罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

文字の大きさ
17 / 187
二章 三者三様

二人だけのパーティー

しおりを挟む
「そう言えば由奈ちゃんのキャラクターってレベルどのくらい?」

 夕食を済ませ、部屋へと戻りエリシアを起動した僕は更新がインストールされている待ち時間に由奈ちゃんへと壁越しに問う。

 さっきの“お兄ちゃん大好き”がまだ耳に残っていてはいるけども、得てして妹というものはそんなものなのかもしれないと僕は自分のなかでそう整理する。

「あたしのキャラはまだレベル2だよ」

 レベル2か……、今日の更新で新エリアが解放されるけど、由奈ちゃんと冒険する約束をしているから新エリアはまた今度かな……。

「分かった、なら今日は最初の街の辺りで由奈ちゃんへのキャラのレベル上げを手伝うよ」

「ホントっ!?お兄ちゃんありがとうー!」

 由奈ちゃんとそんな話をしていると更新が終わり、僕はエリシアへとログインした。


『こんばんは!』
『こんばんは!』

『こんばんは、カナタ、ユーナカリアさん』

『カナタさん、ユーナカリアさんこんばんは』

 僕と由奈ちゃんがほぼ同時に挨拶をするとスズタクさんと柊さんことミオリネさんが返事を返してくれた。

『カナタとユーナカリアさんは今日は同伴出勤か?』

『どーはんしゅっきん……ってなに……?』

「ねえ、お兄ちゃん同伴出勤ってなに?」

 由奈ちゃんがチャットで聞くのと同時に壁越しに僕へと話しかけてくる。
 何って聞かれても……なんて答えればいいのやら……。

『スズタクさん、ユーナカリアからリアルで聞かれました……。答えにくいことを言うのはやめてください……』

『スズタクさん、下手したらセクハラ発言ですよ……』

『はははは……!すまんすまん、おっさんのジョークだと思ってやり過ごしてくれ』

 スズタクさんはそう言うけど……やれやれ、こっちはジョークじゃ済まないよ……。

 僕はスズタクさんのブラックユーモア(?)に苦笑しながら画面を見つめていた。

『それより、カナタさん新しく実装されたエリアに行ってみませんか?』

『ミオリネさんごめん、今日はユーナカリアのレベル上げを手伝う約束をしてるんだ』

『ミオリネさんごめんね、今日はあたしがお兄ちゃんを予約してたの(汗)』

『わかりました、そういう事なら仕方ないですね。では次の機会にでもカナタさんをお誘いします』

『うん、その時は頼むよ』

『ミオリネさん、もしよければ俺と新エリアに行ってみないか?』

『わかりました』

『それじゃあユーナカリアは僕と行こうか』

『うん!お兄ちゃんお願いします!』

「そう言えば、由奈ちゃんは今どこにいるの?」

「え……?えっと……トリスタって街。そこにあるトリエステ城ってお城の前にいるよ」

 トリスタ……一番最初の街か……。

「分かった」

 僕はゲームのアイテム欄にある瞬間移動スクロールを使ってトリスタへと移動した。


 ◆◆◆


(え~っと……、確かトリエステ城のところに由奈ちゃんがいるって言ってたな……)

 僕はキャラクターを操作しながらユーナカリアを探していると、城の入り口で目的のキャラクターを見つけた。

「由奈ちゃん来たよ」

「あ、お兄ちゃんだ!やっほ~!」

 由奈ちゃんはユーナカリアを操作して僕のキャラクターへと手を振る。

「とりあえず、由奈ちゃんにパーティーの招待を送るよ」

「なんで?」

「パーティーを組んで敵を倒すと経験値がパーティー全員に入るんだよ」

「なるほど……」

「そういう訳だからユーナカリアにパーティーの招待を送るね」

「うん、分かった」

 僕はユーナカリアへとパーティーの招待を送ると由奈ちゃんがそれを受けたのか『【ユーナカリア】さんがパーティーに加わりました!』というメッセージが流れてきた。

「よし、それじゃあ行くよ」

「うん!」

 僕はカナタを移動させるとユーナカリアと共に街の外へと向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。  しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。  ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。  桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしています。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...