152 / 187
柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
如月・ミレイ・柚葉という少女
しおりを挟む
如月先輩の家に招かれた僕は、彼女の後ろを静かに歩いていた。
途中、何人ものメイドさんとすれ違い、本当にここは大きなお屋敷なんだなと実感する。
僕は先輩の後についていくと、やがてリビングへとたどり着く。
「御堂、ここがミレイの家のリビングだ。遠慮せずくつろいでくれ!」
僕はリビングを見て、言葉を失った。
高い天井から吊るされたシャンデリアは、まるで美術館の展示品のように、静かに輝いていた。
壁際にはクラシックなソファが並び、窓の外には手入れの行き届いた庭園が広がっていた。
(いや……僕の家のリビングが何個入るんだよ……)
如月先輩の家のリビングは僕の家のリビング3個分以上の広さがあった。
驚きを通り越して、思わず笑ってしまった。
気がつけば僕の口からは乾いた笑いが漏れ出ていた。
「御堂彼方様、ようこそ当家へ」
突然名前を呼ばれ、驚いたぼくは声のする方に目を向けるとそこには志乃さんと同じくらいの年齢だろうか、落ち着いた雰囲気の男性が、静かに立っていた。
「御堂、紹介しよう。ミレイの家の執事で桜井誠司さんだ」
「始めまして、私は当家の執事を務めております桜井誠司でございます」
「え……?あ…、御堂彼方です!」
誠司さんの丁寧なお辞儀に僕はやや戸惑いながらも自己紹介を行う。
確かこの人が先輩のもう一人のお父さんだったよね……?
「これはご丁寧に。御堂様のことはミレイ様から聞いております。昨日もそれは楽しそうに御堂様のことを……」
「せ……誠司さん……!余計なことは言わなくていいから……!」
如月先輩は顔を真っ赤にして、慌てて誠司さんの言葉を遮った。
なんだろう……、変なことじゃなければいいけど……。
誠司さんが何を言おうとしたのか少し気になったけど、先輩は顔を真っ赤にしたまま僕の腕を軽く引っ張った。
「こ、こっちだ御堂!お茶の準備ができてるから、こっちのソファに座ってくれ!」
「あ、うん……」
僕は促されるまま、クラシックなソファに腰を下ろす。
腰を下ろした瞬間、体がふわりと包み込まれるような柔らかさに、思わず息を漏らした。
その感触にたぶんお高いんだろうなと、どうでもいいことを僕はつい思ってしまう。
如月先輩は少し落ち着きを取り戻したのか、咳払いを一つしてから、テーブルの上に置かれたティーセットに手を伸ばす。
「今日はミレイが淹れるからな。志乃さんたちには休んでもらってるんだ」
「えっ、先輩が……?」
「な、なにか文句でもあるのか?」
「いや、ないです!むしろ光栄です!」
慌てて否定すると、先輩はふふっと笑ってティーポットにお湯を注ぎ始めた。
その横顔は、いつもの生徒会長のそれとは違って、どこか柔らかくて、穏やかだった。
やがて、ふわりと紅茶の香りが広がる。
「……いい香りですね」
「だろ?この茶葉は志乃さんが選んでくれたんだ。香りがよくて、味もまろやかで……ミレイのお気に入りなんだ」
そう言って、先輩は僕のカップに紅茶を注いでくれる。
その手元は少しだけ震えていて、僕はそれに気づかないふりをした。
「ありがとう、いただきます」
カップを手に取り、一口含むと、ほんのりとした甘みと、舌に残る優しい渋みが、ゆっくりと口の中に広がっていく。
「……美味しいです」
「ふふっ、それはよかった」
如月先輩は嬉しそうに微笑むと、自分のカップにも紅茶を注いでソファに腰を下ろす。
しばらくの間、僕たちは紅茶を飲みながら、静かに庭を眺めていた。
日が差し込むリビングは、まるで時間が止まったかのように穏やかに流れる……。
「御堂」
「はい?」
「……今日は来てくれて、本当にありがとう」
先輩は少し顔を赤くしながら、僕の方をまっすぐに見つめてきた。
その瞳は、どこまでも澄んでいて、僕の胸の奥がじんわりと熱くなる。
「僕のほうこそ……誘ってくれて、嬉しかったです」
僕がそう返すと、先輩は少しだけ視線を逸らし、頬を赤らめた。
「……そ、そうか。なら、よかった」
その照れたような表情が、なんだかとても可愛くて——
(……この時間が、ずっと続けばいいのに)
そんなことを、ふと思ってしまう。
そこにいたのは、“生徒会長”ではなく——如月・ミレイ・柚葉という、一人の少女だった。
途中、何人ものメイドさんとすれ違い、本当にここは大きなお屋敷なんだなと実感する。
僕は先輩の後についていくと、やがてリビングへとたどり着く。
「御堂、ここがミレイの家のリビングだ。遠慮せずくつろいでくれ!」
僕はリビングを見て、言葉を失った。
高い天井から吊るされたシャンデリアは、まるで美術館の展示品のように、静かに輝いていた。
壁際にはクラシックなソファが並び、窓の外には手入れの行き届いた庭園が広がっていた。
(いや……僕の家のリビングが何個入るんだよ……)
如月先輩の家のリビングは僕の家のリビング3個分以上の広さがあった。
驚きを通り越して、思わず笑ってしまった。
気がつけば僕の口からは乾いた笑いが漏れ出ていた。
「御堂彼方様、ようこそ当家へ」
突然名前を呼ばれ、驚いたぼくは声のする方に目を向けるとそこには志乃さんと同じくらいの年齢だろうか、落ち着いた雰囲気の男性が、静かに立っていた。
「御堂、紹介しよう。ミレイの家の執事で桜井誠司さんだ」
「始めまして、私は当家の執事を務めております桜井誠司でございます」
「え……?あ…、御堂彼方です!」
誠司さんの丁寧なお辞儀に僕はやや戸惑いながらも自己紹介を行う。
確かこの人が先輩のもう一人のお父さんだったよね……?
「これはご丁寧に。御堂様のことはミレイ様から聞いております。昨日もそれは楽しそうに御堂様のことを……」
「せ……誠司さん……!余計なことは言わなくていいから……!」
如月先輩は顔を真っ赤にして、慌てて誠司さんの言葉を遮った。
なんだろう……、変なことじゃなければいいけど……。
誠司さんが何を言おうとしたのか少し気になったけど、先輩は顔を真っ赤にしたまま僕の腕を軽く引っ張った。
「こ、こっちだ御堂!お茶の準備ができてるから、こっちのソファに座ってくれ!」
「あ、うん……」
僕は促されるまま、クラシックなソファに腰を下ろす。
腰を下ろした瞬間、体がふわりと包み込まれるような柔らかさに、思わず息を漏らした。
その感触にたぶんお高いんだろうなと、どうでもいいことを僕はつい思ってしまう。
如月先輩は少し落ち着きを取り戻したのか、咳払いを一つしてから、テーブルの上に置かれたティーセットに手を伸ばす。
「今日はミレイが淹れるからな。志乃さんたちには休んでもらってるんだ」
「えっ、先輩が……?」
「な、なにか文句でもあるのか?」
「いや、ないです!むしろ光栄です!」
慌てて否定すると、先輩はふふっと笑ってティーポットにお湯を注ぎ始めた。
その横顔は、いつもの生徒会長のそれとは違って、どこか柔らかくて、穏やかだった。
やがて、ふわりと紅茶の香りが広がる。
「……いい香りですね」
「だろ?この茶葉は志乃さんが選んでくれたんだ。香りがよくて、味もまろやかで……ミレイのお気に入りなんだ」
そう言って、先輩は僕のカップに紅茶を注いでくれる。
その手元は少しだけ震えていて、僕はそれに気づかないふりをした。
「ありがとう、いただきます」
カップを手に取り、一口含むと、ほんのりとした甘みと、舌に残る優しい渋みが、ゆっくりと口の中に広がっていく。
「……美味しいです」
「ふふっ、それはよかった」
如月先輩は嬉しそうに微笑むと、自分のカップにも紅茶を注いでソファに腰を下ろす。
しばらくの間、僕たちは紅茶を飲みながら、静かに庭を眺めていた。
日が差し込むリビングは、まるで時間が止まったかのように穏やかに流れる……。
「御堂」
「はい?」
「……今日は来てくれて、本当にありがとう」
先輩は少し顔を赤くしながら、僕の方をまっすぐに見つめてきた。
その瞳は、どこまでも澄んでいて、僕の胸の奥がじんわりと熱くなる。
「僕のほうこそ……誘ってくれて、嬉しかったです」
僕がそう返すと、先輩は少しだけ視線を逸らし、頬を赤らめた。
「……そ、そうか。なら、よかった」
その照れたような表情が、なんだかとても可愛くて——
(……この時間が、ずっと続けばいいのに)
そんなことを、ふと思ってしまう。
そこにいたのは、“生徒会長”ではなく——如月・ミレイ・柚葉という、一人の少女だった。
20
あなたにおすすめの小説
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。
しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。
ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。
桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしています。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる