罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長

彼方、生徒会の一員になる!(仮)

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 生徒会に入らせてほしい……!
 そう告げた僕に向けられたのは、副会長の冷ややかな視線だった。

「御堂、何を思って生徒会に入りたいと言いだしたのかは知らないが、冷やかしで言ってるのなら僕は君を軽蔑する」

「違う……!僕は冷やかしなんかじゃ……!」

「だとしてもだ、今の生徒会は失った信頼を取り戻さなければならない。それ故に今は例え誰であっても慎重にならざるを得ない時だ」

「でも僕は……!」

 副会長の冷たい言葉に僕は食い下がろうとすると、後ろを向いていた如月先輩が振り向く。
 彼女の顔は困ったような笑顔を浮かべながらも、その表情には悲しげだった。

「御堂、お前の気持ちは嬉しく思う。しかし、律の言うように今の生徒会は信頼の回復が急務だ。ミレイが生徒会長を続けるかどうかを抜きにしてもだ……。そんな面倒なことにお前を巻き込むわけには行かない。だからここは引いてくれ」

「だからこそ僕は先輩を支えようと……!雑用でも何でもします!だから……!」

「御堂……これ以上ミレイを困らせないでくれ」

 如月先輩のさみしげな笑みをみた僕は言葉に詰まる……。
 それは、優しさに包まれた——けれど確かな拒絶だった。

「……わかりました」

 僕は肩を落とすと放送室を後にした。


 ◆◆◆


 その後の授業中、僕の心はずっと上の空だった。
 休み時間の度に聞こえてくる先輩に対する批判が僕の心を締め付ける……。

 僕は机の下で手を握りしめる……。

 先輩を支えたいのに、何もできない。
 その無力感が、じわじわと僕を苛立たせていく。

 そして昼休みになると僕は一人になりたいがため屋上へと向かった。

 屋上の日陰で弁当をつつき、寝転がって空を見上げる。
 流れる雲をぼんやりと眺めていると、少しずつ心が落ち着いていく気がした。

「如月先輩……」

 僕は先輩の名を小声でつぶやくとため息を一つつく……。

(このまま5時限目をサボってしまおうかな……)

 そう思いながら目を閉じると、誰かの気配を感じた。

「こんなところにいたのか御堂」

 聞こえてきたのは如月先輩の声だった。

「先輩……っ!?」

 僕は慌てて起き上がるとそこには如月先輩と副会長の姿があった。

「御堂、お前に話がある。生徒会室まで来てくれないか?」

 僕は先輩の言葉に頷くと生徒会室へと向かった。


 ◆◆◆


 如月先輩と副会長の後を追って生徒会室の前までやってくると、目安箱にたくさんの紙が入っていることに気がつく。
 しかし、そこには如月先輩に対する批判や苦情、なかには罵倒するようなものまで書かれた紙が見える。

(なんで……先輩は悪くないのに……!)

 僕は手が痛くなるほどに握りしめる……。

「さて御堂、先ほど言った話なのだが……」

 如月先輩は「生徒会長」と書かれた札が置かれた席に座ると話を切り出す。
 僕は適当に空いた席に座ると彼女の言葉を息を呑んで待っていた。

「お前を生徒会に入ることを許可する」

「え……?」

 突然のことに間の抜けた声を上げてしまう。
 そして、それを頭が認識すると徐々に嬉しさがこみ上げてきた。

「ほ……ホントですか……っ!?」

 思わず立ち上がりそうになる僕を、副会長は手のひらを軽く上げて制した。

「一応言っておくが、“仮”だ。君の素行に問題はないと担任から聞いているし、熱意も伝わった。だが、生徒会は感情だけで動く場所ではない。もし君の行動が、生徒会の不利益になると判断したら——その時は、迷わず外す」

「分かった」

 僕は机の下で手を握りしめると副会長の言葉に頷く。

「そういう訳だから御堂!ともに生徒会の信頼を取り戻していこうではないかっ!」

 僕は如月先輩から「生徒会」と書かれた腕章を受け取ると、とてつもない重みを感じた。

(僕は……必ず先輩の信頼に応えてみせる……!)

 受け取った腕章を見ていると何か紙が貼ってあることに気がついた。
 なんだこれ……?

 僕は改めて腕章を見ると、生徒会の横に「仮」と書かれていた!

「なんだこれ……っ!?なんで仮って紙が貼ってあるのっ!?」

「言ったはずだ、仮だと。君の頑張り如何で正式採用もありうる。またその逆も然りだ、心しておけ御堂」

 副会長の言葉に僕は無言で頷く。

「それと、僕の事は"イオリ"でいい。苗字で呼ばれても僕の事を呼んでいるのか姉さんを呼んでいるのか分からなくなるからな」

「分かったよ、イオリ」

「……では、僕は先に失礼する」

 イオリは席を立つと生徒会室を去っていった。

「御堂……、お前の生徒会入りのことだが、一番奔走していたのは律のほうなんだ。律は誰にでも心を開くタイプじゃない、ミドルネームで呼ばせるなど滅多とないことだ。だからこそ……その腕章は、彼の信頼の証なのだと思ってほしい。さて御堂、これからミレイ達と共に生徒会の信頼回復に励んでもらうぞ!」

「はいっ!」

 僕は如月先輩の言葉と、腕章の重みを確かに感じながら仮ではあるものの生徒会の一員となったのだった。
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