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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
柚葉先輩のご褒美タイム
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生徒会室に戻り最後の書類作成が終わると、柚葉先輩は僕の隣に座って、腕に頬をすり寄せながらぴったりとくっついていた。
その様子を会計の姫野先輩は微笑ましく、書記の春野さんはやや苦笑しながら見つめる。
そしてイオリはと言うと、メガネをクイッとあげて明らかに睨んでいた。
「……姉さん、何をしているんだ?」
「見て分からないのか、律。今日頑張ったご褒美を堪能しているんだ」
「ご褒美って……姉さんここは生徒会室だ。生徒会長が規律を乱すような真似をするのはどうかと思う」
「まあまあ、いいじゃないかイオリ。僕は別に迷惑とかじゃないし……」
「御堂はそうやって姉さんを甘やかすのをやめてくれないか?」
僕は柚葉先輩をフォローすると、イオリから睨まれた。
なんていうか……相変わらず融通の利かないタイプだな……。
「まあまあ、弟くん。あれでミレイがやる気を出してくれるならいいじゃない」
「そうですね、律先輩が鞭なら御堂先輩は飴と言ったところでしょうか?」
「ぐ……、春野まで……。はあ、もう好きにしろ……」
姫野先輩と春野さんの柚葉先輩へのフォローに、イオリは諦めにも似たため息をついていた。
「これで堂々と彼方と触れ合えるな」
「姉さん、一応言っておくけど、きちんと業務をこなしてだからな?」
「わ……わかってる……!」
ニコニコしながら僕に擦り寄る柚葉先輩だったが、イオリからの指摘に、柚葉先輩はぴたりと動きを止めた。
そして、ほんの少しだけ僕から距離を取ると、咳払いを一つして姿勢を正す。
「……ミレイは、生徒会長としての自覚もある。だから、ちゃんとけじめはつけるぞ」
そう言いながらも、先輩の指先は僕の袖をちょこんとつまんだまま離さなかった。
距離を取ったようで、まったく取れていない。
「……姉さん、それはけじめをつけていると言えるのか?」
イオリが呆れたように言うと、姫野先輩がくすくすと笑いながら口を挟む。
「まあまあ、弟くん。恋人同士なんてそんなもんよ。むしろ、ミレイがちゃんと業務をこなしてるなら、御堂君の存在は“生徒会活性剤”ってことでいいんじゃない?」
「活性剤……?」
「そう。ミレイが御堂君に甘えることで元気になって、業務もはかどる。つまり、御堂君はミレイにとっては“合法的な癒し”ってわけ」
「……なんだその理屈は」
イオリはメガネを押し上げながら、さらに深いため息をついた。
そのとき、春野さんがふと僕たちの方を見て、静かに言った。
「でも、御堂先輩がいることで、如月先輩の表情が柔らかくなったのは事実ですよ。以前はもっと、肩に力が入っていたように見えました」
その言葉に、生徒会室の空気が少しだけ静かになる。
柚葉先輩は僕の袖をつまんだまま、そっと僕の肩に頭を預けた。
「……彼方がいてくれるから、ミレイは頑張れる。だから、これからも隣にいてくれ」
「はい。僕も、先輩の隣にいたいです」
僕がそう答えると、柚葉先輩は満足げに微笑んだ。
その笑顔を見て、イオリは何か言いたげに口を開きかけたが結局、何も言わずに書類に目を戻した。
(……なんだかんだで、イオリも認めてくれてるのかもしれない)
僕はそんなことを思いながら柚葉先輩の温もりを感じていた。
生徒会室の時計が静かに時を刻む中、僕たちは翌日の業務の確認を行っていた
その様子を会計の姫野先輩は微笑ましく、書記の春野さんはやや苦笑しながら見つめる。
そしてイオリはと言うと、メガネをクイッとあげて明らかに睨んでいた。
「……姉さん、何をしているんだ?」
「見て分からないのか、律。今日頑張ったご褒美を堪能しているんだ」
「ご褒美って……姉さんここは生徒会室だ。生徒会長が規律を乱すような真似をするのはどうかと思う」
「まあまあ、いいじゃないかイオリ。僕は別に迷惑とかじゃないし……」
「御堂はそうやって姉さんを甘やかすのをやめてくれないか?」
僕は柚葉先輩をフォローすると、イオリから睨まれた。
なんていうか……相変わらず融通の利かないタイプだな……。
「まあまあ、弟くん。あれでミレイがやる気を出してくれるならいいじゃない」
「そうですね、律先輩が鞭なら御堂先輩は飴と言ったところでしょうか?」
「ぐ……、春野まで……。はあ、もう好きにしろ……」
姫野先輩と春野さんの柚葉先輩へのフォローに、イオリは諦めにも似たため息をついていた。
「これで堂々と彼方と触れ合えるな」
「姉さん、一応言っておくけど、きちんと業務をこなしてだからな?」
「わ……わかってる……!」
ニコニコしながら僕に擦り寄る柚葉先輩だったが、イオリからの指摘に、柚葉先輩はぴたりと動きを止めた。
そして、ほんの少しだけ僕から距離を取ると、咳払いを一つして姿勢を正す。
「……ミレイは、生徒会長としての自覚もある。だから、ちゃんとけじめはつけるぞ」
そう言いながらも、先輩の指先は僕の袖をちょこんとつまんだまま離さなかった。
距離を取ったようで、まったく取れていない。
「……姉さん、それはけじめをつけていると言えるのか?」
イオリが呆れたように言うと、姫野先輩がくすくすと笑いながら口を挟む。
「まあまあ、弟くん。恋人同士なんてそんなもんよ。むしろ、ミレイがちゃんと業務をこなしてるなら、御堂君の存在は“生徒会活性剤”ってことでいいんじゃない?」
「活性剤……?」
「そう。ミレイが御堂君に甘えることで元気になって、業務もはかどる。つまり、御堂君はミレイにとっては“合法的な癒し”ってわけ」
「……なんだその理屈は」
イオリはメガネを押し上げながら、さらに深いため息をついた。
そのとき、春野さんがふと僕たちの方を見て、静かに言った。
「でも、御堂先輩がいることで、如月先輩の表情が柔らかくなったのは事実ですよ。以前はもっと、肩に力が入っていたように見えました」
その言葉に、生徒会室の空気が少しだけ静かになる。
柚葉先輩は僕の袖をつまんだまま、そっと僕の肩に頭を預けた。
「……彼方がいてくれるから、ミレイは頑張れる。だから、これからも隣にいてくれ」
「はい。僕も、先輩の隣にいたいです」
僕がそう答えると、柚葉先輩は満足げに微笑んだ。
その笑顔を見て、イオリは何か言いたげに口を開きかけたが結局、何も言わずに書類に目を戻した。
(……なんだかんだで、イオリも認めてくれてるのかもしれない)
僕はそんなことを思いながら柚葉先輩の温もりを感じていた。
生徒会室の時計が静かに時を刻む中、僕たちは翌日の業務の確認を行っていた
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