罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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由奈の章 甘えたがりな義妹

高藤から課せられた最後の課題

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 家庭科室を出た僕と由奈はスタンプラリー最後の場所である保健室へとやって来た。

「失礼します」

 僕は由奈と共に保健室へと入るとそこには椅子に座っている女性の養護教諭の姿があった。
 まあ……保健室だから当然なのだけど……。

「どうしたんだい?ケガでもしたの?でも、そのようには見えないけど……」

 先生は特にケガをしたわけでもない僕たちを見ると少し不思議そうな顔をしていた。

「あの……あたし達はスタンプラリーに来たんです」

「ああ……、あれね」

 由奈は先生にスタンプラリーの紙を見せると、先生は立ち上がると、保健室の隅からテレビが乗せられているキャスター付きの台を運んできた。

(あのテレビとスタンプラリーとなんの関係があるのかな……?)

 僕は不思議そうにテレビへと目を向けていると先生はテレビとそれに繋がっているブルーレイプレイヤーの電源を入れた。

『ふふふ……ははははっ!ようこそ、保健室へ!』

 そこに映し出されたのはなんと高藤だった!
 なんとコレは高藤からのビデオメッセージだった……!

「高藤……っ!?」

 僕は思わず奴の名前を叫ぶ!
 なんでこいつはこういうところで拘るんだよ……!

『ここでは〇〇をしてもらうっ!』

「〇〇だって……っ!?」
「えぇ……っ!?」

 高藤の言葉に僕と由奈は同時に声をあげると思わず顔を赤くしてお互いの顔を見合わせる……。
 ま……〇〇ってまさか……あ……アレのこと……っ!?

 ここは保健室……ベッドもある……。
 でも、学園祭とは言え学校でそんな事が許されるのか……っ!?

 僕と由奈は顔を真っ赤にして、視線をそらす。
 それに先生の目もあるし……。

『一応言っておくが卑猥なことでは無いから安心しろ!むしろ〇〇と言って卑猥な事をさせるなど俺から言わせれば三流のする事だ。俺のようなエンターテイナーともなれば一味も二味も違う!』

 いや……エンターテイナーって……。
 お前いつからそうなったんだよ……!

 僕は心の中で高藤にツッコミを入れる。

『さあここで何をするのか……それはこのルーレットで決めさせてもらうっ!』

 高藤がそう言うと突然画面に大きなルーレットが映し出される。

 書かれているのは30秒間キス、お互いにビンタ10回づつ、3分間スクワット、一分間見つめ合う、3分間ハグ、そして……全部!

 なんだよこのラインナップ……!
 ていうか一人で回ってたらどうするつもりなのさ……!

『さあ……運命のルーレット……スタートだっ!』
  
 高藤が画面の向こうでボタンを押すとルーレットが回りはじめる……!

 な……何にあたるんだ……?
 僕と由奈は固唾をのんでルーレットを見つめる……。
 そしてしばらく回ったルーレットはついに止まった!

 ルーレットが止まった先は——“全部”。

『ふははははっ!おめでとう!全部だ!運命は君たちを選んだ!』

 僕と由奈は顔を真っ赤にして、同時に叫んだ。

「えええええええええええええええええええええっ!?」

「へぇ~、全部なんてある意味すごいじゃない。何回かこれに挑戦した人を見たけど、全部に当って人はいなかったよ」

 その結果を見て養護教諭は面白そうにニヤニヤと笑う。

 いや……!先生は面白いかもしれないけど、こっちは面白くないから……!

「兎に角彼方さんやろうよ!」

 "全部"という結果を見ても笑顔の由奈に流される形で僕も覚悟を決める。

「順番はどれからでもいいと思うから先にスクワットを済ませたほうがいいんじゃない?そしたら後はハグでもキスでも好きなだけできると思うけど?」

 先生のニヤニヤとした笑みに僕と由奈は顔を赤くしながらスクワットを始める。

「1……2……3……!」

 僕と由奈はスクワット30回から始める……。
 最初はこんなものかと思っていたけど、十数回を超えた辺りから脚がキツくなってくる……!

「彼方さん……!あたし脚がプルプルしてきた……!それに……スカートの中見えそうだよぉ~……!」

「スカートの中は見えてないから、ほらあと10回がんばんな~!」

 先生に茶化されながらも、僕たちはなんとか30回をやり切り、その場にへたり込んだ。

「はあ……はあ……、意外とキツイ……」

「あたし……脚がもうプルプルしてる……」

 僕は由奈の方へと目をやると、スカートの中へと目を向けると、それに気がついたのか由奈は顔を赤くしながらスカートを押さえて僕を睨んでくる。

「彼方さんのエッチ……!」

「ご……ごめん……」

「……見た?」

「見てない……!見てないよ……っ!」

 僕は首を横へと振って否定する。

 ……嘘です、本当は少しだけ見えました。
 白と水色のシマシマな布が……。

 でもそれを言ったら怒られそうだから止めておこう……。

「さ、次は何にする?御堂は彼氏にスカートの中を見られた恥ずかしさをビンタで伝えるっていうのはどう?」

 先生は笑いながら次の提案をしてくる。

(先生……!絶対楽しんでるよね……っ!?)

「……そうします」

 由奈は顔を赤くしながら立ち上がり、僕を睨んで手を振り上げた。

「え……?ちょ……由奈……っ!?」

「彼方さんの……エッチ……!」

 そして由奈のビンタがの頬へと当たる……!

 ―ペチ……―

「え……?」

 僕は思わず目を閉じるも、当たったビンタは思ったよりも痛くなかった……。

 それはいいんだけど、由奈がビンタをしたということは僕もまた由奈にビンタをしなければならないということ……。
 まさか男である僕が彼女に手を挙げるわけにもいかないし……どうしたものか……。

「さあ次は彼氏くんの番だよ。ビンタと言っても"強く"とは指定されていないんだし、じゃれ合うつもりでしてもいいんじゃない?」

 頭を悩ませていた僕は先生のアドバイスに僕はハッとする。

(そうか……じゃれ合う感じでもビンタには変わりないのか……)

 そう思った僕は手を由奈の頬へと軽く当てると、由奈はビクっと少し体を震わせていた。

「えへへ、彼方さん全然痛くないよ?」

「そ……そりゃあ……思い切り叩くわけにはいかないからね……」

 その後も僕達はペチペチとじゃれ合うようなビンタをお互い行った。
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