20 / 70
20 わたしの寝相問題
しおりを挟む
わたしは――
いま、大きな山に挑んでいた。
登っても登っても足場は脆い。
それでも私は、登らねばならぬ!
「なぜ山に登るの……?」
「だって、そこに山があるからぁああああ!!」
……言い切った瞬間。
岩が崩れる。足元が沈む――!
うわああああああ!!
※ ※ ※
「リン! リン!!」
誰かの声が遠くで聞こえる。
……あれ、魔王さま?
「あと少しで頂上なんです……っ」
「いや、もう超えてるから!起きて!!」
魔王さまの焦っている声が聞こえる。
聞こえる??
あれ?私、目は??
ぱち、と目を開けた。
そこには、魔王さまの心配そうな顔。
その後ろから声が!!
「お前、どこまで行ってんだよ。寝相わるすぎだろ」
ナイトキャップ姿のネズミイが、童話みたいに下で仁王立ちしていた。
あれ……ここ、どこ?
私はキョロキョロ周りを見回す。
あれ?なぜネズミイさんを見下ろしているんだ。
ネズミイさんが、スモール化している。
……って、えええ!?
(私、呪われたゴミ山のてっぺんにいる!?)
しかも手には――
メイド初日に見た、トミーさんが貼った封印の結界シールが貼られた曰くつきの手鏡が!
「……あれ? これ、普通に私の顔映ってない?」
魔王さまと一緒にそろ~りと山を降りる。
下で待ち構えていたトミーさんが目ざとく気づく。
「その鏡……呪いの鏡です! 自分が一番美しいと思いながら死んだ怨念が中に――」
「でも、いませんね?」
リンは何度も入念に鏡の中を覗き込む。
えいっと結界シールも剥がしてしまえ!!
「うわあああ」
トミーさんが驚く。だけど??何もない。
「鏡に映った人を、引き込もうとするんですけどね」
「いないね? 前はもっと鏡も黒っぽかった気がするけど……」
私も首をかしげる。
どういうこと……?
「えーっと……」
魔王さまが視線を泳がせながら、もごもごと。
「えっ!もう彼女に言ってしまうんですか!」
息を呑むトミーとネズミイ。
言ってしまう?
なんのこと?
「たぶんだけど……」
「たぶん?」
「その……リンの顔見て、びっくりして、成仏してもいいかなって思ったんじゃないかなって!」
「…………」
え、どういう意味それ?
「……つまり、私が……“美しさ”とかけ離れてて?」
がーんっ!
わたしに寝起きに言いたいことってそれ??
「お前ひどっ!? 俺より毒舌!」
ネズミイが思わずドン引き。
「違う違う違うっ!!そういうことが言いたかったんじゃない」
魔王さまが慌てて前に出る。
「その、あまりにもかわいかったから……存在を前にして、負けたと思って浄化されたとか! ねっ!」
それはそれで――
「な、なに言ってるんですか魔王さまっ……!」
私、真っ赤。
思わず顔を手で覆う。
「……魔王さま、それは世のロリ……ゲフン、また誤解を招きますよ。心の声は、心の中に」
トミーの視線が刺さる。
「というか、リンさん、本当に寝相問題のほうが大変です。
私と魔王さまで毎晩“土手”を築いてるんですよ。私、連日連夜、リンさんの夜の進撃から何度もカウンターフックやられましたからね。」
「そ、そんなに!?」
「ええ。今日なんて土手がないからてっぺんまで登られました。まさか呪いの鏡を制覇するとは」
「ううっ、ごめんなさい……」
違った!
魔王さまは言いにくかったんだ。
きっと、言いたかったことは、お前の寝相、なんとかしろや!だった。
魔王と臣下に寝相を心配されるとは...
「いえ、そんなに気にしなくても大丈夫です。これからはむしろこのゴミ山を解放してあげてください」
満面の笑みのトミーさん。
キランと目が光る。
なんか思いついたらしい。
狐特有の細目がさらに細くなる。
うう、17歳にもなって恥ずかしい
わたしは真っ赤になってうつむいた。
今日は恥ずかしいことが多すぎる。
「リンさんには、最高の適職がありますからね。無理なく、いや、無理強いしてでもやってください」
トミーは嬉しそうに微笑んだ。
いま、大きな山に挑んでいた。
登っても登っても足場は脆い。
それでも私は、登らねばならぬ!
「なぜ山に登るの……?」
「だって、そこに山があるからぁああああ!!」
……言い切った瞬間。
岩が崩れる。足元が沈む――!
うわああああああ!!
※ ※ ※
「リン! リン!!」
誰かの声が遠くで聞こえる。
……あれ、魔王さま?
「あと少しで頂上なんです……っ」
「いや、もう超えてるから!起きて!!」
魔王さまの焦っている声が聞こえる。
聞こえる??
あれ?私、目は??
ぱち、と目を開けた。
そこには、魔王さまの心配そうな顔。
その後ろから声が!!
「お前、どこまで行ってんだよ。寝相わるすぎだろ」
ナイトキャップ姿のネズミイが、童話みたいに下で仁王立ちしていた。
あれ……ここ、どこ?
私はキョロキョロ周りを見回す。
あれ?なぜネズミイさんを見下ろしているんだ。
ネズミイさんが、スモール化している。
……って、えええ!?
(私、呪われたゴミ山のてっぺんにいる!?)
しかも手には――
メイド初日に見た、トミーさんが貼った封印の結界シールが貼られた曰くつきの手鏡が!
「……あれ? これ、普通に私の顔映ってない?」
魔王さまと一緒にそろ~りと山を降りる。
下で待ち構えていたトミーさんが目ざとく気づく。
「その鏡……呪いの鏡です! 自分が一番美しいと思いながら死んだ怨念が中に――」
「でも、いませんね?」
リンは何度も入念に鏡の中を覗き込む。
えいっと結界シールも剥がしてしまえ!!
「うわあああ」
トミーさんが驚く。だけど??何もない。
「鏡に映った人を、引き込もうとするんですけどね」
「いないね? 前はもっと鏡も黒っぽかった気がするけど……」
私も首をかしげる。
どういうこと……?
「えーっと……」
魔王さまが視線を泳がせながら、もごもごと。
「えっ!もう彼女に言ってしまうんですか!」
息を呑むトミーとネズミイ。
言ってしまう?
なんのこと?
「たぶんだけど……」
「たぶん?」
「その……リンの顔見て、びっくりして、成仏してもいいかなって思ったんじゃないかなって!」
「…………」
え、どういう意味それ?
「……つまり、私が……“美しさ”とかけ離れてて?」
がーんっ!
わたしに寝起きに言いたいことってそれ??
「お前ひどっ!? 俺より毒舌!」
ネズミイが思わずドン引き。
「違う違う違うっ!!そういうことが言いたかったんじゃない」
魔王さまが慌てて前に出る。
「その、あまりにもかわいかったから……存在を前にして、負けたと思って浄化されたとか! ねっ!」
それはそれで――
「な、なに言ってるんですか魔王さまっ……!」
私、真っ赤。
思わず顔を手で覆う。
「……魔王さま、それは世のロリ……ゲフン、また誤解を招きますよ。心の声は、心の中に」
トミーの視線が刺さる。
「というか、リンさん、本当に寝相問題のほうが大変です。
私と魔王さまで毎晩“土手”を築いてるんですよ。私、連日連夜、リンさんの夜の進撃から何度もカウンターフックやられましたからね。」
「そ、そんなに!?」
「ええ。今日なんて土手がないからてっぺんまで登られました。まさか呪いの鏡を制覇するとは」
「ううっ、ごめんなさい……」
違った!
魔王さまは言いにくかったんだ。
きっと、言いたかったことは、お前の寝相、なんとかしろや!だった。
魔王と臣下に寝相を心配されるとは...
「いえ、そんなに気にしなくても大丈夫です。これからはむしろこのゴミ山を解放してあげてください」
満面の笑みのトミーさん。
キランと目が光る。
なんか思いついたらしい。
狐特有の細目がさらに細くなる。
うう、17歳にもなって恥ずかしい
わたしは真っ赤になってうつむいた。
今日は恥ずかしいことが多すぎる。
「リンさんには、最高の適職がありますからね。無理なく、いや、無理強いしてでもやってください」
トミーは嬉しそうに微笑んだ。
20
あなたにおすすめの小説
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています
放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。
希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。
元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。
──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。
「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」
かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着?
優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。
虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。
ラディ
恋愛
一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。
家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。
劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。
一人の男が現れる。
彼女の人生は彼の登場により一変する。
この機を逃さぬよう、彼女は。
幸せになることに、決めた。
■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です!
■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました!
■感想や御要望などお気軽にどうぞ!
■エールやいいねも励みになります!
■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。
※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています
木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。
少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが……
陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。
どちらからお読み頂いても話は通じます。
【完結】偽物聖女は冷血騎士団長様と白い結婚をしたはずでした。
雨宮羽那
恋愛
聖女補佐官であるレティノアは、補佐官であるにも関わらず、祈りをささげる日々を送っていた。
というのも、本来聖女であるはずの妹が、役目を放棄して遊び歩いていたからだ。
そんなある日、妹が「真実の愛に気づいたの」と言って恋人と駆け落ちしてしまう。
残されたのは、聖女の役目と――王命によって決められた聖騎士団長様との婚姻!?
レティノアは、妹の代わりとして聖女の立場と聖騎士団長との結婚を押し付けられることに。
相手のクラウスは、「血も涙もない冷血な悪魔」と噂される聖騎士団長。クラウスから「俺はあなたに触れるつもりはない」と言い放たれたレティノアは、「これは白い結婚なのだ」と理解する。
しかし、クラウスの態度は噂とは異なり、レティノアを愛しているようにしか思えなくて……?
これは、今まで妹の代わりの「偽物」として扱われてきた令嬢が「本物」として幸せをつかむ物語。
◇◇◇◇
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます!
モチベになるので良ければ応援していただければ嬉しいです♪
※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
※完結まで執筆済み
※表紙はAIイラストです
※アルファポリス先行投稿(他投稿サイトにも掲載予定です)
虚弱体質で偽聖女だと追放された私は、隣国でモフモフ守護獣様の白き聖女になりました
・めぐめぐ・
恋愛
平民孤児であるセレスティアルは、守護獣シィに力を捧げる【聖女】の一人。しかし他の聖女たちとは違い、儀式後に疲れ果ててしまうため「虚弱すぎる」と、本当に聖女なのか神殿内で疑われていた。
育ての親である神官長が拘束され、味方と居場所を失った彼女は、他の聖女たちにこき使われる日々を過ごす。そしてとうとう、平民が聖女であることを許せなかった王太子オズベルトによって、聖女を騙った罪で追放されてしまった。
命からがら隣国に辿り着いたセレスティアルは、そこで衰弱した白き獣――守護獣ラメンテと、彼と共に国を守ってきた国王レイと出会う。祖国とは違い、守護獣ラメンテに力を捧げても一切疲れず、セレスティアルは本来の力を発揮し、滅びかけていた隣国を再生していく。
「いやいや! レイ、僕の方がセレスティアルのこと、大好きだしっ!!」
「いーーや! 俺の方が大好きだ!!」
モフモフ守護獣と馬鹿正直ヒーローに全力で愛されながら――
※頭からっぽで
【完結】男装して会いに行ったら婚約破棄されていたので、近衛として地味に復讐したいと思います。
銀杏鹿
恋愛
次期皇后のアイリスは、婚約者である王に会うついでに驚かせようと、男に変装し近衛として近づく。
しかし、王が自分以外の者と結婚しようとしていると知り、怒りに震えた彼女は、男装を解かないまま、復讐しようと考える。
しかし、男装が完璧過ぎたのか、王の意中の相手やら、王弟殿下やら、その従者に目をつけられてしまい……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる