罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

文字の大きさ
45 / 187
亜希の章 ツンデレな同居人

運命の席順

しおりを挟む
 学園を出発して、バスに揺られること約1時間半……。
 ようやく空港に到着した僕たちは、班ごとに並びながら空港の中へと入っていく。

 空港の中は、僕たち青葉ケ丘学園の生徒だけでなく、旅行客やビジネスマンで賑わっていた。  
 上を見上げると、行き先を示す電光掲示板が光っている。  
 そして遠くの窓には、滑走路に並ぶ飛行機の姿も見えた。

(もうすぐあれに乗って沖縄に行くんだ……!)

 飛行機の姿を見ただけで、胸の奥がじわっと高鳴る。

「みんな班のメンバーはそろってますか?確認してくださいっ!」

 渡辺先生の言葉に僕は班のメンバーを確認する。
 僕の隣には亜希、それに柊さんと早乙女さん、あとは悠人に……そして高藤……。

 このメンバー6人が僕たち4班のメンバーなんだけど……高藤が班に入っていることに若干不安を覚えなくもない……。

「全員そろってますね!では飛行機に搭乗しますが、その前にトイレに行きたい人は今のうちに行っておいてください!」

 先生の声に多くの生徒達がトイレへと向かっていく。

「亜希、みおっち、トイレに行こ!」

 早乙女さんもトイレに行くのか、亜希と柊さんへと声をかける。

「うん、それじゃあ彼方、私トイレに行ってくるわ」

「……わたしも行ってくる」

 亜希と柊さんは早乙女さんと一緒にトイレへと向かった。

 ……なんで女子って集団でトイレに行きたがるんだろう?
 僕は首をかしげる。

「御堂、俺たちも今のうちにトイレに行っておくとしよう」

「行っておこうぜ彼方」

 ……男も一緒か。

「……そうだね」

 僕も高藤と悠人と共にトイレへと向かう。


「おい、彼方……お前バスの中で随分と風原さんとイチャイチャしていたみたいだな……」

 用を済ませ、洗面台で手を洗っていると悠人が嫉妬に満ちた目で僕を睨む。

「い……いや……、それは……」

 実際イチャイチャしていたため否定する事が出来ない……。

「お前ばっかりズルいんだよっ!彼女と隣の席でイチャイチャして、間接キスまでして……!俺だって修学旅行前に彼女作って、甘々な旅をする予定だったのに……!」  

 悠人は肩を掴んで僕をガクガク揺らしてくる。

「や……やめてよ悠人……!」

「はははは……!御堂と風原の様子は注目の的だったからな」

「そうだ……!これはクラス男子全員の怨念だと思えーーーっ!!」

 悠人は額に青筋を立てながら、さらに僕を揺らす。  
 ……言ってることが滅茶苦茶すぎる!

「ちょ……!やめてよ……っ!」

 散々揺すられて目を回しながら、僕はふらふらと集合場所へ向かった。  
 ……修学旅行、まだ始まったばかりなのに、すでに体力を削られている気がする。


 ◆◆◆


 飛行機に乗り込んだ僕たちは、指定された座席へと向かう。  
 左側の窓際、そこが僕と亜希の席だった。
 亜希はシートベルトを締めながら、窓の外を見て目を輝かせている。

「私、飛行機とか初めて乗るから胸がすっごくドキドキしてる……」

 亜希は緊張した笑みを浮かべながら自分の胸へと手を当てている。

「僕も飛行機は初めてだからすごく緊張するよ。でも……こうすると少し緊張がほぐれるような気がするよ」

 僕はそっと亜希の手を握ると亜希は顔を赤くしながら僕の顔を見つめる。

「彼方……うん、手を握っててくれるとなんか落ち着く……」

 僕たちは甘い自分たちの世界を形成させていた……。

「コラそこーっ!いきなりイチャつくなーっ!」

 甘い空気をぶち壊す声が、通路の向こうから飛んできた。
 僕は通路を挟んだ右隣を見るとそこには僕を指さし睨見つける悠人の姿があった。

 座席は左の窓側に僕と亜希、通路を挟んで真ん中に悠人・渡辺先生・高藤。
 右の窓側には柊さんと早乙女さんが並んでいた。

「はいはい、真壁君はそんなに怒らないの。隣に先生が座ってるでしょ?」

「嫌だよ!なんで俺の隣が先生なんだよっ!」

「はははは……!真壁諦めろっ!」

 悠人の叫び声に、高藤が嘲笑うかのような高笑いをあげると、渡辺先生は苦笑しながら、悠人の肩をぽんと叩いた。

「真壁君、修学旅行はまだ始まったばかりだからね。落ち着いて」

「落ち着けるかよ……!俺の隣が先生で、御堂は彼女とイチャイチャしてて……!」

「それは運命の席順だから、諦めなさい」

 先生の冷静な一言に、悠人はぐぬぬ……と唸りながら座席に沈み込む。  

『ご搭乗の皆様にお知らせいたします。当機は間もなく離陸いたしますのでシートベルトを今一度ご確認ください』

「CAさ~ん!ぜひとも先生じゃなくて俺の隣に……!」

「は~い、真壁君は静かにしましょうね~♪」

「はい……」

 先生に睨まれた悠人がしょんぼりと黙った頃、飛行機は滑走路へと向けて動き出した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

体育館倉庫での秘密の恋

狭山雪菜
恋愛
真城香苗は、23歳の新入の国語教諭。 赴任した高校で、生活指導もやっている体育教師の坂下夏樹先生と、恋仲になって… こちらの作品は「小説家になろう」にも掲載されてます。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

処理中です...