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どこへ?
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※ 今回から、ララベル視点に戻りました。よろしくお願いします!
王女様に約束するよう迫られた第二王子は、なにを考えているのか黙りこんだ。
いくらなんでも、さすがに断るよね。
王女様は簡単なことしか頼まないと言ったけれど、王女様にとったら簡単なだけで、頼まれるほうにとったら、難しかったり、嫌だったり、大変だったりするかもしれない。
今までの王女様の言動から考えて、他人に気をつかったりしなさそうだから、特にそう思ってしまう。
そもそも、前もってわざわざ約束させられるのも、これまた嫌な予感しかしないしね。
それに、第二王子は、どれだけ人間的に最低最悪であっても、一応、この国の王子。
属国でもないのに、他国の王女に従うような約束を、王子の立場でするだなんて普通に考えたらありえない。
即断るところだよね。
が、何を悩んでいるのか、第二王子は黙ったまま。
無言の状態が続く。
ついに、我慢できなくなった王女様が、いらついた顔で口を開いた。
「ガイガー王子、まだ悩んでいるの? 私の望むときにいつでも動くと約束するだけよ? それも、ガイガー王子を傷つけることも、財産を使わせることもしない簡単なお願いなのに。私によくしてくださるガイガー王子だから特別に、貴重な物を渡す口実として、交換条件をひねりだしたのだけれど……。まあ、私が信用ならないのなら断ってくださっても全然かまわないわ」
「いや、俺はラジュ王女を信用している。わかった、約束しよう。俺はラジュ王女が望めば動く!」
そうきっぱりと言い切った第二王子。
えっ、嘘……! 本当にそんな約束するの……!?
驚く私の耳に、ルーファスがささやいてきた。
「あれの浅はかさと愚かさは想像を超えてくるね? あれは簡単に口約束をしただけだと思っているだろうけれど、今のやりとりで、王女は文字通り言質をとった。言葉に竜の力をのせてたから、口約束なんかじゃない。しっかり契約させられている」
「竜の力……? あっ、そうか、王女様は操れるんだったね。あれ、でも、それって第二王子には効かないんじゃなかったっけ? 一応、王族で、血が濃い竜の獣人なんだろうし」
「そうだね。ララの言う通りだ。さっき、王女は王子妃を力でねじ伏せて、一方的に操ったよね? でも、いくら竜の力の強い王女であっても、この国の王族の血をひくあれ自身を操ることはできない。だからだろうね。約束という形を使って、あれ自身に断言させた。そこに、竜の力をのせることで、あれの発した言葉をより強固にするよう操ったんだろう。つまり、あれは、自分が発した言葉に縛られることになる。仮に王女にどんなことを頼まれても断れないと思うよ」
「え、そうなの……? じゃあ、もしも、身の危険を感じるようなたのみごとだったらどうなるの?」
「さっき、王女は否定していたけど、仮に死んでほしいと頼めば、いくら本人がそうしたくなくても、そうなってしまう可能性はある。しかも、王女に強要されたのではなく、王女の望みを叶えるため自主的に、ね」
「こわいっ……」
「全く信用できない王女相手に、よくそんな約束するよね? あ、でも、僕はララだったらどんな約束もするし、約束がなくたって、ララが望むなら、どんなことだってするよ。例え僕が死んだとしても、ララの願いは叶えたいんだ」
「ちょっと、ルーファス。なんてこと言うの!? 私の願いはルーファスが幸せに生きることなんだから、冗談でもそんなこと言わないで!」
ぎょっとして、つい、声が大きくなってしまった。
どうやら、隣のレーナおばさまには私たちのやりとりが聞こえていたらしく、レーナおばさまがため息をつきながら言った。
「ララちゃん、それ冗談じゃないの……。いろいろ重すぎる息子でごめんなさいね……」
え? 冗談じゃないの……?
びっくりしてルーファスを見ると、ルーファスがそれはそれは幸せそうに微笑んだ。
「僕が幸せに生きることが願いだなんて言ってくれて嬉しい。ありがとう、ララ。ねえ、ララ。僕の幸せを願ってくれるなら、ララは、ずっと僕のそばにいて、僕が幸せに生きられるかどうか見届けてくれる?」
「うん、わかった。見届ける。ルーファスが幸せに生きているのを見届けられたら私も安心だし!」
と、力強く答えた私。
隣から、レーナおばさまが「ララちゃんが誘導されてるわ……」と、つぶやいている。
誘導って、どこへ……?
と、考えていたら、ルーファスがまぶしい笑顔のまま、ささやいてきた。
「王女の下僕になったあれ自身がどうなろうがどうでもいいけど、ララに害が及ぶようなことをしようとした時点でつぶすから。そのことは、あれに甘い国王にも、ちゃんと言質はとってある。11年前、ララを傷つけておいて、2度目はないからって。この茶会の前に、直談判して確認しておいた。だから、安心してね、ララ」
ルーファス……。
そのきらきらした笑顔と話す内容との差が激しすぎて、全く安心できないよ……?
だって「言質はとってある」「二度目はないから」「直談判で確認しておいた」とか不穏な言葉がちりばめられてたよね?
私の聞き間違いでなかったなら、そんな話をした相手は国王様だよね?
ちなみにだけど、もしかして、その言質とやらは、今、ルーファスが説明してくれたような、言葉に縛られるっていう怖ーいもんじゃないよね?
国王様相手にそんなことはしていないよね?
と、確認したいことは色々あるけど、確認するのが怖い。
だって、王女様にできることは、ルーファスならいとも簡単にできそうだから……。
王女様に約束するよう迫られた第二王子は、なにを考えているのか黙りこんだ。
いくらなんでも、さすがに断るよね。
王女様は簡単なことしか頼まないと言ったけれど、王女様にとったら簡単なだけで、頼まれるほうにとったら、難しかったり、嫌だったり、大変だったりするかもしれない。
今までの王女様の言動から考えて、他人に気をつかったりしなさそうだから、特にそう思ってしまう。
そもそも、前もってわざわざ約束させられるのも、これまた嫌な予感しかしないしね。
それに、第二王子は、どれだけ人間的に最低最悪であっても、一応、この国の王子。
属国でもないのに、他国の王女に従うような約束を、王子の立場でするだなんて普通に考えたらありえない。
即断るところだよね。
が、何を悩んでいるのか、第二王子は黙ったまま。
無言の状態が続く。
ついに、我慢できなくなった王女様が、いらついた顔で口を開いた。
「ガイガー王子、まだ悩んでいるの? 私の望むときにいつでも動くと約束するだけよ? それも、ガイガー王子を傷つけることも、財産を使わせることもしない簡単なお願いなのに。私によくしてくださるガイガー王子だから特別に、貴重な物を渡す口実として、交換条件をひねりだしたのだけれど……。まあ、私が信用ならないのなら断ってくださっても全然かまわないわ」
「いや、俺はラジュ王女を信用している。わかった、約束しよう。俺はラジュ王女が望めば動く!」
そうきっぱりと言い切った第二王子。
えっ、嘘……! 本当にそんな約束するの……!?
驚く私の耳に、ルーファスがささやいてきた。
「あれの浅はかさと愚かさは想像を超えてくるね? あれは簡単に口約束をしただけだと思っているだろうけれど、今のやりとりで、王女は文字通り言質をとった。言葉に竜の力をのせてたから、口約束なんかじゃない。しっかり契約させられている」
「竜の力……? あっ、そうか、王女様は操れるんだったね。あれ、でも、それって第二王子には効かないんじゃなかったっけ? 一応、王族で、血が濃い竜の獣人なんだろうし」
「そうだね。ララの言う通りだ。さっき、王女は王子妃を力でねじ伏せて、一方的に操ったよね? でも、いくら竜の力の強い王女であっても、この国の王族の血をひくあれ自身を操ることはできない。だからだろうね。約束という形を使って、あれ自身に断言させた。そこに、竜の力をのせることで、あれの発した言葉をより強固にするよう操ったんだろう。つまり、あれは、自分が発した言葉に縛られることになる。仮に王女にどんなことを頼まれても断れないと思うよ」
「え、そうなの……? じゃあ、もしも、身の危険を感じるようなたのみごとだったらどうなるの?」
「さっき、王女は否定していたけど、仮に死んでほしいと頼めば、いくら本人がそうしたくなくても、そうなってしまう可能性はある。しかも、王女に強要されたのではなく、王女の望みを叶えるため自主的に、ね」
「こわいっ……」
「全く信用できない王女相手に、よくそんな約束するよね? あ、でも、僕はララだったらどんな約束もするし、約束がなくたって、ララが望むなら、どんなことだってするよ。例え僕が死んだとしても、ララの願いは叶えたいんだ」
「ちょっと、ルーファス。なんてこと言うの!? 私の願いはルーファスが幸せに生きることなんだから、冗談でもそんなこと言わないで!」
ぎょっとして、つい、声が大きくなってしまった。
どうやら、隣のレーナおばさまには私たちのやりとりが聞こえていたらしく、レーナおばさまがため息をつきながら言った。
「ララちゃん、それ冗談じゃないの……。いろいろ重すぎる息子でごめんなさいね……」
え? 冗談じゃないの……?
びっくりしてルーファスを見ると、ルーファスがそれはそれは幸せそうに微笑んだ。
「僕が幸せに生きることが願いだなんて言ってくれて嬉しい。ありがとう、ララ。ねえ、ララ。僕の幸せを願ってくれるなら、ララは、ずっと僕のそばにいて、僕が幸せに生きられるかどうか見届けてくれる?」
「うん、わかった。見届ける。ルーファスが幸せに生きているのを見届けられたら私も安心だし!」
と、力強く答えた私。
隣から、レーナおばさまが「ララちゃんが誘導されてるわ……」と、つぶやいている。
誘導って、どこへ……?
と、考えていたら、ルーファスがまぶしい笑顔のまま、ささやいてきた。
「王女の下僕になったあれ自身がどうなろうがどうでもいいけど、ララに害が及ぶようなことをしようとした時点でつぶすから。そのことは、あれに甘い国王にも、ちゃんと言質はとってある。11年前、ララを傷つけておいて、2度目はないからって。この茶会の前に、直談判して確認しておいた。だから、安心してね、ララ」
ルーファス……。
そのきらきらした笑顔と話す内容との差が激しすぎて、全く安心できないよ……?
だって「言質はとってある」「二度目はないから」「直談判で確認しておいた」とか不穏な言葉がちりばめられてたよね?
私の聞き間違いでなかったなら、そんな話をした相手は国王様だよね?
ちなみにだけど、もしかして、その言質とやらは、今、ルーファスが説明してくれたような、言葉に縛られるっていう怖ーいもんじゃないよね?
国王様相手にそんなことはしていないよね?
と、確認したいことは色々あるけど、確認するのが怖い。
だって、王女様にできることは、ルーファスならいとも簡単にできそうだから……。
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