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亜希の章 ツンデレな同居人
そして、バレかけた……
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翌朝……僕はスマホのアラームで目を覚ますとすぐ目の前に亜希の寝顔があった。
(そうか……、昨日は僕は亜希と一緒に寝たんだった……)
僕はじっと彼女の寝顔を眺めていると規則正しい柔らかな寝息が聞こえてくる。
(そろそろ起きないと……。それにこの状況を真奈美さんや由奈ちゃんに見られたら説明が面倒くさい事になりそうだ……)
僕はそっと部屋を出て階段へと向かおうとしたその瞬間――
真奈美さんと、ばったり鉢合わせてしまった!
「ま……真奈美さんおはようございます……!」
「あら、彼方くんおはよう。ところで、亜希ちゃん知らないかしら?昨日の夜から亜希ちゃんを探しているんだけど、部屋にいないのよ。彼方くん知らないかしら……?」
ギクぅぅぅぅーーーー……っ!
真奈美さんの言葉に僕の背中に冷や汗が流れる……。
ど……どうする……?なんて答える……?
素直に言うか……白を切るか……。
どちらにせよ部屋を見られたら終わるわけで……。
「え……えっと……、亜希は昨日の夜は僕と一緒に試験勉強をしてて……」
「そうなの?それで、その後亜希ちゃんはどこに行ったのか知らないかしら?」
「えっと……それは……その……」
「う……うぅ……ん……」
僕はどうやってこの場を乗り切ろうかと頭を悩ませていると僕の部屋から亜希の声が聞こえてきた……!
ま……まずい……!
非常にまずい……!
「あら……?彼方くんの部屋から亜希ちゃんの声がしたような……」
僕は一瞬、心臓が止まったような気がした。
部屋から聞こえた亜希の声は、はっきりと、そして確実に真奈美さんの耳にも届いてしまった。
「そ……それは……えっと……」
言葉が詰まる。
どう言い訳しても、もう逃げ場はない。
すると、最悪のタイミングで亜希が僕の部屋のドアを開けて姿を現した!
「おはよう、彼方……あっ……!」
亜希もすぐに状況を察した。
廊下に立つ真奈美さんと、固まっている僕。
そして、自分が彼方の部屋から出てきたという事実。
「……あら、亜希ちゃん。おはよう。ずいぶん……早い時間から彼方くんの部屋にいたのね?」
「お……お母さんおはよう……。えっと……その……昨日は彼方と試験勉強してて……そのまま……」
亜希の声が小さくなる。
真奈美さんはしばらく沈黙したあと、ふっと微笑んだ。
「……まあ、勉強してたなら仕方ないわね。試験前だもの、集中できる場所が一番よね」
「え……?」
「ただし、次からはちゃん自分の部屋に戻るのよ。いくら恋人同士とはいえ、節度は大事よ?」
「う……うん……、ごめん……」
亜希がぺこりと頭を下げる。
僕も慌てて頭を下げた。
「すみません……僕も、気をつけます……」
真奈美さんは最後に「ふふ、若いっていいわね」と笑って、キッチンへと向かっていった。
その背中を見送りながら、僕と亜希は顔を見合わせる。
「……助かったのかしら?」
「……たぶん……でも、次は気をつけようね」
「そうね……」
僕たちは小さく頷き合うと、階段を降りて朝食の匂いが漂うリビングへと向かった。
◆◆◆
教室に入ると、試験前の空気が漂っていた。
生徒たちは最後の悪あがきに必死で、教科書を睨みつけている。
その中には悠人の姿もあり、教科書を両手でもって文字通り血眼になって睨んでいた。
「御堂君、風原さんおはよう……」
自分の机へと通学用のリュックを置くと柊さんが声をかけてくる。
試験前だというのに、柊さんの顔には余裕が浮かんでいた。
「柊さん、おはよう」
「柊さんは最後の悪あがき的なのはいいの?」
「……わたしはいつも予習と復習をやってる。だから悪あがきする必要はない」
「そ……そうなんだ、流石だね……」
柊さんは無表情のまま僕たちへとピースをしている。
「それより、御堂君と風原さんこそ悪あがきはいいの……?」
「僕たちはしっかり試験勉強してきたら。ね、亜希」
「ええ、私たちもバッチリよ!」
「二人が言うとなぜか違う勉強をしていたように聞こえる。……してたのは保健体育?」
「違うよ!」
「違うわよっ!」
柊さんのとんでもない発言に僕と亜希は顔を真っ赤にさせながらツッコミを入れたのだった。
(そうか……、昨日は僕は亜希と一緒に寝たんだった……)
僕はじっと彼女の寝顔を眺めていると規則正しい柔らかな寝息が聞こえてくる。
(そろそろ起きないと……。それにこの状況を真奈美さんや由奈ちゃんに見られたら説明が面倒くさい事になりそうだ……)
僕はそっと部屋を出て階段へと向かおうとしたその瞬間――
真奈美さんと、ばったり鉢合わせてしまった!
「ま……真奈美さんおはようございます……!」
「あら、彼方くんおはよう。ところで、亜希ちゃん知らないかしら?昨日の夜から亜希ちゃんを探しているんだけど、部屋にいないのよ。彼方くん知らないかしら……?」
ギクぅぅぅぅーーーー……っ!
真奈美さんの言葉に僕の背中に冷や汗が流れる……。
ど……どうする……?なんて答える……?
素直に言うか……白を切るか……。
どちらにせよ部屋を見られたら終わるわけで……。
「え……えっと……、亜希は昨日の夜は僕と一緒に試験勉強をしてて……」
「そうなの?それで、その後亜希ちゃんはどこに行ったのか知らないかしら?」
「えっと……それは……その……」
「う……うぅ……ん……」
僕はどうやってこの場を乗り切ろうかと頭を悩ませていると僕の部屋から亜希の声が聞こえてきた……!
ま……まずい……!
非常にまずい……!
「あら……?彼方くんの部屋から亜希ちゃんの声がしたような……」
僕は一瞬、心臓が止まったような気がした。
部屋から聞こえた亜希の声は、はっきりと、そして確実に真奈美さんの耳にも届いてしまった。
「そ……それは……えっと……」
言葉が詰まる。
どう言い訳しても、もう逃げ場はない。
すると、最悪のタイミングで亜希が僕の部屋のドアを開けて姿を現した!
「おはよう、彼方……あっ……!」
亜希もすぐに状況を察した。
廊下に立つ真奈美さんと、固まっている僕。
そして、自分が彼方の部屋から出てきたという事実。
「……あら、亜希ちゃん。おはよう。ずいぶん……早い時間から彼方くんの部屋にいたのね?」
「お……お母さんおはよう……。えっと……その……昨日は彼方と試験勉強してて……そのまま……」
亜希の声が小さくなる。
真奈美さんはしばらく沈黙したあと、ふっと微笑んだ。
「……まあ、勉強してたなら仕方ないわね。試験前だもの、集中できる場所が一番よね」
「え……?」
「ただし、次からはちゃん自分の部屋に戻るのよ。いくら恋人同士とはいえ、節度は大事よ?」
「う……うん……、ごめん……」
亜希がぺこりと頭を下げる。
僕も慌てて頭を下げた。
「すみません……僕も、気をつけます……」
真奈美さんは最後に「ふふ、若いっていいわね」と笑って、キッチンへと向かっていった。
その背中を見送りながら、僕と亜希は顔を見合わせる。
「……助かったのかしら?」
「……たぶん……でも、次は気をつけようね」
「そうね……」
僕たちは小さく頷き合うと、階段を降りて朝食の匂いが漂うリビングへと向かった。
◆◆◆
教室に入ると、試験前の空気が漂っていた。
生徒たちは最後の悪あがきに必死で、教科書を睨みつけている。
その中には悠人の姿もあり、教科書を両手でもって文字通り血眼になって睨んでいた。
「御堂君、風原さんおはよう……」
自分の机へと通学用のリュックを置くと柊さんが声をかけてくる。
試験前だというのに、柊さんの顔には余裕が浮かんでいた。
「柊さん、おはよう」
「柊さんは最後の悪あがき的なのはいいの?」
「……わたしはいつも予習と復習をやってる。だから悪あがきする必要はない」
「そ……そうなんだ、流石だね……」
柊さんは無表情のまま僕たちへとピースをしている。
「それより、御堂君と風原さんこそ悪あがきはいいの……?」
「僕たちはしっかり試験勉強してきたら。ね、亜希」
「ええ、私たちもバッチリよ!」
「二人が言うとなぜか違う勉強をしていたように聞こえる。……してたのは保健体育?」
「違うよ!」
「違うわよっ!」
柊さんのとんでもない発言に僕と亜希は顔を真っ赤にさせながらツッコミを入れたのだった。
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