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真夏に見た夢ーLAFの中庭
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『真夏に見た夢ーLAFの中庭』
茨城の学園研究都市の地下シェルター、そこにはオンラインゲームのLAFジャパンが入っている区画がえる。
学園研究都市の地下がシェルターとして機能したあの隕石落下よりもずっと前から、そこにゲーム会社のサーバー兼社屋があったそうだ。
パソコンがズラリと並んだ部屋、会議室、休憩室、給湯室、簡易シャワーブース、宿直用和室、モニター室、そしてサーバー室が、所狭しと地下の一画に並んでいた。
休憩室と給湯室の間の細い廊下を抜けると、そこには二畳分ほどの広さの中庭があった。
国内で「禁煙」が騒がれる以前に、そこは喫煙スペースとして使われていた。現在は灰皿も片付けられて端に植木が一本のみ植えられたただの中庭とかしていた。
タバコを吸う者は居ないが、床には栄養ドリンクの空瓶が転がっていた。
そして何故かそこに呼び出された俺……。
俺の周りを5人の若者が取り囲む。LAFの社員だ。味方だと思ってたのに……。
「持ってるのはわかってるんだぜ」
「出せよ、その鞄の中身全部だ」
斜め掛けしていた鞄から、スクロールを取り出して恐る恐る手渡した。
「まだ他にもあるだろ! POTを持ってるのも知ってるぞ」
鞄から、ポーションも出した。
「もう無いです」
「じゃあ、そこで飛んでみろ」
「ジャンプしろっていってるんだよ!」
そっと、ジャンプをした。
チャリン…
「出、せ、よ」
ポケットに入れていた指輪、テレポートリングを出した。ひったくるように取り上げられて、青年は自分の指に嵌めていた。
「まだあるだろ!もっと飛べ!」
「もう無いですぅぅぅ」
「飛べよ!」
ポロリン…
あ、バナナがぁ。
「おら、飛べよ!」
ポロリン…ポロリン…ポロリン…
俺のバナナがぁ。
-------------
「父さん、大丈夫? 何が無いの?」
夢か……。
自分の手を見た。無い!指輪がない!俺のテレポートリング!
あ、そうだ。キヨカに貸したんだっけ。
指が寂しいから何か別の指輪をしておこう。アイテムボックスを探る。
ダンジョンのドロップのアクセサリーがあった。
指輪……は『闇を切り裂くリング』?効果は何だっかな。
とりあえず5個ある。
俺が指に嵌めたのを見ていたマルクが羨ましそうにしていたのでマルクにも渡した。
マルクとお揃いの指輪にキヨカがめざとく気がついたが、キヨカの左手にはもう3つ、指輪がはまっている。
残っているのは親指と人差し指だ。それと右手だ。
俺は右手の指輪を良しとしていない。俺もマルクもキヨカも右手の指は5本とも開けている。
それは右手で武器、杖や剣を持つからだ。
しっかりと武器を握るために右手にアクセサリーの装着は禁止した。
以前に俺は右手中指に指輪をして剣を振り回した時に、肉を挟んだのだ。
ほんのチョッピリだけ肉を挟むのがどんなに痛いか、アレは経験した者にしかわかるまい。血豆になったのだぞ。
なので右手は『しっかり武器を握るため』に、アクセサリーはつけない。
その事をキヨカに説明をした。
するとキヨカは、左手の中指と小指からオシャレリングを外した。
「別に大事な物ではないので」
そうなのか、その…彼氏からのプレゼントとかではないのか。
そしてハケンの砂漠の3人はお揃いの指輪を左手中指にしている。
『闇を何ちゃらリング』だ。
それとバナナをポケットに入れるのも禁止だ。カツアゲされたら盗られるからな。もう入手不可能な異世界ダンジョンバナナだ。大事に食べなくてな。
完
-------------(余談)-------------
『闇を切り裂くリング』:アンデッドの攻撃を弾く。
使用回数5回。復活まで24時間必要。
中央に黒い宝石が付いている。
茨城の学園研究都市の地下シェルター、そこにはオンラインゲームのLAFジャパンが入っている区画がえる。
学園研究都市の地下がシェルターとして機能したあの隕石落下よりもずっと前から、そこにゲーム会社のサーバー兼社屋があったそうだ。
パソコンがズラリと並んだ部屋、会議室、休憩室、給湯室、簡易シャワーブース、宿直用和室、モニター室、そしてサーバー室が、所狭しと地下の一画に並んでいた。
休憩室と給湯室の間の細い廊下を抜けると、そこには二畳分ほどの広さの中庭があった。
国内で「禁煙」が騒がれる以前に、そこは喫煙スペースとして使われていた。現在は灰皿も片付けられて端に植木が一本のみ植えられたただの中庭とかしていた。
タバコを吸う者は居ないが、床には栄養ドリンクの空瓶が転がっていた。
そして何故かそこに呼び出された俺……。
俺の周りを5人の若者が取り囲む。LAFの社員だ。味方だと思ってたのに……。
「持ってるのはわかってるんだぜ」
「出せよ、その鞄の中身全部だ」
斜め掛けしていた鞄から、スクロールを取り出して恐る恐る手渡した。
「まだ他にもあるだろ! POTを持ってるのも知ってるぞ」
鞄から、ポーションも出した。
「もう無いです」
「じゃあ、そこで飛んでみろ」
「ジャンプしろっていってるんだよ!」
そっと、ジャンプをした。
チャリン…
「出、せ、よ」
ポケットに入れていた指輪、テレポートリングを出した。ひったくるように取り上げられて、青年は自分の指に嵌めていた。
「まだあるだろ!もっと飛べ!」
「もう無いですぅぅぅ」
「飛べよ!」
ポロリン…
あ、バナナがぁ。
「おら、飛べよ!」
ポロリン…ポロリン…ポロリン…
俺のバナナがぁ。
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「父さん、大丈夫? 何が無いの?」
夢か……。
自分の手を見た。無い!指輪がない!俺のテレポートリング!
あ、そうだ。キヨカに貸したんだっけ。
指が寂しいから何か別の指輪をしておこう。アイテムボックスを探る。
ダンジョンのドロップのアクセサリーがあった。
指輪……は『闇を切り裂くリング』?効果は何だっかな。
とりあえず5個ある。
俺が指に嵌めたのを見ていたマルクが羨ましそうにしていたのでマルクにも渡した。
マルクとお揃いの指輪にキヨカがめざとく気がついたが、キヨカの左手にはもう3つ、指輪がはまっている。
残っているのは親指と人差し指だ。それと右手だ。
俺は右手の指輪を良しとしていない。俺もマルクもキヨカも右手の指は5本とも開けている。
それは右手で武器、杖や剣を持つからだ。
しっかりと武器を握るために右手にアクセサリーの装着は禁止した。
以前に俺は右手中指に指輪をして剣を振り回した時に、肉を挟んだのだ。
ほんのチョッピリだけ肉を挟むのがどんなに痛いか、アレは経験した者にしかわかるまい。血豆になったのだぞ。
なので右手は『しっかり武器を握るため』に、アクセサリーはつけない。
その事をキヨカに説明をした。
するとキヨカは、左手の中指と小指からオシャレリングを外した。
「別に大事な物ではないので」
そうなのか、その…彼氏からのプレゼントとかではないのか。
そしてハケンの砂漠の3人はお揃いの指輪を左手中指にしている。
『闇を何ちゃらリング』だ。
それとバナナをポケットに入れるのも禁止だ。カツアゲされたら盗られるからな。もう入手不可能な異世界ダンジョンバナナだ。大事に食べなくてな。
完
-------------(余談)-------------
『闇を切り裂くリング』:アンデッドの攻撃を弾く。
使用回数5回。復活まで24時間必要。
中央に黒い宝石が付いている。
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