罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長

如月・ミレイ・柚葉という少女

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 如月先輩の家に招かれた僕は、彼女の後ろを静かに歩いていた。
 途中、何人ものメイドさんとすれ違い、本当にここは大きなお屋敷なんだなと実感する。

 僕は先輩の後についていくと、やがてリビングへとたどり着く。

「御堂、ここがミレイの家のリビングだ。遠慮せずくつろいでくれ!」

 僕はリビングを見て、言葉を失った。

 高い天井から吊るされたシャンデリアは、まるで美術館の展示品のように、静かに輝いていた。
 壁際にはクラシックなソファが並び、窓の外には手入れの行き届いた庭園が広がっていた。

(いや……僕の家のリビングが何個入るんだよ……)

 如月先輩の家のリビングは僕の家のリビング3個分以上の広さがあった。

 驚きを通り越して、思わず笑ってしまった。
 気がつけば僕の口からは乾いた笑いが漏れ出ていた。

「御堂彼方様、ようこそ当家へ」

 突然名前を呼ばれ、驚いたぼくは声のする方に目を向けるとそこには志乃さんと同じくらいの年齢だろうか、落ち着いた雰囲気の男性が、静かに立っていた。

「御堂、紹介しよう。ミレイの家の執事で桜井誠司さんだ」

「始めまして、私は当家の執事を務めております桜井誠司でございます」

「え……?あ…、御堂彼方です!」

 誠司さんの丁寧なお辞儀に僕はやや戸惑いながらも自己紹介を行う。
 確かこの人が先輩のもう一人のお父さんだったよね……?

「これはご丁寧に。御堂様のことはミレイ様から聞いております。昨日もそれは楽しそうに御堂様のことを……」

「せ……誠司さん……!余計なことは言わなくていいから……!」

 如月先輩は顔を真っ赤にして、慌てて誠司さんの言葉を遮った。

 なんだろう……、変なことじゃなければいいけど……。

 誠司さんが何を言おうとしたのか少し気になったけど、先輩は顔を真っ赤にしたまま僕の腕を軽く引っ張った。

「こ、こっちだ御堂!お茶の準備ができてるから、こっちのソファに座ってくれ!」

「あ、うん……」

 僕は促されるまま、クラシックなソファに腰を下ろす。
 腰を下ろした瞬間、体がふわりと包み込まれるような柔らかさに、思わず息を漏らした。

 その感触にたぶんお高いんだろうなと、どうでもいいことを僕はつい思ってしまう。

 如月先輩は少し落ち着きを取り戻したのか、咳払いを一つしてから、テーブルの上に置かれたティーセットに手を伸ばす。

「今日はミレイが淹れるからな。志乃さんたちには休んでもらってるんだ」

「えっ、先輩が……?」

「な、なにか文句でもあるのか?」

「いや、ないです!むしろ光栄です!」

 慌てて否定すると、先輩はふふっと笑ってティーポットにお湯を注ぎ始めた。

 その横顔は、いつもの生徒会長のそれとは違って、どこか柔らかくて、穏やかだった。

 やがて、ふわりと紅茶の香りが広がる。

「……いい香りですね」

「だろ?この茶葉は志乃さんが選んでくれたんだ。香りがよくて、味もまろやかで……ミレイのお気に入りなんだ」

 そう言って、先輩は僕のカップに紅茶を注いでくれる。

 その手元は少しだけ震えていて、僕はそれに気づかないふりをした。

「ありがとう、いただきます」

 カップを手に取り、一口含むと、ほんのりとした甘みと、舌に残る優しい渋みが、ゆっくりと口の中に広がっていく。

「……美味しいです」

「ふふっ、それはよかった」

 如月先輩は嬉しそうに微笑むと、自分のカップにも紅茶を注いでソファに腰を下ろす。

 しばらくの間、僕たちは紅茶を飲みながら、静かに庭を眺めていた。

 日が差し込むリビングは、まるで時間が止まったかのように穏やかに流れる……。

「御堂」

「はい?」

「……今日は来てくれて、本当にありがとう」

 先輩は少し顔を赤くしながら、僕の方をまっすぐに見つめてきた。

 その瞳は、どこまでも澄んでいて、僕の胸の奥がじんわりと熱くなる。

「僕のほうこそ……誘ってくれて、嬉しかったです」

 僕がそう返すと、先輩は少しだけ視線を逸らし、頬を赤らめた。

「……そ、そうか。なら、よかった」

 その照れたような表情が、なんだかとても可愛くて——

(……この時間が、ずっと続けばいいのに)

 そんなことを、ふと思ってしまう。
 そこにいたのは、“生徒会長”ではなく——如月・ミレイ・柚葉という、一人の少女だった。
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