盲目公爵の過保護な溺愛

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 しばらくして騒ぎを聞きつけた父と母がやってきた。
 
 『いったい何の騒ぎだ』

 『お父さま!お姉さまが意地悪するの!』

 『違うでしょう!?お父さま!エミリアがわたしのドレスとアクセサリーを勝手に持ち出したの!』

 父は、わたしたちを交互に見たあとため息をついた。

 『なんだ、そんな事か』

 『え……?』

 予想もしなかった父の言葉に、わたしは耳を疑った。
 
 『ミレーヌ、おまえが我慢すればいい話だろう?まったく……姉だというのに優しさの欠片もない』

 『そうよ、ミレーヌ。あなた妹をこんなに泣かせて恥ずかしくないの?』

 『お母さまぁ!!』

 エミリアは泣きながら母に抱きついた。
 しかしその顔に涙のあとは見られない。完全な嘘泣きだ。
 エミリアは自分に有利な状況なのがわかると、泣いているフリをしながらわたしを見て、馬鹿にしたように笑った。
 
 結局わたしのドレスとアクセサリーは、エミリアが飽きるまで遊んだあとに返却された。
 戻ってきたドレスはシワだらけで、ところどころほつれて糸がとび出ていた。
 アクセサリーにいたっては細かい傷が無数についていて、金具も曲がっていた。
 せっかくのドレスを台無しにされたことはもちろんだが、それよりも両親がわたしの味方をしてくれなかったこと、わたしへのプレゼントをあっさりエミリアに譲ったことの方がつらくて悔しくて切なかった。
 その後も両親から慰めの言葉はなく、わたしの扱いはさらに雑なものへと変わっていったのだ。


 あれから九年の時が経ち、さすがに色々なことに諦めがついた。
 今さら両親の愛情が欲しいなんて思わないし、エミリアと仲良くしようとも思わない。
 今日だって『体裁が悪いから』という理由でパーティーへの出席を許されたけれども、両親もエミリアも、本音ではみすぼらしい姿のわたしが招待客の目に触れるのが嫌でしょうがないのだ。

 ──それなら、安くてもいいから新しいド
レスを買ってくれればいいのに

 わたしだってエミリアと同じ、アシュトン伯爵家の娘。
 けれど両親は、ドレスだけの話ではなく、新しい物をわたしに買い与えることを頑なに拒む。
 おそらくわたしの容姿では運よく嫁ぎ先が見つかったとしても、望むような結納金が貰えないと踏んでいるのだろう。
 だから投資するだけ無駄だと思っているに違いない。
 おまけに家族から今日のような日はいつも『目立たぬように』と念を押されているため、会場では家族の輪に入ることも許されず、いつもバルコニーの隅に隠れるようにして時間が過ぎるのを待つ。

 ──今日もまた、息を殺して長い時間をやり過ごさなければならないのか
 
 わたしは重い足取りで会場へ向かった。

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