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第3章 元カレとの再会

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「辻本、ブランディングとマーケティングの違いは」

 木沢部長が出張から帰ってきた朝。

「おはようございます」と挨拶すると早速、質問が飛んできた。

「マーケティングは市場開拓、ブランディングは企業や商品イメージを構築して、ブランド化することです」

 良かったー。
 聞かれそうなこと、想定して暗記しといて。

「じゃあ、ブランディングの意義は」
「商品やその企業自体に付加価値を加え、価格や品質以外の競争力を生み出すことです」


 部長からはさらに2,3、質問が飛んできた。
 まるで野球のノック。
 卒論の口頭試問よりきつい。


 やっぱ体育会だわ、ここ。


「よし」
 彼は大きく頷くと、机に置いてあった紙袋を渡した。


「ほれ、土産だ。給湯室においとけばみんな適当に食うから」
 そう言うと、もう用なしとばかり、パソコンに目を移した。

 ほんとにこの人、どこまでマイペースなんだろう。

 席に戻ろうとしたら、部長は急にこっちを向いた。

 もう、びっくりするって。

「辻本には俺と一緒におもちゃ屋の『ヤマモト』のブランディングを担当してもらう。来週の月曜の午後、顔合わせに行くから心積りしておいてくれ」

「はい。わかりました」
 わたしは一礼して、その場を後にした。


 ああ、やっぱり。米川さんの予想通りになった。
 まさかこんな形で再会することになるなんて。

 いったいどんな顔で宗一郎さんに会えば……

 
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