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第3章 元カレとの再会
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この部署に異動してきて今日で1週間。
たしかに米川さんが言っていたように、それぞれのペースで仕事ができる部署なので、慣れるにしたがって居心地はよくなってきた。
あとふたりは、田代さんと坂口さん。
田代さんは30代後半、坂口さんはわたしより2歳年下の24歳。
彼らはスーパーフレックスタイム制をとっているので、夕方から出社したり、1日中、顔を出さない日も多く、まだ、挨拶を交わした程度だった。
しかし、ここは少数精鋭部隊と言われてるけれど、看板に偽りなし。
米川さんはアメリカでマーケティングの修士号を取ったスペシャリストだし、田代さんは倒産しかけた某有名企業を、当時、まだ日本ではポピュラーではなかったブランディングの手法で大復活させた凄腕だし、坂口さんはパソコンの使い手で、部長以下3人のアシスタントを一手に引き受けているという話だ。
全員、得意分野を持って、八面六臂の活躍をしている。
そして部長。
そのすごい3人が口をそろえて、「木沢さんには敵わない」と尊敬の念を抱いている。
わたしはまだ来たばかりだからはっきりしたことはわからないけれど、先日テープ起こしを頼まれた海外出張の会議録。
理路整然と取引先を説得していく部長の迫力は並大抵のものではなかった。
すごい人だってことはたしかだと思う。
そして威圧感もすごい。
いまだに側に来られると緊張しちゃう。
じゃあ、わたしは?
入社4年目。もちろん、これまでがむしゃらに働いてきたけど、これが1番の売り、と言えるものはまだない。
どうして、そのわたしがこの部に呼ばれたのか、正直、よくわからない。
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