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15.贅沢な冬
62.なんぼでも妬いてくれ
「さて葵君」
「…なんですか急に」
「今夜は外食や。イルミネーション見て、フレンチの練習。というわけで、前に買うた服、着てみよか」
やだよラーメンでいい、とは言えなくて、渋々立ち上がった僕。
「んー、ええなぁ。たまらんわ。ホンマにええなぁ」
サイズはピッタリ。
いつもと違う僕が鏡にうつって、恥ずかしい。
曲がったネクタイを直しながら、たまらんたまらん、と繰り返す智秋さん。
「…脱がさないでくださいね」
そら後でゆっくり、と、落とされた暖かさが憎らしくて、その唇を甘噛みする。
ご褒美やな、と囁かれた耳たぶに返された甘噛みは、本音を言えば僕にとってもご褒美。
「俺も着替えてくるからな。今日は電車で行こな」
「俺もお揃いでネクタイ買うたんよ。スーツもなぁ、ホンマは同じとこで買いたかってんけど、俺は一応“奥山”のモンやから」
智秋さんのスーツは、びっくりするほど高かったこのスーツより、やっぱりずっと素敵。
カッコよさが倍増してるんじゃない?
こんな人混みにこんな素敵な人、危なくない?
「きっとな、葵にも“奥山”の服を着せたがるはずやで?そらもう、車に乗りきらんくらい渡されるんちゃうかな。葵は可愛ええから皆の着せ替え人形になってまうよ?」
無理無理、そんなの貰えないよ?!
「ウチの人らの常識の範囲やからなぁ。大丈夫、葵ならなんでも似合うわ」
涼しい顔がやっぱり憎らしくて、でもカッコよくて、混雑した電車の中だというのに見とれてしまう。
「…そんな顔は外でしたらあかん」
智秋さんが僕を引き寄せて、胸に僕の顔を隠した。
「…すごいですね、綺麗!」
「ホンマやなぁ。学生ン時に来た時より派手になっとるわ」
「………誰と来たの………?」
「柴田と太田や。アイツら、俺が居ること忘れとったんちゃうかな。2人の世界、っちゅうやつや。今日は俺と葵の2人の世界やな。ほれ、周りもみんな」
言われて見回せば、顔を寄せあって写真を撮ったり、温め合うように抱き合う恋人達。
「ほらな、誰も見てへんよ」
後ろから抱き締められて、肩に顎がのせられる。
「いろんなとこ見に行こな。ずっと一緒に冬を過ごそう。春も夏も秋も、オッサンになってじいちゃんになっても、ずっと」
あったかくて、嬉しくて、なぜだかちょっと切なくて、僕は体をずらして、智秋さんにちゃんと抱き締めてもらった。
「約束ですよ?」
「せや。俺はちゃんと守るから、葵も破らんといて」
「僕がけっこう嫉妬深くても?」
「葵のヤキモチやったら大歓迎や」
「…なんですか急に」
「今夜は外食や。イルミネーション見て、フレンチの練習。というわけで、前に買うた服、着てみよか」
やだよラーメンでいい、とは言えなくて、渋々立ち上がった僕。
「んー、ええなぁ。たまらんわ。ホンマにええなぁ」
サイズはピッタリ。
いつもと違う僕が鏡にうつって、恥ずかしい。
曲がったネクタイを直しながら、たまらんたまらん、と繰り返す智秋さん。
「…脱がさないでくださいね」
そら後でゆっくり、と、落とされた暖かさが憎らしくて、その唇を甘噛みする。
ご褒美やな、と囁かれた耳たぶに返された甘噛みは、本音を言えば僕にとってもご褒美。
「俺も着替えてくるからな。今日は電車で行こな」
「俺もお揃いでネクタイ買うたんよ。スーツもなぁ、ホンマは同じとこで買いたかってんけど、俺は一応“奥山”のモンやから」
智秋さんのスーツは、びっくりするほど高かったこのスーツより、やっぱりずっと素敵。
カッコよさが倍増してるんじゃない?
こんな人混みにこんな素敵な人、危なくない?
「きっとな、葵にも“奥山”の服を着せたがるはずやで?そらもう、車に乗りきらんくらい渡されるんちゃうかな。葵は可愛ええから皆の着せ替え人形になってまうよ?」
無理無理、そんなの貰えないよ?!
「ウチの人らの常識の範囲やからなぁ。大丈夫、葵ならなんでも似合うわ」
涼しい顔がやっぱり憎らしくて、でもカッコよくて、混雑した電車の中だというのに見とれてしまう。
「…そんな顔は外でしたらあかん」
智秋さんが僕を引き寄せて、胸に僕の顔を隠した。
「…すごいですね、綺麗!」
「ホンマやなぁ。学生ン時に来た時より派手になっとるわ」
「………誰と来たの………?」
「柴田と太田や。アイツら、俺が居ること忘れとったんちゃうかな。2人の世界、っちゅうやつや。今日は俺と葵の2人の世界やな。ほれ、周りもみんな」
言われて見回せば、顔を寄せあって写真を撮ったり、温め合うように抱き合う恋人達。
「ほらな、誰も見てへんよ」
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「いろんなとこ見に行こな。ずっと一緒に冬を過ごそう。春も夏も秋も、オッサンになってじいちゃんになっても、ずっと」
あったかくて、嬉しくて、なぜだかちょっと切なくて、僕は体をずらして、智秋さんにちゃんと抱き締めてもらった。
「約束ですよ?」
「せや。俺はちゃんと守るから、葵も破らんといて」
「僕がけっこう嫉妬深くても?」
「葵のヤキモチやったら大歓迎や」
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