67 / 87
53 アリアのコンサート編11
しおりを挟む
「待っていてくれたのですね。ありがとうございます」
「えぇ。当然よ。ライアンさんにどうしてもお礼が言いたくて。あなたのおかげで無事にコンサートを見ることが出来たのですから。感謝しても足りないくらいですわ! 本当にありがとう!」
頭を下げてきた。
これは私だけでなかったことを、しっかりと伝える。
「おそらくあのチケットはサバス様のおかげですよ。私の鞄の中に密かに入れてくれていたのかと」
「……? そうなの? その意図はよくはわからないけれど……サバス様にもお礼を言わないといけませんわね。それにしても随分と長い握手会だったわね。今度は私も頑張って手に入れてアリア様と握手してみせるわよー!」
マーレット様と、コンサートの余韻に浸りながら帰路の途中、またしてもオズマとミーナが姿を現した。
二人はコンサートの後だというのに、あまり良い顔をしていなかった。
「うわぁ、また出た……」
「誰ですの?」
マーレット様は私に小声で訪ねてきた。
まだ距離が離れているので小声なら聞こえないはずだ。
立ち止まってマーレット様に説明した。
「オズマとミーナです。私の幼馴染の……」
「え!? じゃあ、この男がライアンさんを婚約解消にもっていって、好きな人と無理やりくっついたっていう!? あ、そういえば舞踏会にいたような気も……」
「しーーーっ! 声が大きいです」
「今更どうでも良いのでは? それに、女性の方、コンサートには相応しくない格好をしているわね。あれだけ丈が短かったらパンツも後ろからなら立ってても見えそうだけれど」
そんなことは今更だ。
それよりも、せっかくの余韻に浸っている最中なのに、これ以上面倒ごとは起こさないでほしい。
そう願いながら、二人の方へ向かっていく。
「ライアンよ。俺たちに感謝するが良い」
「え? 何を?」
「おまえの持っていたプラチナチケットは偽物だと分かってな、ミーナが密かにゴールドチケットと交換してくれたのだよ」
「はい!?」
言っている意味がわからない。
おまけに今私はまだ余韻に浸っていて夢の中状態なのだ。
普段ならしっかりと情報整理が出来るだろうけど、今はそんな簡単にはできない。
それでも私は考えた。
プラチナチケットは陛下からいただいたもので、正真正銘本物だ。
しかも、握手までしてきたのだから間違いはない。
「これのどこが偽物なのか説明してもらえる?」
「ほへ!?」
オズマから変な声が聞こえてきたな。
私のプラチナチケットを見て、どうして驚いているのだろうか。
それにしても何度見ても美しい……。
我が家の家宝確定だな。
「バカな! ゴールドチケットじゃなくプラチナ……」
「そういえば、持ってもいないはずだったゴールドチケットがダミーチケットの中に紛れていたけれど……。まぁあれはサバス様が私のために──」
「だ……ダミーだと!?」
私の発言を被せるようにしてオズマが大声をだして驚いていた。
「当たり前じゃん! 盗難防止策よ」
何故かオズマたちは、魂でも抜けたような表情をしていた。
今更余韻がはじまったのだろうか。
無理もない。
アリア様のコンサートの後は色々な症状を起こすからな。
「じゃ、私たちはこれで」
「あ、あぁ……」
「ごきげんよう……」
一体どうしたというのか。
横でマーレット様がクスクスと笑っていた。
「ライアンさんったら、こういうところは抜けているのよねー」
「え? 何がですか?」
今度はマーレット様の言っていることがよくわからなかった。
「えぇ。当然よ。ライアンさんにどうしてもお礼が言いたくて。あなたのおかげで無事にコンサートを見ることが出来たのですから。感謝しても足りないくらいですわ! 本当にありがとう!」
頭を下げてきた。
これは私だけでなかったことを、しっかりと伝える。
「おそらくあのチケットはサバス様のおかげですよ。私の鞄の中に密かに入れてくれていたのかと」
「……? そうなの? その意図はよくはわからないけれど……サバス様にもお礼を言わないといけませんわね。それにしても随分と長い握手会だったわね。今度は私も頑張って手に入れてアリア様と握手してみせるわよー!」
マーレット様と、コンサートの余韻に浸りながら帰路の途中、またしてもオズマとミーナが姿を現した。
二人はコンサートの後だというのに、あまり良い顔をしていなかった。
「うわぁ、また出た……」
「誰ですの?」
マーレット様は私に小声で訪ねてきた。
まだ距離が離れているので小声なら聞こえないはずだ。
立ち止まってマーレット様に説明した。
「オズマとミーナです。私の幼馴染の……」
「え!? じゃあ、この男がライアンさんを婚約解消にもっていって、好きな人と無理やりくっついたっていう!? あ、そういえば舞踏会にいたような気も……」
「しーーーっ! 声が大きいです」
「今更どうでも良いのでは? それに、女性の方、コンサートには相応しくない格好をしているわね。あれだけ丈が短かったらパンツも後ろからなら立ってても見えそうだけれど」
そんなことは今更だ。
それよりも、せっかくの余韻に浸っている最中なのに、これ以上面倒ごとは起こさないでほしい。
そう願いながら、二人の方へ向かっていく。
「ライアンよ。俺たちに感謝するが良い」
「え? 何を?」
「おまえの持っていたプラチナチケットは偽物だと分かってな、ミーナが密かにゴールドチケットと交換してくれたのだよ」
「はい!?」
言っている意味がわからない。
おまけに今私はまだ余韻に浸っていて夢の中状態なのだ。
普段ならしっかりと情報整理が出来るだろうけど、今はそんな簡単にはできない。
それでも私は考えた。
プラチナチケットは陛下からいただいたもので、正真正銘本物だ。
しかも、握手までしてきたのだから間違いはない。
「これのどこが偽物なのか説明してもらえる?」
「ほへ!?」
オズマから変な声が聞こえてきたな。
私のプラチナチケットを見て、どうして驚いているのだろうか。
それにしても何度見ても美しい……。
我が家の家宝確定だな。
「バカな! ゴールドチケットじゃなくプラチナ……」
「そういえば、持ってもいないはずだったゴールドチケットがダミーチケットの中に紛れていたけれど……。まぁあれはサバス様が私のために──」
「だ……ダミーだと!?」
私の発言を被せるようにしてオズマが大声をだして驚いていた。
「当たり前じゃん! 盗難防止策よ」
何故かオズマたちは、魂でも抜けたような表情をしていた。
今更余韻がはじまったのだろうか。
無理もない。
アリア様のコンサートの後は色々な症状を起こすからな。
「じゃ、私たちはこれで」
「あ、あぁ……」
「ごきげんよう……」
一体どうしたというのか。
横でマーレット様がクスクスと笑っていた。
「ライアンさんったら、こういうところは抜けているのよねー」
「え? 何がですか?」
今度はマーレット様の言っていることがよくわからなかった。
50
あなたにおすすめの小説
幼なじみと再会したあなたは、私を忘れてしまった。
クロユキ
恋愛
街の学校に通うルナは同じ同級生のルシアンと交際をしていた。同じクラスでもあり席も隣だったのもあってルシアンから交際を申し込まれた。
そんなある日クラスに転校生が入って来た。
幼い頃一緒に遊んだルシアンを知っている女子だった…その日からルナとルシアンの距離が離れ始めた。
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新不定期です。
よろしくお願いします。
諦めていた自由を手に入れた令嬢
しゃーりん
恋愛
公爵令嬢シャーロットは婚約者であるニコルソン王太子殿下に好きな令嬢がいることを知っている。
これまで二度、婚約解消を申し入れても国王夫妻に許してもらえなかったが、王子と隣国の皇女の婚約話を知り、三度目に婚約解消が許された。
実家からも逃げたいシャーロットは平民になりたいと願い、学園を卒業と同時に一人暮らしをするはずが、実家に知られて連れ戻されないよう、結婚することになってしまう。
自由を手に入れて、幸せな結婚まで手にするシャーロットのお話です。
【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。
ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」
人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。
「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」
「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」
一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。
「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」
「……そんな、ひどい」
しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。
「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」
「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」
パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。
昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。
「……そんなにぼくのこと、好きなの?」
予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。
「好き! 大好き!」
リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。
「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」
パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、
「……少し、考える時間がほしい」
だった。
※この作品は、小説家になろう様にも掲載しています。
王家の面子のために私を振り回さないで下さい。
しゃーりん
恋愛
公爵令嬢ユリアナは王太子ルカリオに婚約破棄を言い渡されたが、王家によってその出来事はなかったことになり、結婚することになった。
愛する人と別れて王太子の婚約者にさせられたのに本人からは避けされ、それでも結婚させられる。
自分はどこまで王家に振り回されるのだろう。
国王にもルカリオにも呆れ果てたユリアナは、夫となるルカリオを蹴落として、自分が王太女になるために仕掛けた。
実は、ルカリオは王家の血筋ではなくユリアナの公爵家に正統性があるからである。
ユリアナとの結婚を理解していないルカリオを見限り、愛する人との結婚を企んだお話です。
【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。
真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。
一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。
侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。
二度目の人生。
リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。
「次は、私がエスターを幸せにする」
自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる