【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥

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52 アリアのコンサート編10

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『は~い。お待たせなのよ~! じゃあ順番に……!?』

 私と視線が合った後、クスクスと笑いながら再び喋りだす。

『やっぱりわたしが決めちゃおうかな~! そっちの女の子から順番ね~!』

「ひゃーーー!! わたくしからですの~!?」
 え、私は最後か。
 アリア様……。
 いくら私のことを知っているからってそれはちょっと……。
 せっかくの整理券一番なのにぃぃ!!

「ありがとうございます。これからも応援していますわー」
「うん、ありがとう~また会いにくるのよ~」

 最初の女の子と握手した後は、三人とも男性で、全員私のお父様くらいの年頃だろう。

「もうこの手は洗いません!!」
「衛生上良くないから洗ってね~」

「結婚してほしいのです!!」
「旦那いるの知っているでしょ~? 裁判で訴えられるから発言には気をつけようね~」

「この温もりで三回はオカズ──」
「気持ち悪いからさようなら~」

 アリア様って握手会のときは男に容赦ないな……。
 いつもの口調すら使ってないし。
 それでも男たちは満足しながら帰っていった。
 あれでも満足していくのだからアリア様の魅力はとんでもないな。

 魅力は知っているけど。

「さぁて~最後は整理券一番の~、可愛らしい女の子いらっしゃーい」
「はーい!!!」

 一旦服で自分の手汗を拭き、アリア様と握手を交わした。

「アリア様のことは、これからもずっと大ファンです!!」
「ありがとう~また会いにくるのよ」

 私は満足だった。
 さて帰ろうかと思ったが、アリア様がなかなか手を離してこないのだ。

「せっかく一番の整理券が可愛い女の子だし、楽屋に来る~?」
「ひょえ!? 良いんですか!?」
「良いの良いの! 別にライアンちゃんだからってわけじゃないのよ? いつも見定めをして、可愛い女の子がいたら楽屋に案内して少しお話ししているのよ」
「行きます行きます!! 是非!!」

 もしも私が特別扱いされているのなら断っていたかもしれない。
 アリア様の大ファンだが、権限を利用して色々と良くしてもらいたいとは思っていないのだ。
 陛下からもらったチケットもかなりギリギリのラインだが……。

 楽屋に入れさせてもらい、私とアリア様、それからマネージャーの女性三人になった。
 何故マネージャーのことまで知っているかというと、もちろん私がアリア様の大ファンだからである。
 表向きに公表されていることは、大抵知っているのだ。

「悪いんだけど、この子と二人きりでもいいかしら?」
「しかし……」
「大丈夫。私の知り合いなのよ」
「左様ですか。では失礼いたします」

 マネージャーも退室し、アリア様と二人きりになってしまった。
 彼女の容姿を見ただけで興奮してしまう。
 しかも、ステージ衣装のままだから、尚更だ。

「どうだった?」
「夢のような時間でした。今も感動しています」
「ふふ……ライアンちゃんは私のことを知っても何も変わらないのね」
「むしろ、前よりも更にファンになりました。公演全てに顔を出したいくらいですから……」
「もうライアンちゃんったら~!」

 不思議なものだ。
 ここ数日、侯爵家でアリアとはよく話をしている。
 だが、ここの楽屋で会話するときは歌手のアリア様と会話をしている空気感になっているのだ。

「もしもまた今度、握手券手に入れたら、楽屋にいらっしゃい」
「是非!!」

 再び握手を交わし、マネージャーさんの案内で外へ出た。

 そこにはマーレット様が待っていてくれたのだ。
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