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「婚約破棄された方がよろしいのでは?」
護衛の言葉が私の胸にグサッと刺さります。
メンソール学園内では何度も言われてきたことですが、身内や仕えている者から言われたのはこれが初めてなのです。
「やはり……そう思いますよね……」
「失礼ながら……お嬢様のお気持ちを考えずに無礼な発言申し訳ございません」
「いえ……悪いのは私ですから良いんですよ。むしろ気遣いありがとうございます」
とは言いますが、私の心は酷く傷ついてしまいました。
恋愛感情としてだと思いますが、バズドド様を愛しすぎています。
そのために周りが見れていない状況になっているんです。
もしもバズドド様のあらゆる欠点がお父様達に知れてしまえば、慰謝料を払ってでも婚約は破棄すると言ってもおかしくありません。
だからこそ、私はずっとバズドド様の数少ない良いところだけを必死に探して報告していました。
「お嬢様は彼のどこが好きなのでしょうか?」
「え?」
「そこまで愛しているのでしたら何かしらあるかと思います。容姿、性格、仕草、立ち回り、行動、言動など」
そう言われましてもすぐ答えが出てきませんね。
あれ……おかしいです……。
こういうときは過去を振り返ってみるのがいいでしょうか。
婚約が決まって、最初に会ったときのことから考えてみることにしました。
♦︎
私が七歳の誕生日に婚約相手が決まりました。
すぐに顔合わせが決まりましたので、ワクワクしていましたね。
ですが、初めてバズドド様とお会いしたときは、最悪でした。
当時の幼さでも異性の好みくらいはありましたからね。
残念ながら容姿は好みではありませんし、挨拶の態度も独特で悪印象しかありませんでした。
しかし、お父様はこう言います。
「まだお互いに幼い。ジュリアーナが年齢の割に出来すぎているのだよ。もう少し長い目で見てあげてくれないか? きっとバズドド君も立派な人間になる」
ここで私が騒いで断ってしまえば、お父様達に迷惑がかかってしまいます。
そう思ってからは、私はバズドド様の良いところを探し、『この人を愛している、この人を愛している』と毎日毎日思いこむようにしました。
そうしたら、いつの間にかバズドド様のことを愛するようになっていたのです。
バズドド様の行動にはいつも困っていましたが、私がフォローすることでなんとかなっていたのです。
お茶会やパーティーでも、常にバズドド様のそばにいるようにして、何かやらかす直前に毎回止めていました。
そんな日々を過ごしていたらそれが当たり前になっていましたね……。
♦︎
じっくりと私は過去を振り返って考えてみましたが、何故か涙がポタポタと落ちてきました。
「バズドド様の好きな理由はわかりません……」
護衛の言葉が私の胸にグサッと刺さります。
メンソール学園内では何度も言われてきたことですが、身内や仕えている者から言われたのはこれが初めてなのです。
「やはり……そう思いますよね……」
「失礼ながら……お嬢様のお気持ちを考えずに無礼な発言申し訳ございません」
「いえ……悪いのは私ですから良いんですよ。むしろ気遣いありがとうございます」
とは言いますが、私の心は酷く傷ついてしまいました。
恋愛感情としてだと思いますが、バズドド様を愛しすぎています。
そのために周りが見れていない状況になっているんです。
もしもバズドド様のあらゆる欠点がお父様達に知れてしまえば、慰謝料を払ってでも婚約は破棄すると言ってもおかしくありません。
だからこそ、私はずっとバズドド様の数少ない良いところだけを必死に探して報告していました。
「お嬢様は彼のどこが好きなのでしょうか?」
「え?」
「そこまで愛しているのでしたら何かしらあるかと思います。容姿、性格、仕草、立ち回り、行動、言動など」
そう言われましてもすぐ答えが出てきませんね。
あれ……おかしいです……。
こういうときは過去を振り返ってみるのがいいでしょうか。
婚約が決まって、最初に会ったときのことから考えてみることにしました。
♦︎
私が七歳の誕生日に婚約相手が決まりました。
すぐに顔合わせが決まりましたので、ワクワクしていましたね。
ですが、初めてバズドド様とお会いしたときは、最悪でした。
当時の幼さでも異性の好みくらいはありましたからね。
残念ながら容姿は好みではありませんし、挨拶の態度も独特で悪印象しかありませんでした。
しかし、お父様はこう言います。
「まだお互いに幼い。ジュリアーナが年齢の割に出来すぎているのだよ。もう少し長い目で見てあげてくれないか? きっとバズドド君も立派な人間になる」
ここで私が騒いで断ってしまえば、お父様達に迷惑がかかってしまいます。
そう思ってからは、私はバズドド様の良いところを探し、『この人を愛している、この人を愛している』と毎日毎日思いこむようにしました。
そうしたら、いつの間にかバズドド様のことを愛するようになっていたのです。
バズドド様の行動にはいつも困っていましたが、私がフォローすることでなんとかなっていたのです。
お茶会やパーティーでも、常にバズドド様のそばにいるようにして、何かやらかす直前に毎回止めていました。
そんな日々を過ごしていたらそれが当たり前になっていましたね……。
♦︎
じっくりと私は過去を振り返って考えてみましたが、何故か涙がポタポタと落ちてきました。
「バズドド様の好きな理由はわかりません……」
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