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第3章 元カレとの再会
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でも、ここにいることは紛れもない事実だ。
そして、これは大きなチャンス。
そのことだけは、この1週間でよくわかった。
だから、どんなに辛くても落ち込むことがあっても、あきらめずに食らいつく。
そして、数年後、これだけ成長したって自分で思えるように全力で頑張ろう。
うーん、闘志がめらめら湧いてくる。
「よっしゃーっ!」
そう、給湯室で気合を入れたら、外からぷっと吹き出す声が聞こえた。
えっ、誰?
「気合十分だな」
「ぶ、部長」
笑いながら入ってきたのは、部長。
この人、唐突に現れるんだよね、いつも。それに、そんなに愉快そうに笑わなくても……
「香川が言ってた通りだな、辻本は」
「沙織先輩が?」
「ああ、近ごろの若手には珍しくガッツにあふれてるってな」
「ん? それ、どういう意味でしょうか?」
「褒め言葉だろう。素直に受け取っておけよ」
「はい」
「だが、これからが本番だ。お前の手並みをじっくり拝見させてもらうよ」
「はい! 精一杯頑張ります。よろしくご指導ください」
そう言って、わたしはペコっと頭を下げた。
すると、何を思ったのか、部長はふわっとわたしの髪に触れてきた。
えっ? な、何?
不覚にもドキッとしてしまった。
顔を上げてみると、部長もなんだか妙な顔をしてる。
自分でも気づかないうちにそんな行動を取ってしまったというふうに。
そして、照れくさそうに、前髪をかきあげた。
うわっ、その仕草。ちょっと、目が離せない感じ……
えーっと、たしかに、みんなが言ってるとおり、ちょっとだけカッコいいかも、鬼沢、もとい部長って。
でもすぐ、いつものふてぶてしいほど強気な表情に戻った。
「ああ、言っておくが、役に立たんと思ったら容赦なく切るから、肝に銘じておけよ」
そう捨てゼリフを残して、先にオフィスに戻っていった。
なんだ、やっぱ鬼沢は鬼沢じゃん……
もう、ドキッとして損した。
でも……
第一印象ほど、ひどい奴ってわけじゃないのかも。
さっきの快活な笑顔を思い出して、わたしは少しだけ、部長に対する認識を改めた。
そして、これは大きなチャンス。
そのことだけは、この1週間でよくわかった。
だから、どんなに辛くても落ち込むことがあっても、あきらめずに食らいつく。
そして、数年後、これだけ成長したって自分で思えるように全力で頑張ろう。
うーん、闘志がめらめら湧いてくる。
「よっしゃーっ!」
そう、給湯室で気合を入れたら、外からぷっと吹き出す声が聞こえた。
えっ、誰?
「気合十分だな」
「ぶ、部長」
笑いながら入ってきたのは、部長。
この人、唐突に現れるんだよね、いつも。それに、そんなに愉快そうに笑わなくても……
「香川が言ってた通りだな、辻本は」
「沙織先輩が?」
「ああ、近ごろの若手には珍しくガッツにあふれてるってな」
「ん? それ、どういう意味でしょうか?」
「褒め言葉だろう。素直に受け取っておけよ」
「はい」
「だが、これからが本番だ。お前の手並みをじっくり拝見させてもらうよ」
「はい! 精一杯頑張ります。よろしくご指導ください」
そう言って、わたしはペコっと頭を下げた。
すると、何を思ったのか、部長はふわっとわたしの髪に触れてきた。
えっ? な、何?
不覚にもドキッとしてしまった。
顔を上げてみると、部長もなんだか妙な顔をしてる。
自分でも気づかないうちにそんな行動を取ってしまったというふうに。
そして、照れくさそうに、前髪をかきあげた。
うわっ、その仕草。ちょっと、目が離せない感じ……
えーっと、たしかに、みんなが言ってるとおり、ちょっとだけカッコいいかも、鬼沢、もとい部長って。
でもすぐ、いつものふてぶてしいほど強気な表情に戻った。
「ああ、言っておくが、役に立たんと思ったら容赦なく切るから、肝に銘じておけよ」
そう捨てゼリフを残して、先にオフィスに戻っていった。
なんだ、やっぱ鬼沢は鬼沢じゃん……
もう、ドキッとして損した。
でも……
第一印象ほど、ひどい奴ってわけじゃないのかも。
さっきの快活な笑顔を思い出して、わたしは少しだけ、部長に対する認識を改めた。
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