罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長

イオリの暴走と高藤の暗躍

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 ──彼方──


 パンフレットを各実行委員に配り終えたあと、僕はイオリと一緒に校内を巡回していた。

「イオリ、校内の巡回って必要なの?」

 なぜ巡回を行う必要があるのか、気になった僕はイオリに問うと、彼はメガネをクイッと上げる。

「こうして巡回してないと、たまにとんでもないことを企てる連中がいるんだ」

「例えば?」

「そうだな……、最たる例は高藤だな」

「高藤?」

 なぜ高藤の名前が出るのか、まあ……聞かずとも理由は大体見当はつくのだけど……。

「あいつは付属の頃からとんでもないことばかり企ててきたからな……!ハリウッド級の特殊メイクを使ったお化け屋敷、女装男子との握手券付き焼きそば、教室を魔改造した謎のアクセサリーショップ……、例を挙げればきりがないっ!僕は付属中学から生徒会に所属していたが、一体高藤の奴に何度振り回されたことか……!」

 イオリは肩を震わせ、メガネの奥に怒りの火花を散らしていた。

(たぶん今までイオリは高藤にいいようにあしらわれて来たんだろうなぁ……)

 見ずともなんとなくイメージが湧く。

「……取り乱して悪かったな。そう言えば御堂は高藤と同じクラスだったな。学園祭の出し物について何か聞いてないか?」

「いや……、特には聞いてないよ」

 尤も、僕はクラスの模擬店の準備より、生徒会の業務のほうが忙しいからハッキリとしたことは言えないけど……。

「高藤の事だ、今年も何かを企んでいるはずだ……!今度こそ奴の悪巧みを止めてみせるっ!」

 イオリは拳を握りしめ、目の奥に炎を灯していた。

「そう言えば、高藤は何かのイベントを企画してるって言ってたかな……?」

「なに……?」

 イオリはメガネを光らせると僕の肩を掴み、容赦なくガクガクと揺さぶってきた!

「御堂言えっ!高藤は今年は何をたくらんでいるっ!?」

「うわぁ……っ!?や……止めてよイオリ……!そんなこと僕に聞かれてもわからないよ……!」

「くそ……!」

 イオリは悪態をつきながら僕の肩から手を離す。
 散々揺すられていたからか目を回していた。

(うぅ……脳がシェイクされてた気分だよ……)

「御堂、これはもう一刻の猶予もない。高藤の動きを監視する必要がある!」

「え、ちょっと待って、まだ生徒会の仕事見回りが……」

「その仕事の一環としてだ。これは生徒会の名にかけて、学園の秩序を守るための任務だ!」

 イオリは勝手に納得したように頷くと、1人走り出す!

「ちょ、ちょっとイオリ……!どこ行くのさ!」

「御堂……!僕は高藤の企みを探る!あとは任せた!」

 イオリは僕をこの場へと残してどこかに行ってしまった……。

(……イオリと高藤ってベクトルが逆なだけで案外似たもの同士じゃないのかなぁ)

 僕は走り去るイオリの背中を見ながらそう感じていた。

「あの……、生徒会の方ですよね?」

 イオリの背中を見送っていると、後ろから声をかけられた僕は振り向くと2人の女生徒の姿があった。
 見た目からして1年のようだ。

「あ、うん。生徒会のメンバーだけど、どうしたの?」

 "仮"だけどと、心の中で付け足しながら2人に問う。

「はい、私たち新聞部と写真部なんですけど、予算の追加申請をしたくて……」

「分かった、預かっておくよ」

 僕は予算の追加申請の書類を受け取ると、2人の女生徒は僕の下から去っていく。

 しかし、僕は知らなかった……。
 この追加申請こそが高藤の企みの核心に触れていることを、僕はまだ知らなかった。


 ~サイドストーリー~


 ──高藤──


 御堂と別れたあと、俺は校舎の片隅にある空き教室へと足を運び、静かに身を潜めた。

 そろそろ俺の動きに気づいた生徒会が、慌てて動き出す頃合いだろう。
 特にあの如月弟は俺を捕まえようと躍起になってるようだが……フッ……あいつごときに、俺が捕まるはずがない。

 不敵な笑みを浮かべながら、俺はスマホを取り出した。
 そこには「校内女子人気ランキング」という、校内の男子生徒(※生徒会メンバーを除く)から集めた、極秘アンケートの結果が表示されていた。

 もちろん生徒会のメンバーを外した理由は、このアンケートで足がつく可能性が否定できないからだ。

 物事を慎重に行動するのが俺のやり方だ。

 そして俺はアンケートの結果を見てニヤリと笑みを浮かべる。

「やはり如月姉がダントツ1位か。あとは……風原亜希、柊澪、早乙女瀬玲奈……。まあ、順当と言えば順当な顔ぶれだな」

 他にも何人かエントリー確定の女子がいるが……この四強でほぼ決まりだろう。

「御堂……舞台は整った。あとはお前次第だ……!」

 はーっははははは……!
 俺は心の中で高笑いを上げるとスマホをしまい込み、企画の最終確認へと向かうのだった。
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