罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長

如月家へのお宅訪問

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 翌日、僕はスマホに昨日如月先輩から送られてきた住所を入力し、地図アプリのナビを頼りに歩いていた。

(確かこの辺りみたいなんだけど……)

 周囲を見渡しても、目に入るのは高い塀ばかり。
 家らしきものは見当たらない。

『目的地に到着しました』

 ナビの音声が聞こえ、僕は足を止めるとそこには大きな門がそびえ立ち、奥に大きなお屋敷が見えた。

(……場所間違えたかな?)

 僕はもう一度先輩から送られた住所を地図アプリに入力すると、再び『目的地に到着しました』という音声がスマホから流れる。
 そして門の横にある壁に取り付けられている表札には確かに「如月」と書いている。

「……マジ?」

 いや、確かに以前如月先輩は自分がお嬢様だとは言っていたけど、ここまでとは思わなかった。

「……手ぶらで来ないでメロンでも持ってくればよかったかな」

 僕は一人呟くと、壁にインターホンがあることに気がつくと、ひとまず押してみることにする。

(ポチッとな)

 僕は心の中で擬音を言いながらインターホンを押す。
 するとそこから女性の声が聞こえてきた。

『はい、如月でございます。御堂彼方様ですね』

「えっ!?」

 なんで僕って分かるの……っ!?

 そう思いながら周囲を見渡すと、門の上の方にカメラが取り付けられていることに気がついた。

(なるほど、これでわかったのか……)

 庶民の僕とは次元が違うということに気付かされる。

「はい、僕は御堂彼方ですけど……あの、如月先輩はいますか?」

『はい、お嬢様からお話は伺っております。どうぞお入りください』

 インターホンからの音声が切れると同時に門が自動で開く。

(……こんなのテレビとかでしか見たことないよ)

 僕は若干苦笑しながら門をくぐると、奥に見える屋敷に向かった。


 門をくぐって石畳の道をしばらく歩くと、ようやく屋敷の玄関が見えてきた。

 僕は少し汗ばみながら周囲を見渡すとそこにもインターホンが設置されていた。

(インターホンが2つもあるのか……。それじゃ……ポチッとな)

 僕は玄関横のインターホンを押すと、1人のメイドさんが出てきた。

 そのメイドさんは、見た目にして40代前半くらいだろうか、黒と白の制服に身を包んだ、40代くらいの女性が、背筋を伸ばして静かに一礼した。

「お待ちしておりました、御堂彼方様。ようこそ如月家へ。わたくしは当家のメイド長を務めております、桜井志乃でございます」

「え……?あ……ど……どうも……」

 志乃さんの丁寧なお辞儀に僕は思わず背筋を伸ばしてしまった。
 まるで校長先生に直立で挨拶する朝礼のような、背筋が自然と伸びる感覚だった。

 それにしても、この人が志乃さんか。
 先輩のもう一人のお母さん……だったかな?

(なんだか優しそうな人だな……) 

 それが僕の志乃さんに対する第一印象だった。

「ミレイ様はお部屋の方に……」

 志乃さんがそう言いかけると、屋敷の奥から誰かが走ってくる足音が聞こえてくる。

「御堂!よく来てくれたな!」

 屋敷の奥から志乃さんの言葉を遮るように、黄色を基調とした半袖のブラウスに白のスカートを履いた如月先輩が勢いよく駆けてきた。
 金髪のポニーテールがふわりと跳ねて、彼女の顔には、隠しきれない嬉しさがにじんでいた。

「姉さん、家の中を走るのはどうかと思うけど?それに、スリッパのままだ」

 屋敷の奥からイオリが現れ、メガネをクイッと上げると、呆れたようにため息をついた。

 イオリの言葉に僕は先輩の足元を見ると、確かにスリッパのままのようだ。
 その様子に志乃さんは苦笑していた。

「い……いいじゃないか!律は細かいことを言いすぎだ!」

「……姉さん生徒会では頼もしいのに、普段はなんでこうもポンコツなんだ?」

「う……うるさ~い!ミレイはポンコツじゃない!」

 如月先輩は唸りながらイオリを睨むと、彼はヤレヤレと肩を竦めて見せる。

 これが普段の先輩……?
 何ていうか……、学園では頼もしくてカッコいいのに、普段は割と砕けてるのかな……?

 学園での凛とした姿とは違う、今の如月先輩の砕けた一面に、僕は思わず笑みをこぼした。

「それより御堂。先日の黒井学園の件——姉さんを守ってくれて、ありがとう。生徒会の副会長として、そして弟として、礼を言わせてもらう」

「止めてよイオリ……!僕はそんな大層なことしてないから……!」

 それに、実際に証拠を突きつけて、解決へと導いたのは高藤だったわけだし……。

「それでも……だ、礼を言わせてもらう」

 イオリは僕へと頭を下げるとなんだか恐縮してしまう。

「今日は姉さんに招待されてるんだったな、ゆっくりしていくといい」

 イオリは少し笑みを浮かべると屋敷の奥へと戻っていく。
 志乃さんは静かに微笑みながら、イオリの背を見送っていた。

「さあ御堂!家に入ってくれ!」

 如月先輩は笑顔で僕を促す。
 玄関で靴を脱ぎ、用意されていたスリッパを履くと先輩の家に入った。
 ふと振り返ると、志乃さんが静かに微笑みながら、僕たちを見送っていた。
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