俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

文字の大きさ
288 / 299

真夏に見た夢ーLAFの中庭

しおりを挟む
『真夏に見た夢ーLAFの中庭』

 茨城の学園研究都市の地下シェルター、そこにはオンラインゲームのLAFジャパンが入っている区画がえる。
 学園研究都市の地下がシェルターとして機能したあの隕石落下よりもずっと前から、そこにゲーム会社のサーバー兼社屋があったそうだ。


 パソコンがズラリと並んだ部屋、会議室、休憩室、給湯室、簡易シャワーブース、宿直用和室、モニター室、そしてサーバー室が、所狭しと地下の一画に並んでいた。

 休憩室と給湯室の間の細い廊下を抜けると、そこには二畳分ほどの広さの中庭があった。
 国内で「禁煙」が騒がれる以前に、そこは喫煙スペースとして使われていた。現在は灰皿も片付けられて端に植木が一本のみ植えられたただの中庭とかしていた。

 タバコを吸う者は居ないが、床には栄養ドリンクの空瓶が転がっていた。

 そして何故かそこに呼び出された俺……。

 俺の周りを5人の若者が取り囲む。LAFの社員だ。味方だと思ってたのに……。


「持ってるのはわかってるんだぜ」

「出せよ、その鞄の中身全部だ」


 斜め掛けしていた鞄から、スクロールを取り出して恐る恐る手渡した。



「まだ他にもあるだろ! POTを持ってるのも知ってるぞ」


 鞄から、ポーションも出した。


「もう無いです」

「じゃあ、そこで飛んでみろ」

「ジャンプしろっていってるんだよ!」


 そっと、ジャンプをした。

チャリン…


「出、せ、よ」


 ポケットに入れていた指輪、テレポートリングを出した。ひったくるように取り上げられて、青年は自分の指に嵌めていた。


「まだあるだろ!もっと飛べ!」

「もう無いですぅぅぅ」

「飛べよ!」

ポロリン…

 あ、バナナがぁ。

「おら、飛べよ!」

ポロリン…ポロリン…ポロリン…

 俺のバナナがぁ。


-------------

「父さん、大丈夫? 何が無いの?」

 夢か……。
 自分の手を見た。無い!指輪がない!俺のテレポートリング!

 あ、そうだ。キヨカに貸したんだっけ。
 指が寂しいから何か別の指輪をしておこう。アイテムボックスを探る。

 ダンジョンのドロップのアクセサリーがあった。
 指輪……は『闇を切り裂くリング』?効果は何だっかな。
 とりあえず5個ある。

 俺が指に嵌めたのを見ていたマルクが羨ましそうにしていたのでマルクにも渡した。


 マルクとお揃いの指輪にキヨカがめざとく気がついたが、キヨカの左手にはもう3つ、指輪がはまっている。

 残っているのは親指と人差し指だ。それと右手だ。
 俺は右手の指輪を良しとしていない。俺もマルクもキヨカも右手の指は5本とも開けている。

 それは右手で武器、杖や剣を持つからだ。
 しっかりと武器を握るために右手にアクセサリーの装着は禁止した。

 以前に俺は右手中指に指輪をして剣を振り回した時に、肉を挟んだのだ。
 ほんのチョッピリだけ肉を挟むのがどんなに痛いか、アレは経験した者にしかわかるまい。血豆になったのだぞ。

 なので右手は『しっかり武器を握るため』に、アクセサリーはつけない。

 その事をキヨカに説明をした。
 するとキヨカは、左手の中指と小指からオシャレリングを外した。

「別に大事な物ではないので」

 そうなのか、その…彼氏からのプレゼントとかではないのか。

 そしてハケンの砂漠の3人はお揃いの指輪を左手中指にしている。

『闇を何ちゃらリング』だ。

 それとバナナをポケットに入れるのも禁止だ。カツアゲされたら盗られるからな。もう入手不可能な異世界ダンジョンバナナだ。大事に食べなくてな。





-------------(余談)-------------

『闇を切り裂くリング』:アンデッドの攻撃を弾く。
            使用回数5回。復活まで24時間必要。
            中央に黒い宝石が付いている。
しおりを挟む
感想 212

あなたにおすすめの小説

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?

くまの香
ファンタジー
 いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

スキル『レベル1固定』は最強チートだけど、俺はステータスウィンドウで無双する

うーぱー
ファンタジー
アーサーはハズレスキル『レベル1固定』を授かったため、家を追放されてしまう。 そして、ショック死してしまう。 その体に転成した主人公は、とりあえず、目の前にいた弟を腹パンざまぁ。 屋敷を逃げ出すのであった――。 ハズレスキル扱いされるが『レベル1固定』は他人のレベルを1に落とせるから、ツヨツヨだった。 スキルを活かしてアーサーは大活躍する……はず。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...