恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~

泉南佳那

文字の大きさ
44 / 72
第7章 自爆覚悟の告白の末……

5

しおりを挟む
「言いたいことって、つまり、こういうことだろう?」

 突然のことに毒気を抜かれたわたしは、ただ茫然と部長の顔を見つめていた。

「俺は、お前も知っての通り、〝前時代の遺物〟みたいな男だからな。こういうことで女に先を越されるのは趣味じゃない」

 そして、抱きすくめられ、耳元で囁かれた。
「花梨、俺も惚れてるよ。ずっと前からな」

 彼の胸に顔をうずめたまま「でも、どうして」と呟き、彼を見上げた。

「この間、オフィスでわたしを抱き留めたとき、部長、ぜんぜん動じてなかったじゃないですか。だからてっきり」

 わたしの言葉に、部長はいったん身体を離すとソファーにいざなった。
 今度はわたしもおとなしく従った。

「合気道の有段者だからな、俺は。気を整えれば、心臓の動きぐらいコントロールすることができる」

 そう言って、彼はわたしの手を自分の左胸に導いた。

「ほら、今もぜんぜん普通だろう」
「あっ、ほんとだ」

「それにあのときは俺のなかにある理性を総動員して耐えてた。じゃないと、あそこであのまま、お前を押し倒してしまいそうだったからな。さすがにオフィスじゃまずいだろうと思ってな」

 な、なんてことを……
 わたしの顔、きっと、茹で蛸みたいになっていたはず。
 そんなわたしの頬を、部長は両手でもう一度そっと包んだ。

「実は、今も限界に近いんだが……」
 そう言って、もう一度軽く口づけされ、そのまま首筋に唇が這ってきそうな体勢に。

 わ、わ、わ。
「ち、ちょっと待って……」 

  そのままの体勢で、部長はさらりとのたまう。
「惚れてる女に、そんな思い詰めた切ない顔されて、平気な男がいるとでも思ってんのか」

 キャーっ、ほ、惚れてる女⁉︎

 あれ、でも……
「で、でも部長。沙織先輩と付き合ってるんじゃ……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妖狐の嫁入り

山田あとり
恋愛
「――おまえを祓うなどできない。あきらめて、俺と生きてくれ」 稲荷神社の娘・遥香(はるか)は、妖狐の血をひくために狐憑きとさげすまれ、ひっそり生きてきた。 ある日、村八分となっている遥香を探して来たのは怨霊や魔物を祓う軍人・彰良(あきら)。 彼は陰陽師の名門・芳川家の男だった。 帝国陸軍で共に任務にあたることになった二人だったが、実は彰良にもある秘密が――。 自己評価は低いが芯に強さを秘める女が、理解者を得て才能を開花させる!   & 苦しみを抱え屈折した男が、真っ直ぐな優しさに触れ愛を知る! 明治中期風の横浜と帝都を駆ける、あやかし異能ロマンス譚です。 可愛い妖怪・豆腐小僧も戦うよ! ※この作品は、カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

有木珠乃
恋愛
両親を亡くし、二人だけの姉妹になった一ノ瀬栞と琴美。 ある日、栞は轢き逃げ事故に遭い、姉の琴美が務める病院に入院することになる。 そこで初めて知る、琴美の婚約者の存在。 彼らの逢引きを確保するために利用される栞と外科医の岡。 「二人で自由にならないか?」を囁かれて……。

運命には間に合いますか?

入海月子
恋愛
スペイン建築が大好きな設計士 大橋優那(おおはし ゆな) 28歳        × せっかちな空間デザイナー 守谷翔真(もりや しょうま) 33歳 優那はスペイン建築を学ぶという夢が実現するというときに、空間デザイナーの翔真と出会った。 せっかちな彼は出会って二日目で優那を口説いてくる。 翔真に惹かれながらも、スペインに行くことが決まっている優那はその気持ちに応えられないときっぱり告げた。 それでも、翔真はあきらめてくれない。 毎日のように熱く口説かれて、優那は――

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

冷徹社長の「契約」シンデレラ~一夜の過ちから始まる溺愛ルート!? 嘘つきな私と不器用な御曹司のオフィスラブ~

藤森瑠璃香
恋愛
派遣社員の桜井美月は、ある夜、会社の懇親会で泥酔し、翌朝目覚めると隣には「氷の彫刻」と恐れられる若き社長・一条蓮がいた。まさかの一夜の過ち(実際には何もなかったが、美月は勘違い)に青ざめる美月に、蓮は「責任は取る。だがこれは恋愛ではない、契約だ」と、彼の抱えるある事情のため、期間限定で恋人のフリをするよう持ちかける。破格の報酬と蓮の真剣な様子に、美月は契約を受け入れる。

花も実も

白井はやて
恋愛
町で道場を営む武家の三男朝陽には最近、会うと心が暖かくなり癒される女性がいる。 跡取り問題で自宅に滞在したくない彼は癒しの彼女に会いたくて、彼女が家族と営む団子屋へ彼は足しげく熱心に通っているのだが、男と接客している様子を見ると謎の苛立ちを抱えていた。

譲れない秘密の溺愛

恋文春奈
恋愛
憧れの的、国宝級にイケメンな一条社長と秘密で付き合っている 社内一人気の氷室先輩が急接近!? 憧れの二人に愛される美波だけど… 「美波…今日充電させて」 「俺だけに愛されて」 一条 朝陽 完全無欠なイケメン×鈴木 美波 無自覚隠れ美女

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」  突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。  冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。  仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。 「お前を、誰にも渡すつもりはない」  冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。  これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?  割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。  不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。  これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

処理中です...