【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥

文字の大きさ
68 / 71
第二章

68 危険が迫っていた

しおりを挟む
 約一ヶ月の期間を経て、王都全体を囲う防壁が完成した。
 王宮でドーレムさんが陛下にその報告をしに来ている。
 陛下も満足そうな表情で笑みを浮かべていた。

「すごいですね。こんな短期間で要塞都市になってしまうなんて」
「ドーレム殿、それから建設に関わってくれた皆のものにも感謝する。大儀であった」
「ありがたきお言葉……。リリーナ様が作られた設計図が分かりやすく正確だったから早く完成できたのもあります」

 設計図だけ作ってドーレムさんに丸投げ状態だった。
 ドーレムさんは今回の防壁を作るための指揮者として動いてくれた。
 しかも、数百人規模で建設に携わってくれたから早く完成したのだと思っている。

「かいかぶりすぎですよ。これだけ大勢の方が協力してくれて、ドーレムさんの指揮が良かったからでしょう?」
「どうでしょうか。これだけ人が集まったのはリリーナ様発案というのが大きいと思いますけれど。私だけではこんなに招集できませんからね」
「いやいや……そんなことはないと思いますが」
「それに、作業が効率よく進んだのはリリーナ様が選んだ素材が良かったのもあります。重量は軽いが耐久性が強く、安価で入手できる鉱物を城壁にしてしまうという発想は誰も思いつきませんでしたよ」

 石を選べば更に低コストで作ることはできただろう。
 だが、どうせ作るなら石よりももっと頑丈で耐久性も優れ、尚且つ長い間防壁として機能する材料で作ったほうが長い目で見れば安く済むと思った。

「これで入り口に麻酔銃を持たせた警備兵を配置すれば防御面では申し分ないでしょう」
「いやはや……、リリーナ殿にも任せっぱなしですまなかった。だが、おかげで敵の侵入を心配することもなく安心して住める王都になったよ」

 大規模な計画も完成してホッと一息。
 これでライカル様との結婚を進められるかもしれないと思っていた。

「陛下! 一大事であります!」
「どうしたのだシンザーンよ、その口調で私を呼ぶということは余程のことなのであろう?」
「はい! 遠方より馬車の大群を発見。武器を持っている模様との報告を受けています」
「なんということだ……」

 とんでもないタイミングで面倒ごとがやってきたようだ。
 だが、防壁が完成した今ならば、侵入経路さえしっかりとしておけば脅威ではないはず。
 普段はシンザーン様のことをしんちゃんとよんでいるが、今は重大案件だからしっかりと敬語を使う。

「シンザーン殿下、門番に警備兵の配置は?」
「すでに総動員をかけてある。麻酔銃も防御服も装備させているが……」
「さすがシンザーンだ。指揮が早くて助かる。悪意ある者達で尚且つ侵入を試みるようならば捕らえるように伝えよ」
「承知しました、では直ちに」

 シンザーン様はすぐに走りだしこの場を去った。

「私どもも微力ながらシンザーン殿下の後に続いてもよろしいですか?」
「ドーレム殿がか?」
「まだ王宮の外で部下も待機しています。力自慢ばかりですから何かあれば警備兵や殿下の助太刀ができるかと」
「ふむ……、仕事終わりですまぬ」
「私も同行しますね」
「リリーナ殿までもか⁉︎」
「力は非力ですが、何かあるようならば私も射撃で援護ができますから」

 考えている時間はない。
 それに、妙な胸騒ぎもしていたから、すぐに王都入り口まで馬車で向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~

畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。

神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました

青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。 それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。

五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」 オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。 シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。 ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。 彼女には前世の記憶があった。 (どうなってるのよ?!)   ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。 (貧乏女王に転生するなんて、、、。) 婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。 (ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。) 幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。 最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。 (もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。 だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。 しかも新たな婚約者は妹のロゼ。 誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。 だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。 それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。 主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。 婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。 この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。 これに追加して書いていきます。 新しい作品では ①主人公の感情が薄い ②視点変更で読みずらい というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。 見比べて見るのも面白いかも知れません。 ご迷惑をお掛けいたしました

婚約破棄されたので、とりあえず王太子のことは忘れます!

パリパリかぷちーの
恋愛
クライネルト公爵令嬢のリーチュは、王太子ジークフリートから卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を告げられる。しかし、王太子妃教育から解放されることを喜ぶリーチュは全く意に介さず、むしろ祝杯をあげる始末。彼女は領地の離宮に引きこもり、趣味である薬草園作りに没頭する自由な日々を謳歌し始める。

姉と妹の常識のなさは父親譲りのようですが、似てない私は養子先で運命の人と再会できました

珠宮さくら
恋愛
スヴェーア国の子爵家の次女として生まれたシーラ・ヘイデンスタムは、母親の姉と同じ髪色をしていたことで、母親に何かと昔のことや隣国のことを話して聞かせてくれていた。 そんな最愛の母親の死後、シーラは父親に疎まれ、姉と妹から散々な目に合わされることになり、婚約者にすら誤解されて婚約を破棄することになって、居場所がなくなったシーラを助けてくれたのは、伯母のエルヴィーラだった。 同じ髪色をしている伯母夫妻の養子となってからのシーラは、姉と妹以上に実の父親がどんなに非常識だったかを知ることになるとは思いもしなかった。

聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日

佐藤 美奈
恋愛
「好きな人ができたから別れたいんだ」 「相手はフローラお姉様ですよね?」 「その通りだ」 「わかりました。今までありがとう」 公爵令嬢アメリア・ヴァレンシュタインは婚約者のクロフォード・シュヴァインシュタイガー王子に呼び出されて婚約破棄を言い渡された。アメリアは全く感情が乱されることなく婚約破棄を受け入れた。 アメリアは婚約破棄されることを分かっていた。なので動揺することはなかったが心に悔しさだけが残る。 三姉妹の次女として生まれ内気でおとなしい性格のアメリアは、気が強く図々しい性格の聖女である姉のフローラと妹のエリザベスに婚約者と幼馴染をとられてしまう。 信頼していた婚約者と幼馴染は性格に問題のある姉と妹と肉体関係を持って、アメリアに冷たい態度をとるようになる。アメリアだけが恋愛できず仲間外れにされる辛い毎日を過ごすことになった―― 閲覧注意

「価値がない」と言われた私、隣国では国宝扱いです

ゆっこ
恋愛
「――リディア・フェンリル。お前との婚約は、今日をもって破棄する」  高らかに響いた声は、私の心を一瞬で凍らせた。  王城の大広間。煌びやかなシャンデリアの下で、私は静かに頭を垂れていた。  婚約者である王太子エドモンド殿下が、冷たい眼差しで私を見下ろしている。 「……理由を、お聞かせいただけますか」 「理由など、簡単なことだ。お前には“何の価値もない”からだ」

処理中です...