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二章 三者三様
静かに散る火花
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「ねえ、御堂君……昨日言ってたクッキー作ってみたんだけど食べてもらえる……?」
昼休み……今日も中庭で亜希と柊さんと共に弁当を食べていると柊さんが脇においていた小さなバックから小袋に入ったクッキー数枚を手渡してくれた。
「ありがとう柊さん!へぇ、おいしそうだね」
受け取ったクッキーはチョコチップクッキーのようでとても美味しそうに見えた。
「よかったら風原さんもどうぞ……」
「え……ええ……、いただくわね」
柊さんは亜希にもクッキーを渡すとなぜか柊さんは少し笑みを浮かべ、亜希の顔は少し引きつっていた……。
亜希ってクッキーが好きじゃないのかな……?
「ねえ、柊さん早速頂いてもいい?」
「ええ、食べてもらえると嬉しい……」
僕は小袋を開くとクッキーを一枚口へと運ぶ……。
するとチョコチップの甘みとクッキーのサクサク感が口の中に広がっていく。
「うん……、柊さんこれ美味しいよ!柊さんって料理得意なんだね!」
「御堂君にそう言ってもらえると嬉しい……。でも、失敗したのもあるからまだまだ……」
「そんなことないよ!これだけ上手に出来るのは凄いと思うよっ!」
「み……御堂君……、そんなにほめられるとわたし恥ずかしい……」
柊さんは少し顔を赤くしながら俯かせていた。
「く……確かにこれ美味しいわね……」
しかし、一方の亜希はというとどこか面白くなさそうにクッキーを食べている。
亜希は甘いのが苦手なのかな……?
「亜希って甘いのが苦手なの?」
「え……っ!?そ……そんなことないわよ……っ!いや、このクッキー美味しいわね……!あはははは……!」
気になった僕は亜希へと聞いてみると、亜希はどこか作り笑いを浮かべながらクッキーを口へと入れていく。
……変なの。
「風原さんのお口にも合うようで何より……。そう言えば昨日風原さんは御堂君と料理の練習をするって言ってたけど、どうだった……?」
「え……ええ……!勿論御堂君と夕飯を作ったわっ!御堂君の教え方が上手いのか、みんな私の料理を美味しいって言ってくれていたわ!それに、昨日は御堂君の部屋で一緒に数学の課題をしたのよ!」
「御堂君の部屋で宿題……」
亜希が何故か胸を張って誇らしげに話すと柊さんの眉がピクリと動く……。
なんだろう……この二人の間で何か火花が散っている……ような気がする。
ここは早めに撤退したほうがいいかもしれない……そう思った僕は二人が見つめっている間にそそくさと逃げることにした……。
「私たち……意外と気が合いそうね……!」
「本当にそう……特にとある部分で共通していそう……」
「御堂君はどう思うっ!?」
「御堂君はどう思う……?」
睨み合っていた二人が振り向いた先には既に僕はいなかったのだった……。
◆◆◆
その日の夜……僕はエリシアへとログインするとメールを受信していたことに気がついた。
(なんだろう……?)
僕はメールを開くと差出人はミオリネさんからだった。
そこには『ログインしたら連絡してほしい』と書いていた。
なんだろう……、まあ兎に角挨拶をするか。
『こんばんは』
『こんばんは!』
『こんばんは……』
『お兄ちゃんこんばんは!』
挨拶をするとスズタクさんと柊さん、それに先にログインしていた由奈ちゃんから返事が返ってきた。
『ねえねえお兄ちゃん!今日もあたしのレベル上げ手伝って!』
『……ユーナカリアさん、今日はわたしがカナタさんを予約済みです』
『あ……そうなんですね、ごめんなさい』
『大丈夫……その代わり、今度カナタさんをユーナカリアさんに貸してあげます』
『はい!では次はあたしがお借りします!』
二人が勝手に僕の譲渡について話し合う。
……僕の意見はどこに行ったのだろう?
『ははは……!カナタはモテモテだな!』
「ははは……、笑い事じゃないんだけどな……」
スズタクさんのチャットを見て僕は乾いた笑いを浮かべる……。
『カナタさん、今日は新エリアに行きませんか……?』
『うん、いいよ』
『それじゃあ、ユーナカリアさんは俺とレベル上げをするかい?』
『はい!お願いします!あ、あたしは今トリスタにいます』
『分かった、そっちに向かおう』
『ミオリネさん、僕達はどうする……?』
『……来れるのならヴァルツァに来てほしい』
『分かった、確かショップで転移スクロール売ってたはずだからすぐに行くよ』
『……待ってる』
僕はコントローラーでカナタを操作し、ショップで目的のスクロールを買うとヴァルツァへと移動する。
すると、すぐ目の前にミオリネさんの姿があった。
『ミオリネさん、お待たせ』
『大丈夫、そんなに待ってない……。それよりパーティーの招待を送ります』
ミオリネさんのチャットと共に彼女からのパーティーの参加が届くと、僕はミオリネさんのパーティーへと参加する。
そしてヴァルツァの街を出ると周囲には「ヴァルキュリア」と言う名前が書かれた敵が何体もフィールドにいた。
『それじゃあ……いくよ!』
『カナタさん、援護します……!』
僕はカナタを操作して敵へと攻撃を仕掛けるとその後ろからミオリネさんが矢を放っ敵へと攻撃をする!
しかし、ヴァルキュリアのHPや防御力が高いのか中々倒せない……!
「く……!こいつ硬い……!」
『カナタさん敵が集まってきてます……!』
ミオリネさんのチャットに辺りを見るとヴァルキュリアが数体僕へと向かってくる……!
そして、カナタが攻撃を受けると思った以上に体力を奪われてしまった……!
「くそ……!こいつ強い……!」
『カナタさんHPが……!』
『く……一度撤退しよう……!』
『わかりました……!』
僕はカナタを操作してミオリネさんと共に街へと逃れた。
『思ったより強いね……』
『昨日もスズタクさんも苦戦していました……』
『えぇ~!あのスズタクさんが……っ!?』
スズタクさんは結構な腕前なのでその人が苦戦するとは中々このヴァルキュリアという敵は手強いということを意味していた。
『とりあえず、どうしますか?』
『う~ん……、もう少し戦ってみよう』
『わかりました、ではわたしは援護します』
『ミオリネさん、お願い』
僕はその後もミオリネさんと共に苦戦しながらもゲームで遊んでいた。
昼休み……今日も中庭で亜希と柊さんと共に弁当を食べていると柊さんが脇においていた小さなバックから小袋に入ったクッキー数枚を手渡してくれた。
「ありがとう柊さん!へぇ、おいしそうだね」
受け取ったクッキーはチョコチップクッキーのようでとても美味しそうに見えた。
「よかったら風原さんもどうぞ……」
「え……ええ……、いただくわね」
柊さんは亜希にもクッキーを渡すとなぜか柊さんは少し笑みを浮かべ、亜希の顔は少し引きつっていた……。
亜希ってクッキーが好きじゃないのかな……?
「ねえ、柊さん早速頂いてもいい?」
「ええ、食べてもらえると嬉しい……」
僕は小袋を開くとクッキーを一枚口へと運ぶ……。
するとチョコチップの甘みとクッキーのサクサク感が口の中に広がっていく。
「うん……、柊さんこれ美味しいよ!柊さんって料理得意なんだね!」
「御堂君にそう言ってもらえると嬉しい……。でも、失敗したのもあるからまだまだ……」
「そんなことないよ!これだけ上手に出来るのは凄いと思うよっ!」
「み……御堂君……、そんなにほめられるとわたし恥ずかしい……」
柊さんは少し顔を赤くしながら俯かせていた。
「く……確かにこれ美味しいわね……」
しかし、一方の亜希はというとどこか面白くなさそうにクッキーを食べている。
亜希は甘いのが苦手なのかな……?
「亜希って甘いのが苦手なの?」
「え……っ!?そ……そんなことないわよ……っ!いや、このクッキー美味しいわね……!あはははは……!」
気になった僕は亜希へと聞いてみると、亜希はどこか作り笑いを浮かべながらクッキーを口へと入れていく。
……変なの。
「風原さんのお口にも合うようで何より……。そう言えば昨日風原さんは御堂君と料理の練習をするって言ってたけど、どうだった……?」
「え……ええ……!勿論御堂君と夕飯を作ったわっ!御堂君の教え方が上手いのか、みんな私の料理を美味しいって言ってくれていたわ!それに、昨日は御堂君の部屋で一緒に数学の課題をしたのよ!」
「御堂君の部屋で宿題……」
亜希が何故か胸を張って誇らしげに話すと柊さんの眉がピクリと動く……。
なんだろう……この二人の間で何か火花が散っている……ような気がする。
ここは早めに撤退したほうがいいかもしれない……そう思った僕は二人が見つめっている間にそそくさと逃げることにした……。
「私たち……意外と気が合いそうね……!」
「本当にそう……特にとある部分で共通していそう……」
「御堂君はどう思うっ!?」
「御堂君はどう思う……?」
睨み合っていた二人が振り向いた先には既に僕はいなかったのだった……。
◆◆◆
その日の夜……僕はエリシアへとログインするとメールを受信していたことに気がついた。
(なんだろう……?)
僕はメールを開くと差出人はミオリネさんからだった。
そこには『ログインしたら連絡してほしい』と書いていた。
なんだろう……、まあ兎に角挨拶をするか。
『こんばんは』
『こんばんは!』
『こんばんは……』
『お兄ちゃんこんばんは!』
挨拶をするとスズタクさんと柊さん、それに先にログインしていた由奈ちゃんから返事が返ってきた。
『ねえねえお兄ちゃん!今日もあたしのレベル上げ手伝って!』
『……ユーナカリアさん、今日はわたしがカナタさんを予約済みです』
『あ……そうなんですね、ごめんなさい』
『大丈夫……その代わり、今度カナタさんをユーナカリアさんに貸してあげます』
『はい!では次はあたしがお借りします!』
二人が勝手に僕の譲渡について話し合う。
……僕の意見はどこに行ったのだろう?
『ははは……!カナタはモテモテだな!』
「ははは……、笑い事じゃないんだけどな……」
スズタクさんのチャットを見て僕は乾いた笑いを浮かべる……。
『カナタさん、今日は新エリアに行きませんか……?』
『うん、いいよ』
『それじゃあ、ユーナカリアさんは俺とレベル上げをするかい?』
『はい!お願いします!あ、あたしは今トリスタにいます』
『分かった、そっちに向かおう』
『ミオリネさん、僕達はどうする……?』
『……来れるのならヴァルツァに来てほしい』
『分かった、確かショップで転移スクロール売ってたはずだからすぐに行くよ』
『……待ってる』
僕はコントローラーでカナタを操作し、ショップで目的のスクロールを買うとヴァルツァへと移動する。
すると、すぐ目の前にミオリネさんの姿があった。
『ミオリネさん、お待たせ』
『大丈夫、そんなに待ってない……。それよりパーティーの招待を送ります』
ミオリネさんのチャットと共に彼女からのパーティーの参加が届くと、僕はミオリネさんのパーティーへと参加する。
そしてヴァルツァの街を出ると周囲には「ヴァルキュリア」と言う名前が書かれた敵が何体もフィールドにいた。
『それじゃあ……いくよ!』
『カナタさん、援護します……!』
僕はカナタを操作して敵へと攻撃を仕掛けるとその後ろからミオリネさんが矢を放っ敵へと攻撃をする!
しかし、ヴァルキュリアのHPや防御力が高いのか中々倒せない……!
「く……!こいつ硬い……!」
『カナタさん敵が集まってきてます……!』
ミオリネさんのチャットに辺りを見るとヴァルキュリアが数体僕へと向かってくる……!
そして、カナタが攻撃を受けると思った以上に体力を奪われてしまった……!
「くそ……!こいつ強い……!」
『カナタさんHPが……!』
『く……一度撤退しよう……!』
『わかりました……!』
僕はカナタを操作してミオリネさんと共に街へと逃れた。
『思ったより強いね……』
『昨日もスズタクさんも苦戦していました……』
『えぇ~!あのスズタクさんが……っ!?』
スズタクさんは結構な腕前なのでその人が苦戦するとは中々このヴァルキュリアという敵は手強いということを意味していた。
『とりあえず、どうしますか?』
『う~ん……、もう少し戦ってみよう』
『わかりました、ではわたしは援護します』
『ミオリネさん、お願い』
僕はその後もミオリネさんと共に苦戦しながらもゲームで遊んでいた。
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