自立したい僕を社長が甘やかしてきます

春夏

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17.新年のふたり

72.新年の挨拶

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…朝からこんなの…ダメだよ…。
頭のどこかではそう思うのに、止まれない。
もっとして、もっと僕を欲しがって。
もっと僕を、智秋さんでいっぱいにして。
互いの想いが溶け合ったフェロモンが部屋中に満ちて、僕は息もできないくらいに溺れてしまった。

「……満タンや……」
僕に覆いかぶさったまま、智秋さんが呟く。
僕もだよ。
僕の心もお腹の中も智秋さんでいっぱい。
「おっと…すまんな、重いやろ」
智秋さんが僕の隣に仰向けになる。
重いのは体の重さだけじゃないよ。
智秋さんの想いも、経験不足の僕には受け止めきれないくらい重いよ。
だけど、受け止められるような大人になりたいと願う子どもの僕が、この先どこにいったとしても繋ぎ止めてくれるその重しがあることが、どんなに僕を安心させてくれているか智秋さんはきっと知ってる。

智秋さんの方に体を向けたら、智秋さんもこっちを向いてくれる。
「僕も満タンになったみたい」
「そか?でもな、すぐ減ってまうねん。会えへん時に葵のこと考えるたびにちょっとずつ減ってくねん。そんで俺はずっと葵のこと考えとるわけやから、あっちゅう間に足りんことなる、っちゅうわけや」
「…なるほど…」
「お、わかってくれよった?つまりずっと葵の充電を続けなあかんのよ」
「智秋さんはね…僕のなかでいつも溢れてるのかも。きっと満タンよりいっぱい入ってる。だって……僕だってずっと智秋さんのこと考えてるのにいつも智秋さんに満たされてる気がしてるから」
「あぅ!あかん…撃ち抜かれるっちゅうのがわかってもた…なんちゅうことを言ってくれんねん。葵が好きや、って俺が思うたんびに葵にチャージされとんのかもしれんなぁ」
「…智秋さんも僕が思うたびにチャージされたらいいのに……まだ、いつも一緒にいられなくってごめんなさい」

智秋さんが僕の体を引き寄せた。
「ええねん。俺の修行が足らんのよ。俺が葵の想いを受け止めきれてない、っちゅうこっちゃ。せっかくの葵の想い、もったいないことしてしもた。もっと器のでかい男になるよって、俺のこと捨てんといて。葵、愛しとる。今年もよろしく」
「絶対に捨てたりしません。今年もよろしくお願いします」

僕達は顔を見合わせて笑った。
「ベッドの上で新年の挨拶やなんて」
「去年の…えっと、総括?もしましょうか。去年は中学を卒業して、東京に戻って社会人と高校生になって……そして智秋さんの番になりました。最高の一年でした」
「せやな、俺にも一生忘れられん年やった。葵、これから毎年“最高の一年”を更新したる。また来年もふたりで笑えるように、一緒にいてくれるか」
約束だよ、と僕が差し出した小指が、智秋さんの小指に絡めとられた。
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