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連載
302 怒らせたらいけないのは?
しおりを挟む傷心の誰かさんは、放っておいて。『うっ』
さて?この二匹、今のヒントで分かるかしらね?
『バカを言うな!精霊王ですらだと?そんなもの神くらいだろう!』
『そうよ!あんたたちが神だとでも?こんな所にいるわけないじゃない!』
ピクッ
再び目元、口元をひくつかせるジーニ様たち。そして、
『私はあなた方に呼び捨てを許した覚えはありませんわよ』
アイナ様も黙ってなかった。
『まだ分かりませんの?先程あれだけ力の差を見せて差し上げましたのに。やはり手加減はいけませんでしたわね。あなた方を付け上がらせただけだったようですわ』
そう言って地面からジャキンと無数の土の槍を出した。
『『ヒッ』』
二匹は先程何があったのか思い出したのか、声を上げて後ずさった。
『あなた方、なぜ今立てているか分かりますか?まさか勝手に傷が治ったとでも?まさか、そんなこと思いませんわよね?』
アイナ様が問いかける。
『そ、それは』
『私たちの…』
しどろもどろで話し出す二匹。
『なんですの?自分たちの力だとでも?いい加減になさいませ。あなた方を癒したのは、そこにおわす医神様ですわ』
アイナ様、完全にお怒りです。
『な、それじゃ本当に』
『神が?』
やっと分かったのかしら?
〖…数日前より、私たちが降臨したこの地は、聖域となった〗
私は二匹に話し出す。
『数日前?息苦しさを感じ始めた頃か?』
『この森が聖域に?』
ようやく話を聞く気になったようね。
〖聖域…すなわち神聖な地となったわけだ。お前たち、息苦しくなったと言ったな?〗
威圧を込めて言う。
『う、うう』
『そ、それが何だと?』
この二匹は、私たちが神だと分かっても、態度を改めないのね。
〖はァ、分かりませんか?本当に救いようがないですね〗
呆れのため息と共に、医神が話し出す。
〖神聖な地になったということは、空気も地も、そして、漂う魔素も、何もかもが浄化されます。頭の悪いあなた方にも分かるように言うと、綺麗になったということです〗
チクッと刺すように話をさせたら、天下一品よね?
ギロリ。
ごめんなさい。なんでもないわ。続けてください。
〖普通であれば、綺麗になった空気や魔素を吸えば、気持ちよくなります。体調が良くなるほどです。普通であれば。分かりますか?普通であればです〗
二度どころか三度言ったわね。
〖けれど、あなた方は息苦しくなった。恐らく、この聖域の中心に近づくにつれ、体も思うように動かなかったはず。私が言っていることに、間違いはありますか?間違いありませんよね?〗
医神が目を細めて、二匹に詰め寄る。
『う、うう』
『な、ない……』
ギロリッ
『あ、ありません』
さすが医神ね。ようやく言葉遣いを改めたわね。
〖聖域の中では心が綺麗な者ほど力を与えられます。逆に心が穢れ、邪な思いを抱くものほど、苦しく居づらくなる。体も思うように動かなくなる。心当たりありますよね?あるはずです。あなた方のことですよ〗
細めていた目を開き睨みつける医神に、二匹は
『ば、バカなっ!我っ…私たちは間違っていない』
『そうよ…そうです!私たちは正当な権利を持って、自分の物を取り戻そうとっ!』
ガラガラガラッ!ピシャーン!!
『『ヒッ』』
ブスブスブスブス
雷が二匹の鼻先を掠め、地面を焦がす。二匹の足先も焦げてるかもね。こんなことが出来るのは…
〖愚か者が…!〗
シア…。バカねぇ、この二匹。一番怒らせたらいけない子を怒らせたわね。あ~あ~。私たちの上だけ暗雲が……
〖お前たちのそれは、醜い支配欲。ここにお前たちのものなぞ、何一つない〗
ピカッ!ピシッ!雷鳴と共にそこかしこで火花が散る
『違う!ここは私たちの物!』
『息子だって私の物よ!』
バシーンッ!
一際大きい雷が落ちる。今度は二匹の間に。
『『ギャンッ』』
堪らず悲鳴をあげる二匹
〖言ったであろう。何一つ、お前たちの『物』などないと!そもそも命は『物』などでは無い!〗
ピシャーン!
あ~あ~。地面が…あとで戻さないと、サーヤたちが泣い…ハッ!
ちろり
ジーニ様が、サーヤたちの方をこっそり伺うと…
「ほわぁ~ぁ!がらがらっ ぴちゃーん!」
お手手をブンブン!ぴしゃーんでバンザーイ!
ぴゅいっ『ごろごろっ』
きゅいっ『ぴかーっ』
お尻フリフリ!ぴかーっでバンザーイ!
『すごいね~』
『『ピカピカしてるね~』』
『ぴんぽいんと!』
『すごいね!』
『すごわざ!』
みゃ~ん!『だれがやってるにゃ?すごいにゃ!』
きゅるるん?『『『アリュさま?』』』
きゅるるん?『『『『シアさま?』』』』
『あれはぁ、シア様みたいよぉ?』
結葉様が複雑そうなお顔で教えてくれます。
「ふわ~あ!しあしゃま、しゅご~!」
パチパチパチパチ拍手です。
『なあ、あれ、焦げてるよな?』
『焦げてるわね。サーヤたちは見えてないのかしら?』
フゥとクゥの疑問の声に、山桜桃と春陽が
『あの、恐らくですが、目線の差かと…』
『僕たちは上から下に見えますけど…その』
言葉を濁す二人の言葉を受けて青葉たちが
『ああ。そうですよね。小さい子は下から上を見てるから…』
『『『見えないんだね…』』』
きゅるる『見えないって、平和なことでもあったのね~』
絹さんの言葉に頷く一同。
すごいすごいとはしゃぐちびっ子たち。
ぽぽちゃんとニャーニャにゃんは思う。
『みんな、大物なんだな』
『すごいにゃね』
『『はあ~あ』』
…全くこの空気とはそぐわない状態だわ。全然、心配すること無かったみたいね。
苦笑いを堪えるのに必死なジーニ様でした。
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