自立したい僕を社長が甘やかしてきます

春夏

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15.贅沢な冬

61.ラブラブなんです

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電話の向こうの葵の声は、思ったよりも明るかった。
生きててよかった、俺と出会えた。
葵は立派や、そう思えるだけの強さを、この若さで手に入れた。
……いつかきっと、俺も葵をおいていく。
その時、葵が笑ってその先を生きていく力をもてるかどうか、それはこれからの俺に、これからの俺達にかかっとんねん。
責任重大や、俺が葵の生きる理由。
そして葵が、俺が生きていく意味。

週末の俺達の家で、旅行の計画をたてる。
「いつもはな、車で行くんよ。高速はえらく混んどるけど、新幹線の方がええか?そんなら予約せな」
「えっと…僕、運転代わってあげられないけど…車の方がいいかも…」
「そか?ホンマは俺もその方がええねん。だって車なら2人っきりやし」
「あの……僕もそう思って……エヘヘ」
「イチャイチャしながら行こうなぁ。心配せんでええよ、安全運転や。斉藤への土産は葵や」
「…うん。斉藤のところにちゃんと帰らなきゃ。しんちゃんのところにちゃんと」
斉藤のところに帰る、てなんやねん……わかっとる、わかっとるよ、わかっとるけど。
「俺と一緒に、帰ろな」
俺の嫉妬に少し笑って、頬に葵の手が触れる。
「もちろん、智秋さんと一緒に」
宥めるような優しい唇の温度に、舌まで奪ってまうのはしかたないわなぁ。

葵と2人、パソコンを覗き込む。
「暗いうちに出て、休み休み行こ。どっか旨そうなメシあるかな。1人だとメシなんかどうでもええからな、よう知らんのよ」
「沼津くらいまで行けますか?」
「せやなぁ、遅めの朝メシかな」
「うわぁ…やっぱり混んでるんですね」
「オフシーズンの倍くらいの時間がかかるからな」
「静岡の伯父さんのところに行く時は、御殿場あたりで休憩してました」
「…せや、伯父さんのとこ、行かんでええんか?」
「伯父さんは誘ってくれたんだけど、智秋さんのご実家に行くから、って断ったんです。失礼のないようにな、って言われちゃった」
「葵が失礼なんて、んなことあるわけないわ。ほな…帰りに寄ろか?葵が嫌でなければ…」

「あのね、いとこ…達也が謝ってくれたんです。アルファの力を間違えて使ってしまった、って。葵に許してもらえるような男になる、って。僕、絶対に許せないって思ってたのに…結局許しちゃった。僕が達也を許す気になれたのは、智秋さんのおかげです。本当は、自分がオメガだってことが、許せなかったんだと思うんだ。でも智秋さんを好きになって、自分のことも受け入れることができたから」
「…ほな、殴るのはやめとこ。代わりに目の前でラブラブなとこ見せつけたろな」

恥ずかしがりのはずの葵が、うん、と即答しよった。
やっぱりまだ怒っとるんやろ、けどそれでええねん。
葵が葵であることを、もう誰にも壊させない。
俺がそれを、許しはしない。
「葵、……ん。このくらいのキス、見せたろかな」
「!やりすぎ!ダメダメ、やりすぎです!!」

すべての人にわからせたんねん。
葵が誰を選んだのかを。
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