罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長

動き始めた高藤の企み

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 そして迎えた学園祭当日の土曜――。
 掲示板に人だかりができているのを見た僕は、貼られた紙に目をやり、思わず声を上げた。

「なんだこれ……っ!?」

 そこには、でかでかと「第一回 青葉ケ丘学園ミス・コンテスト!」の文字が踊っていた。

 選出された女生徒の名前を見ると、「如月・ミレイ・柚葉」、「風原亜希」、「柊澪」、「早乙女瀬玲奈」……。
 他にも、見覚えのない女子の名前がいくつか並んでいた。

 選出基準は学園内の男子から集めたアンケート結果を元に選出と書かれているけど、僕こんなアンケートとか知らないよっ!?

 張り紙をさらに見ると、場所は体育館、主催は新聞部と写真部、そして……企画者のところには高藤の名前が!

「まさか……高藤が学園祭で企画しているイベントってこれの事っ!?」

 しかも、特別審査委員長には僕の名前、「御堂彼方」の文字まであった!

「ええぇぇーーー……!なんで僕の名前まであるのさっ!?」

 戸惑う僕をよそに、掲示板にたかる男子たちがスマホを構えながら騒いでいた。

「生徒会長、絶対優勝だろ!」

「いや、俺は柊派!」

「風原さんも侮れんぞ!普段ツンツンしてるが……好きな男の前ではデレると見た!」

「早乙女さんも意外といい線行くと思うけどなあ」

 掲示板の前は、まるで推しの応援合戦のような熱気に包まれていた。

(これは、またとんでもないことになりそうだ……!)

 僕は教室に行く前に生徒会室に向かった。


 案の定、生徒会室は張り詰めた空気に満ちていた。  
誰もが言葉を選びながら、怒りと困惑を抱えているようだった。

 僕は自分の席に座ると一先ず様子をうかがうことにする。

「なんでミレイがこんなものに出ないといけないんだっ!」

 如月先輩はテーブルを叩き、怒りを隠そうともせず声を荒げた。
 しかも、その手元には例のミスコンの紙が置かれてある。

「高藤め……まさかそんなものを企画していようとは……!さすがにこれは生徒会として看過できない、新聞部と写真部には即刻イベントの中止を求めるべきだ!」

 その隣ではイオリがメガネをクイッと上げイベントの中止を訴える。

「でもね~、新聞部と写真部の企画通ってるのよね~。予算も組まれてるし、それに……男子生徒が熱中してて止めるの無理なのよ」

 会計の姫野先輩がお手上げだと言わんばかりにヤレヤレと肩をすくめる。

「あ……あの、企画にはミスコンとは書かれていなかったわけですし、規約違反という形で中止を促す方法もあるのかなと思うのですが……」

 そんな中書記の春野さんが戸惑いながらも手を挙げる。

「おい御堂!お前はどう思うっ!?」

 未だに何も発言しない僕に如月先輩の鋭い視線に睨まれる。

「え……?ぼ……僕ですか……?」

「そうだ!お前だっ!お前も仮とは言え生徒会のメンバーだ!お前の意見を聞かせてくれっ!あとそれと特別審査委員長がお前とはどう言うことだっ!?」

「え……えっと……、少なくとも特別審査委員長の件に関しては僕は知らないというか……」

「なら何でここにお前の名前があるんだっ!?」

「それは僕が聞きたいですよっ!?」

 僕は如月先輩の鋭い視線に射抜かれ、言葉を探すだけで精一杯だった。
 特別審査委員長云々はおいておいて、正直に言えばミスコンに出る先輩を見たいかと言われれば見たいような気はする。

 でも、先輩が多くの男子生徒に見られるというのはなぜか嫌だと思う自分がいる。

 何にしろここは慎重に答えないと、ただでさえ避けられているのに、今度は本当に嫌われかねない。

 そんな僕の気持ちを知るはずもなく、先輩の僕を射抜くかのような鋭い眼差しが向けられていた。

 とその時、生徒会室の入り口から声が聞こえた。

「ははは……これはこれは、生徒会の皆様。お揃いで何よりだ」
 
 僕たちは入り口へと目を向けるとそこには高藤の姿があった。

「高藤……!お前……っ!」

 イオリはすぐさま高藤に掴みかかろうとするも、逆に高藤は不敵な笑みを浮かべる。

「ふ、俺はただ黒井学園での借りを返してもらおうと思っただけだが……?それとも……生徒会は受けた借りを返さずにそれどころか恩を仇で返す気か?」

「ぐ……!」

 高藤の言葉にイオリは悔しそうに言葉を詰まらせる。

「さて如月生徒会長、どうされますか?黒井学園での恩を返す形でミスコンに出るか、それとも仇で返しミスコンを中止するか……選んでいただきます」

 高藤は不敵な笑みを浮かべると如月先輩を見つめると、先輩は一瞬だけ目を伏せた。
 その瞳には、怒りでも羞恥でもない、何か別の決意が宿っていた。

「分かった……、ミスコンに参加する」

「姉さん……っ!?」

 先輩が渋々承諾するとイオリは驚きの表情を浮かべる。

「黒井学園の一件はミレイにも責任の一端はある。ならば受けた恩を返してこそ生徒会長というものだろう」

「それでこそ如月生徒会長だ」

 先輩の言葉に高藤はニヤリと笑みを浮かべると生徒会室を去っていく。
 こうして、波乱の予感を孕んだ青葉ケ丘学園祭が、静かに幕を開けた。
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