罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長

柚葉先輩のご褒美タイム

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 生徒会室に戻り最後の書類作成が終わると、柚葉先輩は僕の隣に座って、腕に頬をすり寄せながらぴったりとくっついていた。

 その様子を会計の姫野先輩は微笑ましく、書記の春野さんはやや苦笑しながら見つめる。

 そしてイオリはと言うと、メガネをクイッとあげて明らかに睨んでいた。

「……姉さん、何をしているんだ?」

「見て分からないのか、律。今日頑張ったご褒美を堪能しているんだ」

「ご褒美って……姉さんここは生徒会室だ。生徒会長が規律を乱すような真似をするのはどうかと思う」

「まあまあ、いいじゃないかイオリ。僕は別に迷惑とかじゃないし……」

「御堂はそうやって姉さんを甘やかすのをやめてくれないか?」

 僕は柚葉先輩をフォローすると、イオリから睨まれた。
 なんていうか……相変わらず融通の利かないタイプだな……。

「まあまあ、弟くん。あれでミレイがやる気を出してくれるならいいじゃない」

「そうですね、律先輩が鞭なら御堂先輩は飴と言ったところでしょうか?」

「ぐ……、春野まで……。はあ、もう好きにしろ……」

 姫野先輩と春野さんの柚葉先輩へのフォローに、イオリは諦めにも似たため息をついていた。

「これで堂々と彼方と触れ合えるな」

「姉さん、一応言っておくけど、きちんと業務をこなしてだからな?」

「わ……わかってる……!」

 ニコニコしながら僕に擦り寄る柚葉先輩だったが、イオリからの指摘に、柚葉先輩はぴたりと動きを止めた。

 そして、ほんの少しだけ僕から距離を取ると、咳払いを一つして姿勢を正す。

「……ミレイは、生徒会長としての自覚もある。だから、ちゃんとけじめはつけるぞ」

 そう言いながらも、先輩の指先は僕の袖をちょこんとつまんだまま離さなかった。
 距離を取ったようで、まったく取れていない。

「……姉さん、それはけじめをつけていると言えるのか?」

 イオリが呆れたように言うと、姫野先輩がくすくすと笑いながら口を挟む。

「まあまあ、弟くん。恋人同士なんてそんなもんよ。むしろ、ミレイがちゃんと業務をこなしてるなら、御堂君の存在は“生徒会活性剤”ってことでいいんじゃない?」

「活性剤……?」

「そう。ミレイが御堂君に甘えることで元気になって、業務もはかどる。つまり、御堂君はミレイにとっては“合法的な癒し”ってわけ」

「……なんだその理屈は」

 イオリはメガネを押し上げながら、さらに深いため息をついた。

 そのとき、春野さんがふと僕たちの方を見て、静かに言った。

「でも、御堂先輩がいることで、如月先輩の表情が柔らかくなったのは事実ですよ。以前はもっと、肩に力が入っていたように見えました」

 その言葉に、生徒会室の空気が少しだけ静かになる。

 柚葉先輩は僕の袖をつまんだまま、そっと僕の肩に頭を預けた。

「……彼方がいてくれるから、ミレイは頑張れる。だから、これからも隣にいてくれ」

「はい。僕も、先輩の隣にいたいです」

 僕がそう答えると、柚葉先輩は満足げに微笑んだ。

 その笑顔を見て、イオリは何か言いたげに口を開きかけたが結局、何も言わずに書類に目を戻した。

(……なんだかんだで、イオリも認めてくれてるのかもしれない)

 僕はそんなことを思いながら柚葉先輩の温もりを感じていた。

 生徒会室の時計が静かに時を刻む中、僕たちは翌日の業務の確認を行っていた
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