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side 亮太
俺と目黒は校門で幸久達を待っとる。「先生、幸久、俺のこと覚えてるかな」「…中3の夏までは覚えとるらしいからな、お前のことは覚えとるはずや」「ヤベぇ、緊張してきた」大丈夫、目黒のことは覚えとる。俺のことは何ひとつ覚えていなくても。悔しくて情けなくて、泣きそうになるのを必死で堪えた。
「目黒!」幸久の声が響いて、目黒が大きく笑う。「幸久!よかった、俺のこと忘れてなかったんだな」「あたりまえじゃん」「まったく驚かせやがって。なんだよ、この絆創膏!」「痛ぇ!触んな!」楽しそうな2人、俺の心はどんどん重くなる。触るな、幸久は俺のモンや。俺だけの大事な宝や…。「昨日、メッセージしたんだぜ。見てないだろ」「スマホ壊れちゃってさ。全部新しくするからまた教えて」幸久がこの2年間を消し去ろうとしている。視界の片隅でオヤジさんが小さく首を振っていた。
「幸久、教室連れてってやるよ。先生、先に行ってる!」笑いながら歩いていく2人を見送って、オヤジさんが俺に言う。「…幸久にまだ君のことを言えていないんだ」俺は小さく頷く。「このまま…このまま俺のこと忘れてまうかもしれへん…」「そんなことあるものか!あってはいけないことだ。頼む。待ってやってくれないか、幸久が思い出すのを…。あと少し、あと少しでいいんだ」「…幸久を諦めることなんかでけへん…せやけど、どうしたらええかわからんのです」俺は涙を止めることができずに、ただ唇を噛んだ。
俺と目黒は校門で幸久達を待っとる。「先生、幸久、俺のこと覚えてるかな」「…中3の夏までは覚えとるらしいからな、お前のことは覚えとるはずや」「ヤベぇ、緊張してきた」大丈夫、目黒のことは覚えとる。俺のことは何ひとつ覚えていなくても。悔しくて情けなくて、泣きそうになるのを必死で堪えた。
「目黒!」幸久の声が響いて、目黒が大きく笑う。「幸久!よかった、俺のこと忘れてなかったんだな」「あたりまえじゃん」「まったく驚かせやがって。なんだよ、この絆創膏!」「痛ぇ!触んな!」楽しそうな2人、俺の心はどんどん重くなる。触るな、幸久は俺のモンや。俺だけの大事な宝や…。「昨日、メッセージしたんだぜ。見てないだろ」「スマホ壊れちゃってさ。全部新しくするからまた教えて」幸久がこの2年間を消し去ろうとしている。視界の片隅でオヤジさんが小さく首を振っていた。
「幸久、教室連れてってやるよ。先生、先に行ってる!」笑いながら歩いていく2人を見送って、オヤジさんが俺に言う。「…幸久にまだ君のことを言えていないんだ」俺は小さく頷く。「このまま…このまま俺のこと忘れてまうかもしれへん…」「そんなことあるものか!あってはいけないことだ。頼む。待ってやってくれないか、幸久が思い出すのを…。あと少し、あと少しでいいんだ」「…幸久を諦めることなんかでけへん…せやけど、どうしたらええかわからんのです」俺は涙を止めることができずに、ただ唇を噛んだ。
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