44 / 101
気になる
しおりを挟む
「ラジュ王女様に直々にお誘いいただき、お茶会に参加させていただくことになりました。ロイド公爵家のお屋敷に来られるなんて、とても光栄ですわ、ルーファス様のお母様」
レーナおばさまに意気揚々と話しかけたモリナさん。
妙に「お母様」のところが声が大きくなった気がしたけれど、そんな風に呼びかけたりする……?
モリナさんから、ジャリス侯爵家はロイド公爵家と遠い親戚と聞いているから、ずっと、そんな風に呼んできたのかな?
でも、レーナおばさまから、モリナさんの名前もジャリス侯爵家の話ですら聞いたことはなかったから、交流はないと思っていたんだけど、違ってたのかも……。
レーナおばさまが美しい笑みを浮かべて言った。
「確か、ジャリス侯爵家のご令嬢でしたわよね。夜会でお見かけしたことはありますが、きちんとご挨拶をした覚えがないので、失礼ですが、お名前を教えていただいても?」
え、そうだったの?
モリナさんの頬がさっと赤くなった。
そして、何故だか、私をにらんだモリナさん。
「ジャリス侯爵家の娘、モリナと申します……」
「モリナさんね。王女様のお連れさまですから、歓迎しますわ。では、王女様とモリナさん、お席に案内します」
そう言うと、優雅なしぐさで、レーナおばさまがふたりをテーブルのほうへと連れて行く。
「ララ、へんなのが増えてごめんね」
と、ルーファスがささやいてきた。
「なんでルーファスが謝るの? 王女様が連れてきたんだから、ルーファスは関係ないのに」
私の言葉に、ルーファスは軽く首を横に振った。
「いや、この前、学園のカフェで、侯爵令嬢を僕があおった結果がこれだから。今後、ララにとって、さらなる害をなす存在になるかどうか、見極めようと思ったからだけど、まさか、こんなに早く動き出すとはね。しかも、王女とくっつくとは想定外だった。友達どころか、どう考えても王女の駒にされて終わりだろうに、考えが足りなくてびっくりだよ……。まあ、向こうの出方次第で、今日で一掃できるから手間も省けるか……」
と、鋭い視線でテーブルの方を見ながら、つぶやいたルーファス。
ルーファスの言葉に、なんだか、毒々しさがまじってる……。
ルーファスの本質は天使なのに、変なことで、その優しい心を悩ませたくはない。
私はあわてて言った。
「あのね、ルーファス。モリナさんが来たのは驚いたけど、別に何を言われようが慣れてるから大丈夫。嘘偽りなく、全く気にならないんだよね。だから、モリナさんのことは、ルーファスは気にしないで。よくわからないけれど、一掃? みたいなことは考えなくてもいいからね」
「ララ、僕のことを思ってくれて、ありがとう。でも、ララこそ、テーブルの向かい側の不快な存在は気にせず、ゆったりお茶を飲んでてね。あとは、全部、僕にまかせて」
そう言って、にっこり笑ったルーファス。
なんだか、私の言っていることが伝わっていないような気がするんだけど……?
そして、ついに全員が席に着いた。
ひだまりのような素敵なテーブルに集まった強烈な個性の人たち。
大きなテーブルをはさんだ向こうには、端から、王子妃、第二王子、王女様、そして、モリナさんが坐っている。
そして、こちら側は、レーナおばさま、ルーファス、私がすわった。
当初の予定では、お茶会に王女様のお付きとして参加する予定だったのは従者のロイスさんだったみたい。
でも、その席にモリナさんがすわったため、ロイスさんは、王女様の背後に立った。
レーナおばさまが、もうひとつ席を追加しようとしたけれど、王女様が「ロイスのことは気にせずとも結構ですわ。護衛として立たせますから」と、にべもなく断った。
その口調は、まさに、そんなことはどうでもいいというような冷たい感じ。
幼馴染って言ってたけれど、ロイスさんへの情とか親しみとか気遣うような雰囲気は全く感じられない。
まあ、パーティーの時も、王女様はロイスさんのことを、尽くしてくれてなんでも言うことを聞いてくれる幼馴染、みたいなことを言っていたもんね。
ふたりの関係性はいつもこうなのかもしれないけれど、当のロイスさんはどう思っているんだろう?
王女様の背後にたつロイスさんを、目立たないように、さりげなく観察してみる。
お付きの人らしく、王女様のまわりに気を配るように視線をめぐらせているロイスさん。
私はその顔から目が離せなくなった。
というのも、整った顔立ちに表情はなく、目が、からっぽのような気がしたから。
よくわからないけれど、まるで大事な何かが失われているような、そんな感じ……。
見れば見るほど、気になってくる。
「ララ、どうかした?」
隣からルーファスが小声で聞いてきた。
あわてて、ロイスさんから目をそらし、「ううん、なんでもない」と答えた私。
その時、レーナおばさまが穏やかな口調で話し出した。
「それでは、皆さま揃われましたので、アンヌ妃殿下主催のお茶会を始めさせていただきます。では、アンヌ様。お言葉をお願いいたします」
レーナおばさまに意気揚々と話しかけたモリナさん。
妙に「お母様」のところが声が大きくなった気がしたけれど、そんな風に呼びかけたりする……?
モリナさんから、ジャリス侯爵家はロイド公爵家と遠い親戚と聞いているから、ずっと、そんな風に呼んできたのかな?
でも、レーナおばさまから、モリナさんの名前もジャリス侯爵家の話ですら聞いたことはなかったから、交流はないと思っていたんだけど、違ってたのかも……。
レーナおばさまが美しい笑みを浮かべて言った。
「確か、ジャリス侯爵家のご令嬢でしたわよね。夜会でお見かけしたことはありますが、きちんとご挨拶をした覚えがないので、失礼ですが、お名前を教えていただいても?」
え、そうだったの?
モリナさんの頬がさっと赤くなった。
そして、何故だか、私をにらんだモリナさん。
「ジャリス侯爵家の娘、モリナと申します……」
「モリナさんね。王女様のお連れさまですから、歓迎しますわ。では、王女様とモリナさん、お席に案内します」
そう言うと、優雅なしぐさで、レーナおばさまがふたりをテーブルのほうへと連れて行く。
「ララ、へんなのが増えてごめんね」
と、ルーファスがささやいてきた。
「なんでルーファスが謝るの? 王女様が連れてきたんだから、ルーファスは関係ないのに」
私の言葉に、ルーファスは軽く首を横に振った。
「いや、この前、学園のカフェで、侯爵令嬢を僕があおった結果がこれだから。今後、ララにとって、さらなる害をなす存在になるかどうか、見極めようと思ったからだけど、まさか、こんなに早く動き出すとはね。しかも、王女とくっつくとは想定外だった。友達どころか、どう考えても王女の駒にされて終わりだろうに、考えが足りなくてびっくりだよ……。まあ、向こうの出方次第で、今日で一掃できるから手間も省けるか……」
と、鋭い視線でテーブルの方を見ながら、つぶやいたルーファス。
ルーファスの言葉に、なんだか、毒々しさがまじってる……。
ルーファスの本質は天使なのに、変なことで、その優しい心を悩ませたくはない。
私はあわてて言った。
「あのね、ルーファス。モリナさんが来たのは驚いたけど、別に何を言われようが慣れてるから大丈夫。嘘偽りなく、全く気にならないんだよね。だから、モリナさんのことは、ルーファスは気にしないで。よくわからないけれど、一掃? みたいなことは考えなくてもいいからね」
「ララ、僕のことを思ってくれて、ありがとう。でも、ララこそ、テーブルの向かい側の不快な存在は気にせず、ゆったりお茶を飲んでてね。あとは、全部、僕にまかせて」
そう言って、にっこり笑ったルーファス。
なんだか、私の言っていることが伝わっていないような気がするんだけど……?
そして、ついに全員が席に着いた。
ひだまりのような素敵なテーブルに集まった強烈な個性の人たち。
大きなテーブルをはさんだ向こうには、端から、王子妃、第二王子、王女様、そして、モリナさんが坐っている。
そして、こちら側は、レーナおばさま、ルーファス、私がすわった。
当初の予定では、お茶会に王女様のお付きとして参加する予定だったのは従者のロイスさんだったみたい。
でも、その席にモリナさんがすわったため、ロイスさんは、王女様の背後に立った。
レーナおばさまが、もうひとつ席を追加しようとしたけれど、王女様が「ロイスのことは気にせずとも結構ですわ。護衛として立たせますから」と、にべもなく断った。
その口調は、まさに、そんなことはどうでもいいというような冷たい感じ。
幼馴染って言ってたけれど、ロイスさんへの情とか親しみとか気遣うような雰囲気は全く感じられない。
まあ、パーティーの時も、王女様はロイスさんのことを、尽くしてくれてなんでも言うことを聞いてくれる幼馴染、みたいなことを言っていたもんね。
ふたりの関係性はいつもこうなのかもしれないけれど、当のロイスさんはどう思っているんだろう?
王女様の背後にたつロイスさんを、目立たないように、さりげなく観察してみる。
お付きの人らしく、王女様のまわりに気を配るように視線をめぐらせているロイスさん。
私はその顔から目が離せなくなった。
というのも、整った顔立ちに表情はなく、目が、からっぽのような気がしたから。
よくわからないけれど、まるで大事な何かが失われているような、そんな感じ……。
見れば見るほど、気になってくる。
「ララ、どうかした?」
隣からルーファスが小声で聞いてきた。
あわてて、ロイスさんから目をそらし、「ううん、なんでもない」と答えた私。
その時、レーナおばさまが穏やかな口調で話し出した。
「それでは、皆さま揃われましたので、アンヌ妃殿下主催のお茶会を始めさせていただきます。では、アンヌ様。お言葉をお願いいたします」
647
あなたにおすすめの小説
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
幸せな番が微笑みながら願うこと
矢野りと
恋愛
偉大な竜王に待望の番が見つかったのは10年前のこと。
まだ幼かった番は王宮で真綿に包まれるように大切にされ、成人になる16歳の時に竜王と婚姻を結ぶことが決まっていた。幸せな未来は確定されていたはずだった…。
だが獣人の要素が薄い番の扱いを周りは間違えてしまう。…それは大切に想うがあまりのすれ違いだった。
竜王の番の心は少しづつ追いつめられ蝕まれていく。
※設定はゆるいです。
番を辞めますさようなら
京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら…
愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。
※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる