目眩がしてきおった……。

 別れ際に渡したあの装飾品……、「自分の代わりに」とまで言っておったのでカナはバッシュに好意を持たれているのは間違いないではないか……っ!
 妾でなくとも分かるわ……っ!!

 しかし、カナはさっぱり分かってはいない様子……。
 こやつ……、色恋沙汰に関してはとんと鈍いようじゃな……。

「なに?カナはバッシュが好きなんだって?」

 妾達の話にフィーリエが加わってきた。フィーリエも女子おなごらしく色恋沙汰に関しては興味があるようじゃな。

「な……っ!?ち……違うし……!好きって言っても兄みたいなものだから……っ!」

「フィーリエ、聞くだけ無駄じゃ……。カナは色恋沙汰に関してはてんでポンコツじゃ……」

「え……?そうなの……?」

「ちょ……!玉藻それ酷くない……っ!?私だって出会いがあれば、とは思ってるよ……っ!」

 カナはムキになって反論して来おった。

 機会……、のう……。
 その良縁であったバッシュの事も気付かぬようでは夢のまた夢じゃろうのう~……。

「そ……そういう玉藻こそバッシュが好きだったんじゃないの……っ!?」

「た……戯けっ!!妾にはれっきとした夫がおるわっ!!」

 カナは何をとち狂ったのか、それとも腹いせか、よりによって妾がバッシュを好いとるなぞ言うて来おった……!

「え……っ!?玉藻って旦那さんいるんだ……っ!?」

「無論じゃ……!お主らは妾を何じゃと思うとるんじゃっ!!」

「え……?じゃあ、なんで旅なんてしてるの……?」

 カナが核心を突いて来おった……。

「……故あっていま夫とは会えぬのじゃ」

 そう……、妾の夫は魔物の呪いで石化されてしもうとる……。

 その夫の石化を解くため、妾はこの地におるという、どのような魔法でも使えると聞き及ぶ大賢者殿がおると聞いてやって来たのじゃが……どこにおるのかのお~……。

「それより、カナ。次はどこに向かうのじゃ……?」

「次は……このまま行くとサーバルっていう町に行くみたいだね……」

 カナは地図を見ながら次の町を確認しておる。
 次はどういうところかの……、大賢者殿の情報を掴めれば良いが……。
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