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第一章
32【視点変更】ゼオン元国王とダスフォール
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「我が息子サージェントよ、お前には失望した……。私たちはこの国を一旦捨てることにする」
「左様ですか」
元国王であるゼオンがサージェントのことを睨んでいる。
対してサージェントは冷静だった。
「お前は頭がいいと思っていた。だからこそ王位継承を早々と行ったのだが、なんなんだこの国政改革は!」
「失礼ですが、父上が行ってきた改革を引き継いだ結果です」
「特に我が弟であるドルドック家の年俸をゼロにするなどあり得ん!」
「彼の御子息のミスによって税収が半分以下になってしまったからです。それに父上の言われたとおり、最初の数年は引継ぎのみで口出しはしないという条件で国政を行いました。ですが、その結果このような事態になったのですよ。流石に最高責任者に確認を通さずに大事な資料を公認してしまうのも問題があるかと」
「今までノーミスでやってきた素晴らしいザグローム君がそんな失態を犯すわけないだろう」
「いえ、彼はそもそも……だからこそリリーナを推奨したんですよ。それにこのままでは国が崩壊します。私は国のため、父上の命令は破棄し責任を持って国を変えていきます」
「ふむ。ならば遠慮はいらんな。国を捨てると言ったのは私だけではないのだぞ」
「と、いいますと?」
「王都にいる貴族民ほぼ全員だ。これからは金に飢えた国の運営になるだろう。バカな息子だ……しっかりと私の指示に従っていればよかったものを……」
「そうですか、止めはしません。これからは個人の自由を尊重したいと愚考していましたので」
「ふ……泣いて詫びても遅いからな」
ゼオンはニヤリと笑い、すぐに仲間全員に告げたのだった。
♢
ゼオンたちは、大勢の人間と金になりそうな金類や各々の大事なものを持ち出そうとしていたのだが、馬車が足りなかった。
「くそう……物資を運べる量はこれで精一杯か……だが、あちらの国を制圧すればさらに稼げるはずだ。今は戦力になる人間の方が大事だ」
諦め、大量の馬車が一斉に動き始めようとしたとき、王都の入口側から、大量の馬車がやってきた。
ゼオン元国王たちのいる方へと向かってきたのである。
「警戒しろ! 他国の馬だ!」
しかし、相手側の馬車から姿を現した人物を見て、ゼオンはホッとしていた。
「ダスフォール殿下でしたか! これはこれは……」
「ゼオン陛下、お久しぶりですね。実は相談がありましてね」
ニヤリと笑うダスフォール。それにつられてゼオンも利益がある話だろうと瞬時に察し、話を聞きはじめたのだ。
「実はですね、大きい声じゃ言えないんですけど、僕の国とアルガルデ王国、両方支配したいんですよね」
ゼオンはニヤリと笑った。
「ほう、実は全く同じことを考えていたんですよ。戦力としては不十分かもしれませんが、私を慕ってくれる貴族の者たちを全員そちらに連れて行こうとしていたところです。次期国王陛下になられるダスフォール殿下ならば話を聞いてくれると思いましてな」
「ならば話が早いですね。移動するための馬車をこれだけ持ってきたんでね。金目の物や忠誠を誓えそうな人間、それから兵士たちを連れてきて欲しいんですよ」
「おおぉぉ! これは助かります! 実は乗り切れない人間がまだまだいたのでね。まさにあなたは神のような存在だ」
「察するにお互いにバカな国になっちゃったんでしょうね。でも、もう平和ごっこはおしまいにしちゃおうと思うんだよね」
「同感ですな。息子に継がせたのがそもそもの間違いで……」
早速ゼオンは仲間全員にこのことを知らせ、残された者や荷物、そして戦力になりそうな兵士を追加で召集したのである。
「うん、これだけ戦力が加われば絶対に平気なんでね。どうせ僕の国ってお気楽国家になっちゃってるから、戦える人間なんてほとんどいないんだね」
「全く……国とは貴族の物であり、一般民衆は下僕であることを忘れられては困りますな……。おっと、ダスフォール殿下に失礼なことを言ってしまいましたな……」
「良いんですよ。本当のことだしこれから僕たちで変えて支配していければ。ま、圧勝だろうけどね」
ゼオンとダスフォールは勝利を確信して笑い合っていた。
しかし、彼らは知らなかったのだ。
リリーナによって、オーブルジェ王国では侵略を防ぐためにあらゆる計画が進んでいることを。
「左様ですか」
元国王であるゼオンがサージェントのことを睨んでいる。
対してサージェントは冷静だった。
「お前は頭がいいと思っていた。だからこそ王位継承を早々と行ったのだが、なんなんだこの国政改革は!」
「失礼ですが、父上が行ってきた改革を引き継いだ結果です」
「特に我が弟であるドルドック家の年俸をゼロにするなどあり得ん!」
「彼の御子息のミスによって税収が半分以下になってしまったからです。それに父上の言われたとおり、最初の数年は引継ぎのみで口出しはしないという条件で国政を行いました。ですが、その結果このような事態になったのですよ。流石に最高責任者に確認を通さずに大事な資料を公認してしまうのも問題があるかと」
「今までノーミスでやってきた素晴らしいザグローム君がそんな失態を犯すわけないだろう」
「いえ、彼はそもそも……だからこそリリーナを推奨したんですよ。それにこのままでは国が崩壊します。私は国のため、父上の命令は破棄し責任を持って国を変えていきます」
「ふむ。ならば遠慮はいらんな。国を捨てると言ったのは私だけではないのだぞ」
「と、いいますと?」
「王都にいる貴族民ほぼ全員だ。これからは金に飢えた国の運営になるだろう。バカな息子だ……しっかりと私の指示に従っていればよかったものを……」
「そうですか、止めはしません。これからは個人の自由を尊重したいと愚考していましたので」
「ふ……泣いて詫びても遅いからな」
ゼオンはニヤリと笑い、すぐに仲間全員に告げたのだった。
♢
ゼオンたちは、大勢の人間と金になりそうな金類や各々の大事なものを持ち出そうとしていたのだが、馬車が足りなかった。
「くそう……物資を運べる量はこれで精一杯か……だが、あちらの国を制圧すればさらに稼げるはずだ。今は戦力になる人間の方が大事だ」
諦め、大量の馬車が一斉に動き始めようとしたとき、王都の入口側から、大量の馬車がやってきた。
ゼオン元国王たちのいる方へと向かってきたのである。
「警戒しろ! 他国の馬だ!」
しかし、相手側の馬車から姿を現した人物を見て、ゼオンはホッとしていた。
「ダスフォール殿下でしたか! これはこれは……」
「ゼオン陛下、お久しぶりですね。実は相談がありましてね」
ニヤリと笑うダスフォール。それにつられてゼオンも利益がある話だろうと瞬時に察し、話を聞きはじめたのだ。
「実はですね、大きい声じゃ言えないんですけど、僕の国とアルガルデ王国、両方支配したいんですよね」
ゼオンはニヤリと笑った。
「ほう、実は全く同じことを考えていたんですよ。戦力としては不十分かもしれませんが、私を慕ってくれる貴族の者たちを全員そちらに連れて行こうとしていたところです。次期国王陛下になられるダスフォール殿下ならば話を聞いてくれると思いましてな」
「ならば話が早いですね。移動するための馬車をこれだけ持ってきたんでね。金目の物や忠誠を誓えそうな人間、それから兵士たちを連れてきて欲しいんですよ」
「おおぉぉ! これは助かります! 実は乗り切れない人間がまだまだいたのでね。まさにあなたは神のような存在だ」
「察するにお互いにバカな国になっちゃったんでしょうね。でも、もう平和ごっこはおしまいにしちゃおうと思うんだよね」
「同感ですな。息子に継がせたのがそもそもの間違いで……」
早速ゼオンは仲間全員にこのことを知らせ、残された者や荷物、そして戦力になりそうな兵士を追加で召集したのである。
「うん、これだけ戦力が加われば絶対に平気なんでね。どうせ僕の国ってお気楽国家になっちゃってるから、戦える人間なんてほとんどいないんだね」
「全く……国とは貴族の物であり、一般民衆は下僕であることを忘れられては困りますな……。おっと、ダスフォール殿下に失礼なことを言ってしまいましたな……」
「良いんですよ。本当のことだしこれから僕たちで変えて支配していければ。ま、圧勝だろうけどね」
ゼオンとダスフォールは勝利を確信して笑い合っていた。
しかし、彼らは知らなかったのだ。
リリーナによって、オーブルジェ王国では侵略を防ぐためにあらゆる計画が進んでいることを。
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