45 / 179
第45話 岩宿ダンジョン3階層、古代遺跡
しおりを挟む
岩宿ダンジョン――砂に埋もれた古代遺跡のようなこのダンジョンの三階層は、荘厳な神殿の姿を保っていた。柱の一本一本に古代語のような文字が刻まれ、天井には星の意匠が輝いている。
しかし、そこに神聖さなどなかった。
「……拙者、やはり帰るべきではござろうか。これは……きっと死ぬ流れでござるよ……」
青い髪を揺らし、ダリルがぷるぷる震える。眼鏡の奥の目は涙目だった。
「大丈夫だって。わたしたちならできるよ。ね?」
桃色の髪をポニーテールに結んだ少女、エリーゼ=アルセリアがにっこり笑って、ダリルの背をぽんと叩いた。
「ボクは帰る選択も否定しないけどね……でも、あの銀の牙の人たちの顔を見て決めたよ」
金髪をかきあげ、ナルシスト全開のアリスターが頬杖をついた。
「オレは乗りかかった船だと思ってる。ここで逃げたら、胸張って冒険者名乗れねぇだろ」
筋肉隆々のマスキュラーが剣を肩に担ぎ、前を睨む。
――貴族令嬢、ラフィーナ嬢が捕らえられている。
それを聞いたとき、銀の牙のメンバーは何も言わずに頭を下げた。
「……お願い、彼女だけは……」
あの時の目を、ダリルは忘れられなかった。
「拙者も……見捨てることなどできぬでござる……!」
ダリルが小さく呟いたときだった。
空気が震えた。
ギィィ……という、金属を擦るような音。
神殿の奥、祭壇の前に現れたのは、漆黒のマントを羽織った一人の男――魔族だった。
「ほう、こんなところまで来るとは。感心だな。だが、ここで終わりだ」
その目は冷たく、皮膚には魔の刻印が浮かび、全身から黒い霧のような魔力を噴き出していた。
「みんな、構えて! 来るよ!」
エリーゼが叫び、瞬間、戦いが始まった。
マスキュラーが突撃し、剣を振るうが、魔族は指先一つで魔法陣を展開し、衝撃波を飛ばす。
「ぐあっ!」
壁に叩きつけられるマスキュラー。しかしすぐ立ち上がる。
「効かねぇなァ……これでも筋トレだけはしてきたんだ!」
アリスターが詠唱を終え、雷の槍を放つ。
「――穿て、雷精の牙《ライトニング・ファング》!」
雷撃が魔族の防御結界を貫く。だが、その奥で魔族は微笑んでいた。
「ぬるい。所詮は人間の魔法か」
ダリルは震える手で祈りを捧げる。
「光よ、導きを……聖盾《ホーリーシェル》!」
仲間に防御の加護が与えられ、魔族の反撃を防ぐ。
その間に、エリーゼが前に出た。
右手は金に、左足は銀に輝いている。
「ラフィーナ嬢を返して! わたしたちは、誰も見捨てない!」
疾風のように駆け、魔族の腹に剣を突き刺す。黄金の右腕が魔力を増幅し、剣は深く喰い込んだ。
「ぐっ……この娘……!」
「……甘く見ないで。わたし、前世では剣道三段だったんだから」
――それは誰にも聞こえない小さな独り言。
魔族は傷を負いながら、暗黒の瘴気を展開する。
「このままでは……っ」
その時、ダリルが叫んだ。
「神よ、我に力を――浄化せよ、聖なる光よ《セイント・レイ》!」
天井が輝き、光が差し込む。魔族の瘴気が焼かれ、苦悶の声が響いた。
その隙を、マスキュラーが逃さなかった。
「これがオレの本気だぁあああっ!!」
全力の渾身の剣が魔族の肩を斬り裂く。
「……チッ、これ以上は不利か」
魔族は苦悶の声を上げながら、空間転移魔法で姿を消した。
直後――
「う……うう……」
奥の祭壇で、ボロボロの服を着た少女が囚われていた。
「ラフィーナ嬢!」
エリーゼが駆け寄り、拘束を解く。
「……ありがとうございます……あなた方が、助けに……?」
「うん。もう大丈夫だよ。わたしたち、スプレーマムが迎えに来たんだから」
ラフィーナは涙を流し、エリーゼの胸に倒れ込んだ。
神殿に残ったのは、戦いの余韻と、彼らの新たな絆だけだった――。
【エリーゼ=アルセリア】
レベル:36
HP:584
MP:317
攻撃:662【439+剣225】
防御:853【428+上下425】
早さ:837【627+脚210】
幸運:100MAX
スキル:──剣聖──フェンリルの加護 金龍の加護
装備:武器 テオドリック帝国 王家の剣
防具 上半身 剣聖のドレスチェスト
下半身 剣聖のレッドプリーツ
脚 剣聖のブレイズブーツ
しかし、そこに神聖さなどなかった。
「……拙者、やはり帰るべきではござろうか。これは……きっと死ぬ流れでござるよ……」
青い髪を揺らし、ダリルがぷるぷる震える。眼鏡の奥の目は涙目だった。
「大丈夫だって。わたしたちならできるよ。ね?」
桃色の髪をポニーテールに結んだ少女、エリーゼ=アルセリアがにっこり笑って、ダリルの背をぽんと叩いた。
「ボクは帰る選択も否定しないけどね……でも、あの銀の牙の人たちの顔を見て決めたよ」
金髪をかきあげ、ナルシスト全開のアリスターが頬杖をついた。
「オレは乗りかかった船だと思ってる。ここで逃げたら、胸張って冒険者名乗れねぇだろ」
筋肉隆々のマスキュラーが剣を肩に担ぎ、前を睨む。
――貴族令嬢、ラフィーナ嬢が捕らえられている。
それを聞いたとき、銀の牙のメンバーは何も言わずに頭を下げた。
「……お願い、彼女だけは……」
あの時の目を、ダリルは忘れられなかった。
「拙者も……見捨てることなどできぬでござる……!」
ダリルが小さく呟いたときだった。
空気が震えた。
ギィィ……という、金属を擦るような音。
神殿の奥、祭壇の前に現れたのは、漆黒のマントを羽織った一人の男――魔族だった。
「ほう、こんなところまで来るとは。感心だな。だが、ここで終わりだ」
その目は冷たく、皮膚には魔の刻印が浮かび、全身から黒い霧のような魔力を噴き出していた。
「みんな、構えて! 来るよ!」
エリーゼが叫び、瞬間、戦いが始まった。
マスキュラーが突撃し、剣を振るうが、魔族は指先一つで魔法陣を展開し、衝撃波を飛ばす。
「ぐあっ!」
壁に叩きつけられるマスキュラー。しかしすぐ立ち上がる。
「効かねぇなァ……これでも筋トレだけはしてきたんだ!」
アリスターが詠唱を終え、雷の槍を放つ。
「――穿て、雷精の牙《ライトニング・ファング》!」
雷撃が魔族の防御結界を貫く。だが、その奥で魔族は微笑んでいた。
「ぬるい。所詮は人間の魔法か」
ダリルは震える手で祈りを捧げる。
「光よ、導きを……聖盾《ホーリーシェル》!」
仲間に防御の加護が与えられ、魔族の反撃を防ぐ。
その間に、エリーゼが前に出た。
右手は金に、左足は銀に輝いている。
「ラフィーナ嬢を返して! わたしたちは、誰も見捨てない!」
疾風のように駆け、魔族の腹に剣を突き刺す。黄金の右腕が魔力を増幅し、剣は深く喰い込んだ。
「ぐっ……この娘……!」
「……甘く見ないで。わたし、前世では剣道三段だったんだから」
――それは誰にも聞こえない小さな独り言。
魔族は傷を負いながら、暗黒の瘴気を展開する。
「このままでは……っ」
その時、ダリルが叫んだ。
「神よ、我に力を――浄化せよ、聖なる光よ《セイント・レイ》!」
天井が輝き、光が差し込む。魔族の瘴気が焼かれ、苦悶の声が響いた。
その隙を、マスキュラーが逃さなかった。
「これがオレの本気だぁあああっ!!」
全力の渾身の剣が魔族の肩を斬り裂く。
「……チッ、これ以上は不利か」
魔族は苦悶の声を上げながら、空間転移魔法で姿を消した。
直後――
「う……うう……」
奥の祭壇で、ボロボロの服を着た少女が囚われていた。
「ラフィーナ嬢!」
エリーゼが駆け寄り、拘束を解く。
「……ありがとうございます……あなた方が、助けに……?」
「うん。もう大丈夫だよ。わたしたち、スプレーマムが迎えに来たんだから」
ラフィーナは涙を流し、エリーゼの胸に倒れ込んだ。
神殿に残ったのは、戦いの余韻と、彼らの新たな絆だけだった――。
【エリーゼ=アルセリア】
レベル:36
HP:584
MP:317
攻撃:662【439+剣225】
防御:853【428+上下425】
早さ:837【627+脚210】
幸運:100MAX
スキル:──剣聖──フェンリルの加護 金龍の加護
装備:武器 テオドリック帝国 王家の剣
防具 上半身 剣聖のドレスチェスト
下半身 剣聖のレッドプリーツ
脚 剣聖のブレイズブーツ
24
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。
向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。
幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。
最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです!
勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。
だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!?
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?
向原 行人
ファンタジー
第三王子が趣味で行っている冒険のパーティに所属するマッパー兼食事係の私、アニエスは突然パーティを追放されてしまった。
というのも、新しい食事係の少女をスカウトしたそうで、水魔法しか使えない私とは違い、複数の魔法が使えるのだとか。
私も、好きでもない王子から勝手に婚約者呼ばわりされていたし、追放されたのはありがたいかも。
だけど私が唯一使える水魔法が、実は「飲むと数時間の間、能力を倍増する」効果が得られる神水だったらしく、その効果を失った王子のパーティは、一気に転落していく。
戻ってきて欲しいって言われても、既にモフモフ妖狐や、新しい仲間たちと幸せな日々を過ごしてますから。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる