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澪の章 寡黙なクラス委員長
澪……静かなる攻勢
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──彼方──
翌朝、亜希と一緒に教室へ入り、自分の席に座って周囲を見渡す。
仲のいい奴で来てるのは悪友の高藤と悠人くらい……。
柊さんは……まだ来ていないみたいだ。
(そんなことより……1時限目はなんだったかな……)
僕は授業の準備をしていると、不意に頭の上になにか柔らかくて温かいものが乗せられた。
なんだコレ……?
「御堂君……おはよう……」
そして突然上の方から柊さんの声が聞こえてくる。
僕は顔を動かして上を向くと柊さんの姿があった。
しかも……僕の頭の上に乗せられていたのは彼女の胸だった……!
「ひ……柊さん……っ!?何してるの……っ!?」
「あ……御堂君動いたらダメ……」
僕は咄嗟に頭を動かそうとすると柊さんに止められてしまう。
「な……なんで動いたらダメなの……っ!?」
「今胸を休ませてる……こうしてると肩が楽になる……」
僕の頭は胸置き台っ!?
「御堂君……」
そして隣の席からは亜希の冷たい視線が僕へと向けられる……!
「違うから……!僕のせいじゃないから……!」
僕は亜希へと弁明を述べるも彼女は聞き入れることもなく鋭い眼差しを僕へと向け続ける……。
別に亜希とは付き合っている訳じゃ無いけど、男としては女の子から冷たい視線を向けられるのはたまったものじゃない……!
「……柊さんも御堂君から離れたら?彼嫌がってるわよ?」
「御堂君、嫌……?」
柊さんは亜希から向けられる冷たい視線に動じることもなく無表情で僕へと問う。
「え……?いや……その……」
イヤッて訳じゃないんだけど……周囲の視線が痛いというかなんというか……。
僕は周囲を見渡すと男子たちの目は嫉妬でギラつき、女子たちの視線は冷え冷えとしていた。
「……御堂君嫌がってない。なら大丈夫」
「全然大丈夫じゃないわよっ!そもそも男子の頭の上に胸を置いて恥ずかしくないの……っ!?」
「わたしは別に……。御堂君なら問題ない……」
柊さんは怒鳴る亜希をものともせず、むしろ僕の頭の上に胸を乗せたまま、余裕の表情さえ見せていた。
無表情なのに、どこか満足げな空気を纏っている。
「御堂君の頭、あったかい……。高さもちょうどいい……」
ちょうどいい高さって……僕は家具っ!?それとも枕かか何か!?
「柊さん、ほんとにやめなさいってば!」
亜希が机を叩いて立ち上がると、教室の空気が一瞬ピリつく。
「風原さん、怒ってる……?」
「当然でしょ!御堂が困ってるの、見てわかんないの!?」
「別に風原さんと御堂君は付き合ってる訳じゃないんでしょ……?なのに何で風原さんが怒る必要あるの……?」
「そ……それは……」
柊さんの的を得た発言に流石の亜希も押されていた。
「それに……御堂君は困ってる顔してない……。むしろ、ちょっと照れてる……」
「なっ……!」
亜希が僕へと視線を向けると僕は慌てて顔を伏せる。
柊さん、どこまで見てるんだ……!?
「御堂君の照れてる顔……好き……」
そう言って、ようやく僕の頭から胸を離した柊さん。
無表情のまま、ほんのり頬を染めていた。
無表情なのに、感情が見える。
そのギャップに、僕の心臓が跳ねた。
「じゃあ、わたしは席に戻るね……。また、胸を休ませたくなったら……お願いする……」
澪さんは静かに席へと戻っていくと、代わりに悠人が嫉妬に満ちた目を向けながらやって来た。
「おい彼方……!お前なに朝から羨ましい目に遭ってるんだよ……!」
「いや……それは僕に言われても……」
むしろ柊さんに言って……!
「なんでお前ばっかりそんなおいしい目に遭うんだ!おかしいだろ……っ!」
悠人は僕の肩を掴むと前後にガクガクと揺らし始める……!
「ちょ……!やめてよ……!目が……目が回るから……!」
「回れ……!そして俺と入れ替われ……!今すぐだっ!」
そんな無茶苦茶な……!
亜希は僕を見ると、、ため息をついた。
「……あんた、ほんとに柊さんに狙われてるわよ」
「そ、そんなこと……」
「いーや!そんなことあるっ!なんでそんなにお前は女子に人気があるんだよ……!」
僕の肩を揺すっていた悠人が今度はヘッドロックをしてくる……!
「痛い……!痛いから……っ!」
「これは俺たちの嫉妬と憎しみの痛みだと思い知れーー……!」
「ギブアップ……!ギブアップするからもう止めて……!」
僕は机を叩くとようやく解放された……。
しかし……柊さんの“次の一手”が待っていることを、この時の僕はまだ知らなかった。
~サイドストーリー~
──澪──
御堂君から離れて自分の席へと座ると、わたしの数少ない友達の一人である早乙女 瀬玲奈という女生徒がニヤニヤとしながらやってきた。
「ねえミオっち!さっきの超大胆だったじゃん!何あれ~!?」
早乙女さんの言うミオっちとはわたしのこと。
「別に……、ただ風原さんに宣戦布告しただけ……」
「へぇ~、亜希に宣戦布告ってことは……御堂君を巡る三角関係、勃発って感じ?」
「ん……、わたしは負けない……」
「ミオっちにしては珍しく燃えてるね……!ウチとしては亜希も友達だからどっちかを応援するのは難しい感じだけど、ミオっちの気持ちが御堂君に届くといいね!」
「うん……、わたし頑張る……!」
わたしはそう言うと早乙女さんにファイティングポーズを見せる。
多分風原さんも御堂君が好きなんだろうけど、彼女は素直になれない性格だったと思う……。
わたしはその間にグイグイと御堂君に積極的にアプローチをかける……。
そのためなら……わたしは手段を選ばない……。
この体を武器にしてでも御堂君を落とす……!
わたしの心は静かに……でも確かに燃えていた……。
翌朝、亜希と一緒に教室へ入り、自分の席に座って周囲を見渡す。
仲のいい奴で来てるのは悪友の高藤と悠人くらい……。
柊さんは……まだ来ていないみたいだ。
(そんなことより……1時限目はなんだったかな……)
僕は授業の準備をしていると、不意に頭の上になにか柔らかくて温かいものが乗せられた。
なんだコレ……?
「御堂君……おはよう……」
そして突然上の方から柊さんの声が聞こえてくる。
僕は顔を動かして上を向くと柊さんの姿があった。
しかも……僕の頭の上に乗せられていたのは彼女の胸だった……!
「ひ……柊さん……っ!?何してるの……っ!?」
「あ……御堂君動いたらダメ……」
僕は咄嗟に頭を動かそうとすると柊さんに止められてしまう。
「な……なんで動いたらダメなの……っ!?」
「今胸を休ませてる……こうしてると肩が楽になる……」
僕の頭は胸置き台っ!?
「御堂君……」
そして隣の席からは亜希の冷たい視線が僕へと向けられる……!
「違うから……!僕のせいじゃないから……!」
僕は亜希へと弁明を述べるも彼女は聞き入れることもなく鋭い眼差しを僕へと向け続ける……。
別に亜希とは付き合っている訳じゃ無いけど、男としては女の子から冷たい視線を向けられるのはたまったものじゃない……!
「……柊さんも御堂君から離れたら?彼嫌がってるわよ?」
「御堂君、嫌……?」
柊さんは亜希から向けられる冷たい視線に動じることもなく無表情で僕へと問う。
「え……?いや……その……」
イヤッて訳じゃないんだけど……周囲の視線が痛いというかなんというか……。
僕は周囲を見渡すと男子たちの目は嫉妬でギラつき、女子たちの視線は冷え冷えとしていた。
「……御堂君嫌がってない。なら大丈夫」
「全然大丈夫じゃないわよっ!そもそも男子の頭の上に胸を置いて恥ずかしくないの……っ!?」
「わたしは別に……。御堂君なら問題ない……」
柊さんは怒鳴る亜希をものともせず、むしろ僕の頭の上に胸を乗せたまま、余裕の表情さえ見せていた。
無表情なのに、どこか満足げな空気を纏っている。
「御堂君の頭、あったかい……。高さもちょうどいい……」
ちょうどいい高さって……僕は家具っ!?それとも枕かか何か!?
「柊さん、ほんとにやめなさいってば!」
亜希が机を叩いて立ち上がると、教室の空気が一瞬ピリつく。
「風原さん、怒ってる……?」
「当然でしょ!御堂が困ってるの、見てわかんないの!?」
「別に風原さんと御堂君は付き合ってる訳じゃないんでしょ……?なのに何で風原さんが怒る必要あるの……?」
「そ……それは……」
柊さんの的を得た発言に流石の亜希も押されていた。
「それに……御堂君は困ってる顔してない……。むしろ、ちょっと照れてる……」
「なっ……!」
亜希が僕へと視線を向けると僕は慌てて顔を伏せる。
柊さん、どこまで見てるんだ……!?
「御堂君の照れてる顔……好き……」
そう言って、ようやく僕の頭から胸を離した柊さん。
無表情のまま、ほんのり頬を染めていた。
無表情なのに、感情が見える。
そのギャップに、僕の心臓が跳ねた。
「じゃあ、わたしは席に戻るね……。また、胸を休ませたくなったら……お願いする……」
澪さんは静かに席へと戻っていくと、代わりに悠人が嫉妬に満ちた目を向けながらやって来た。
「おい彼方……!お前なに朝から羨ましい目に遭ってるんだよ……!」
「いや……それは僕に言われても……」
むしろ柊さんに言って……!
「なんでお前ばっかりそんなおいしい目に遭うんだ!おかしいだろ……っ!」
悠人は僕の肩を掴むと前後にガクガクと揺らし始める……!
「ちょ……!やめてよ……!目が……目が回るから……!」
「回れ……!そして俺と入れ替われ……!今すぐだっ!」
そんな無茶苦茶な……!
亜希は僕を見ると、、ため息をついた。
「……あんた、ほんとに柊さんに狙われてるわよ」
「そ、そんなこと……」
「いーや!そんなことあるっ!なんでそんなにお前は女子に人気があるんだよ……!」
僕の肩を揺すっていた悠人が今度はヘッドロックをしてくる……!
「痛い……!痛いから……っ!」
「これは俺たちの嫉妬と憎しみの痛みだと思い知れーー……!」
「ギブアップ……!ギブアップするからもう止めて……!」
僕は机を叩くとようやく解放された……。
しかし……柊さんの“次の一手”が待っていることを、この時の僕はまだ知らなかった。
~サイドストーリー~
──澪──
御堂君から離れて自分の席へと座ると、わたしの数少ない友達の一人である早乙女 瀬玲奈という女生徒がニヤニヤとしながらやってきた。
「ねえミオっち!さっきの超大胆だったじゃん!何あれ~!?」
早乙女さんの言うミオっちとはわたしのこと。
「別に……、ただ風原さんに宣戦布告しただけ……」
「へぇ~、亜希に宣戦布告ってことは……御堂君を巡る三角関係、勃発って感じ?」
「ん……、わたしは負けない……」
「ミオっちにしては珍しく燃えてるね……!ウチとしては亜希も友達だからどっちかを応援するのは難しい感じだけど、ミオっちの気持ちが御堂君に届くといいね!」
「うん……、わたし頑張る……!」
わたしはそう言うと早乙女さんにファイティングポーズを見せる。
多分風原さんも御堂君が好きなんだろうけど、彼女は素直になれない性格だったと思う……。
わたしはその間にグイグイと御堂君に積極的にアプローチをかける……。
そのためなら……わたしは手段を選ばない……。
この体を武器にしてでも御堂君を落とす……!
わたしの心は静かに……でも確かに燃えていた……。
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