罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

文字の大きさ
142 / 187
柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長

彼方の決意

しおりを挟む
 チャイムが鳴り、ホームルームが終わる頃——教室のスピーカーから、突然如月先輩の声が流れた。

『皆様、生徒会長の如月・ミレイ・柚葉です。皆様のご存知の通り、昨日生徒会のメンバーによる暴行事件が発生しました。このような事態を招いたこと、生徒会長として深く反省しております。今はまだ詳細な情報を精査中ではありますが、本校の信頼を失墜させたことに代わりはなく、その事実を重く受け止めております。皆様の信頼を失ったのであれば、生徒会長の職を辞する覚悟もございます。しかし、その前に今回の件の解決を私の手でさせていただければと思う所存です。本件が解決した後に、私が不適任だと思われるのであれば構いません、ご意見は、生徒会室前の目安箱にてお寄せいただければ幸いです』

 如月先輩が言い終わると、放送が止まった。

 放送が終わった瞬間、目の前が暗くなった。
 全身から力が抜けていくような、そんな感覚に襲われる……。

「ねえ、生徒会長どう思う……?」

「いや、責任は取るべきだろう」

「でも、生徒会長が直接関わってるわけじゃないしなぁ……、それを考えると辞任は重すぎるんじゃないのかなぁ……」

「でも、部下が起こした問題だろ?俺は不適任の一択かな……」

「私も……」

 教室には賛否両論の声が飛び交っていた。
 けれど、やはり批判の方が多く感じられた。

(なんで先輩がこんな言われようをされないといけないんだよ……!)

 僕は机の下で手を握りしめると、悔しさがこみ上げてくる。
 気づけば、僕の足は教室を飛び出していた。


 教室を飛び出した僕は放送室を目指す……!

(この前生徒会室に行ったとき、中には放送設備はなかった……、ということは放送室に違いない……!)

 僕の足音だけが、静まり返った校舎に響いていた。
 階段を駆け下り、放送室の前にたどり着くと扉の前で一瞬、息を整える。

 ノックもせず、僕は勢いよく扉を開けた。

 「如月先輩!」

 中にいた如月先輩と如月副会長は、僕を見ると驚いた表情を浮かべていた。

「御堂……?なぜお前がここにいる?もうすぐ1時限目が始まるぞ……!」

 先輩は僕をキッと睨むも、その瞳には、こらえきれない感情が滲んでいた。

「先輩、あの放送……僕、納得できません。先輩が責任を取るなんて、おかしいです!」

 如月先輩は静かに微笑んだ。
 けれどその目は確かに決意の色が見て取れる。

「御堂、ありがとう。しかしミレイが生徒会長である以上、生徒会のメンバーが起こした責任はミレイにある。いかなる理由があるにせよ、失った信頼に対して何らかの責任は取らねばならない」

「でも……! 僕は、先輩がこの学校に必要だって思ってます。目安箱に意見をって言ってましたけど、僕は今ここで言います。辞めないでください!」

 その言葉に、如月先輩の目がわずかに揺れたかと思うと彼女は後ろを向くと、彼女に変わって如月副会長が口を開く。

「御堂……、君の気持ちはうれしく思う。姉さんに代わって礼を言わせてもらう。しかし、これは生徒会の問題だ。一般生徒である君の出る幕ではない」

 如月副会長の冷たくも尤もな言葉が僕の胸に突き刺さる。

(確かに僕は生徒会のメンバーでもないただの生徒……。でも……僕にも何かできることがあるはずだ……!)

 と、その時僕は一つの決意をする。

「なら……僕も、生徒会に入ります!」

 僕は手を握りしめるとそう告げたのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。  しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。  ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。  桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしています。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...