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由奈の章 甘えたがりな義妹
彼氏の勲章
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由奈が選んだ飲み物が、料理部の男子によって運ばれてきた。
「お待たせ致しました、ご注文の"ドリンク"です」
トレーに乗せられて来た苦瓜ジュースは泡立った緑色をしている。
同じ緑でも、これがメロンジュースとかなり喜んで飲むのだけど、これにはただ苦いだけの味しか期待できない……。
しかも、何のドリンクなのかも由奈には明かさない徹底ぶり……。
唯一の救いは普通のコップに入れられていることくらいだろうか……。
これがもしビールジョッキみたいなので来られたら殺意を感じるレベルだ。
「彼方さん、飲み物が来たみたいだね!あたし頑張ってこぼさずに全部飲ませてあげるから楽しみにしててね!」
状況を知らない由奈の言葉に僕は悪意すら感じてしまう……。
いや、由奈が何を引いたのかわからないというのは知ってる……。
でも……苦瓜ジュースを前に嬉々として言われても嫌がらせなのかとすら思えてしまう……。
(いや……考え方を変えろ……!僕が由奈を苦瓜ジュースから守ったんだ……!)
僕は自分にそう言い聞かせる。
「それではドリンクを目の前に置いておきますね」
料理部の男子は苦瓜ジュースを僕の目の前へと置くとこの場を離れる。
(これを今から飲まないといけないんだよなぁ……、嫌だなぁ~……)
僕は渋い顔で苦瓜ジュースを見ていると、何も知らない由奈が苦瓜ジュースの入ったコップへと手を伸ばす。
「それじゃあ彼方さん、一気に行くよ!」
一気はやめて……!
僕は由奈にそう言おうとするも、その前に由奈の手が容赦なく僕の口元にグラスを押し当ててくる。
(ちょ……!本当は見えてるんじゃないの……っ!?)
そう思うほど由奈は正確に僕の口へとグラスを当ててくる。
そして……由奈の宣告通り一気に僕の口の中へと苦瓜ジュースが流し込まれる……!
「彼方さんどう?おいしい?」
(苦……!苦い……っ!)
強烈な苦味と青臭さが、容赦なく僕の舌を蹂躙する……!
吐き出そうにも由奈によって次々と口の中へと流し込まれるため僕は文字通り涙目になりながらもどうにか飲み込んでいく……。
「どう?彼方さん飲んだ?」
由奈の無邪気な問いかけに、僕はただ、うなずくことすらできなかった……。
◆◆◆
「彼方さん……!本当にごめんなさい……っ!」
二人羽織を終えたあと、由奈が頭を下げると、僕はぐったりと椅子に沈みながら、手を軽く上げて制した。
「いや……いいんだ……。由奈は知らなかった訳だし……」
僕は由奈を苦瓜ジュースから守った。
そう、これは男として、彼氏としての……勲章だ。
僕は未だ口の中に残る苦味に顔をしかめながらも自分にそう言い聞かせる……。
「でも……彼方さん口の中……苦いよね……?」
「うん……すごく……」
「ならその苦さ……あたしにも分けて……」
「え……?」
由奈はそう言うと、そっと僕の唇に触れてきた。
突然のキスに、僕は目を見開く。
そして——由奈の舌が、僕の口の中へと滑り込んでくる。
由奈の舌は、まるで僕の口の中に残る苦味を確かめるように、ゆっくりと動いていた。
そして……。
「ん……んちゅ……。えへへ、彼方さん……この苦瓜ジュースってすごく苦いね……」
由奈は頬を赤くしながらも顔をしかめると僕の心臓はドキッと跳ねる。
そして……その様子は、料理部の人たちにしっかりと目撃されていた。
僕の顔は、苦味とは別の意味で真っ赤になっていた。
「お待たせ致しました、ご注文の"ドリンク"です」
トレーに乗せられて来た苦瓜ジュースは泡立った緑色をしている。
同じ緑でも、これがメロンジュースとかなり喜んで飲むのだけど、これにはただ苦いだけの味しか期待できない……。
しかも、何のドリンクなのかも由奈には明かさない徹底ぶり……。
唯一の救いは普通のコップに入れられていることくらいだろうか……。
これがもしビールジョッキみたいなので来られたら殺意を感じるレベルだ。
「彼方さん、飲み物が来たみたいだね!あたし頑張ってこぼさずに全部飲ませてあげるから楽しみにしててね!」
状況を知らない由奈の言葉に僕は悪意すら感じてしまう……。
いや、由奈が何を引いたのかわからないというのは知ってる……。
でも……苦瓜ジュースを前に嬉々として言われても嫌がらせなのかとすら思えてしまう……。
(いや……考え方を変えろ……!僕が由奈を苦瓜ジュースから守ったんだ……!)
僕は自分にそう言い聞かせる。
「それではドリンクを目の前に置いておきますね」
料理部の男子は苦瓜ジュースを僕の目の前へと置くとこの場を離れる。
(これを今から飲まないといけないんだよなぁ……、嫌だなぁ~……)
僕は渋い顔で苦瓜ジュースを見ていると、何も知らない由奈が苦瓜ジュースの入ったコップへと手を伸ばす。
「それじゃあ彼方さん、一気に行くよ!」
一気はやめて……!
僕は由奈にそう言おうとするも、その前に由奈の手が容赦なく僕の口元にグラスを押し当ててくる。
(ちょ……!本当は見えてるんじゃないの……っ!?)
そう思うほど由奈は正確に僕の口へとグラスを当ててくる。
そして……由奈の宣告通り一気に僕の口の中へと苦瓜ジュースが流し込まれる……!
「彼方さんどう?おいしい?」
(苦……!苦い……っ!)
強烈な苦味と青臭さが、容赦なく僕の舌を蹂躙する……!
吐き出そうにも由奈によって次々と口の中へと流し込まれるため僕は文字通り涙目になりながらもどうにか飲み込んでいく……。
「どう?彼方さん飲んだ?」
由奈の無邪気な問いかけに、僕はただ、うなずくことすらできなかった……。
◆◆◆
「彼方さん……!本当にごめんなさい……っ!」
二人羽織を終えたあと、由奈が頭を下げると、僕はぐったりと椅子に沈みながら、手を軽く上げて制した。
「いや……いいんだ……。由奈は知らなかった訳だし……」
僕は由奈を苦瓜ジュースから守った。
そう、これは男として、彼氏としての……勲章だ。
僕は未だ口の中に残る苦味に顔をしかめながらも自分にそう言い聞かせる……。
「でも……彼方さん口の中……苦いよね……?」
「うん……すごく……」
「ならその苦さ……あたしにも分けて……」
「え……?」
由奈はそう言うと、そっと僕の唇に触れてきた。
突然のキスに、僕は目を見開く。
そして——由奈の舌が、僕の口の中へと滑り込んでくる。
由奈の舌は、まるで僕の口の中に残る苦味を確かめるように、ゆっくりと動いていた。
そして……。
「ん……んちゅ……。えへへ、彼方さん……この苦瓜ジュースってすごく苦いね……」
由奈は頬を赤くしながらも顔をしかめると僕の心臓はドキッと跳ねる。
そして……その様子は、料理部の人たちにしっかりと目撃されていた。
僕の顔は、苦味とは別の意味で真っ赤になっていた。
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