51 / 127
番外編
挿話 王太子の受難 12
しおりを挟む
父上が、
「王妃と王太子が、申し訳ない。二人とも、熱くなる気質でね。お恥ずかしい」
と、ロンダ国の騎士団長に謝るが、騎士団長は、茫然としている。
「騎士団長のブリート殿、どうされた?」
父上が、声をかける。
はっとしたように、ロンダ国の騎士団長が、
「はっ、すみません…。王太子様と王妃様の、自分の思いをまげない、真っ向勝負の、迫力あるぶつかりあいを間近で見て、心を持っていかれておりました!」
と、父上に言った。
「いや、そんな良いものでは、全くないと思うが?!」
と、とまどった顔で、父上が聞き返す。
「いえ、他国の者である私を前にしても、自分を偽ることもなく、飾ることもなく、自分の信念に基づいて、ぶつかりあうお二人に、騎士として目が覚める思いです!」
「え? そ、…そうなのか?」
と、父上が、あいまいなあいづちをうつ。完全に扱いに困っている様子だ。
が、ロンダ国の騎士団長の目は、もはや、父上を見てはいない。
きらきらした目で、ぼくと母上を見ている。
なんだか、怖いんだけど…?
この人も、脳筋? もしや、今、あちこちで、脳筋って繁殖してるの?
と、思ったら、ロンダ国の騎士団長は、母上を見て、更に言った。
「そして、先程の、耳が痛くなるほどの、王妃様の声量には、心が震えました!
失礼ながら、女性では、到底だせないような声量。さすが、長年、王妃様と辺境伯様とを兼任され、生粋の騎士としてご活躍されてきたお方だと、感銘を受けました!」
…なに、言ってんの? この人。
声の大きさに感銘を受けるって…なんだ、それ?
ロンダ国の騎士って、大丈夫なの?
と、思ったら、母上が、にこにこしながら、
「騎士に認められるのが、一番うれしいな。貴殿は、ロンダ国の第二騎士団長のブリート殿だったな」
と、騎士団長に声をかける。
「はっ、そうであります!」
「見どころがある。どうだ、私の元に来ないか?! 辺境伯の騎士団で働いてみないか? 私が、鍛えるぞ」
…は?! なに、勧誘してんの? しかも、他国の騎士団長だよね?
辺境伯の騎士団に来るわけないよね?
「本当ですか? 光栄であります! 是非、是非、王妃様、いえ、辺境伯様の下で働かせてください!
今の職は、すぐに、辞めてまいります!」
…え、来るの?!
ほんとに、ロンダ国って、大丈夫?
盛り上がる二人。
よくわからない展開に、茫然としている父上と、ウルス。
そこへ、
「なんの騒ぎだ」
と、澄み渡った声が聞こえてきた。
ルイスだー!!
ルイスが部屋に入ってきただけで、汚れてたものが一掃されて、すがすがしい空気にかわる。
疲れた心が、癒される!
…って、喜んでる場合じゃない!
ルイスの目に入れてはいけない、汚れたものが、まだ、ここにいた。
騎士に取り押さえられ、今は、うつろな目をしているこの女。
さっきみたいに、あんなおぞましいことを、万が一にもルイスに聞かせてはならない。
隣のウルスに、すぐに指示をだす。
「この女に、しゃべれないよう布をかませて。そして、頭から何かかぶせて、ルイスの目に入らないように。
瞬間的に、どっかへ消してもいい。急いで!」
「そんな、無茶なことを言われてもな…。とりあえず、布は用意するが、ルイス、もう、そこにいるし…」
と、ウルス。
あ、ほんとだ。
庭にいたのか、庭師の作業着を着たルイスが、すぐそこまで、歩いてきてる。
後光がすごい!
…じゃなくて、ルイス、こっちへ来てはダメだー!
「王妃と王太子が、申し訳ない。二人とも、熱くなる気質でね。お恥ずかしい」
と、ロンダ国の騎士団長に謝るが、騎士団長は、茫然としている。
「騎士団長のブリート殿、どうされた?」
父上が、声をかける。
はっとしたように、ロンダ国の騎士団長が、
「はっ、すみません…。王太子様と王妃様の、自分の思いをまげない、真っ向勝負の、迫力あるぶつかりあいを間近で見て、心を持っていかれておりました!」
と、父上に言った。
「いや、そんな良いものでは、全くないと思うが?!」
と、とまどった顔で、父上が聞き返す。
「いえ、他国の者である私を前にしても、自分を偽ることもなく、飾ることもなく、自分の信念に基づいて、ぶつかりあうお二人に、騎士として目が覚める思いです!」
「え? そ、…そうなのか?」
と、父上が、あいまいなあいづちをうつ。完全に扱いに困っている様子だ。
が、ロンダ国の騎士団長の目は、もはや、父上を見てはいない。
きらきらした目で、ぼくと母上を見ている。
なんだか、怖いんだけど…?
この人も、脳筋? もしや、今、あちこちで、脳筋って繁殖してるの?
と、思ったら、ロンダ国の騎士団長は、母上を見て、更に言った。
「そして、先程の、耳が痛くなるほどの、王妃様の声量には、心が震えました!
失礼ながら、女性では、到底だせないような声量。さすが、長年、王妃様と辺境伯様とを兼任され、生粋の騎士としてご活躍されてきたお方だと、感銘を受けました!」
…なに、言ってんの? この人。
声の大きさに感銘を受けるって…なんだ、それ?
ロンダ国の騎士って、大丈夫なの?
と、思ったら、母上が、にこにこしながら、
「騎士に認められるのが、一番うれしいな。貴殿は、ロンダ国の第二騎士団長のブリート殿だったな」
と、騎士団長に声をかける。
「はっ、そうであります!」
「見どころがある。どうだ、私の元に来ないか?! 辺境伯の騎士団で働いてみないか? 私が、鍛えるぞ」
…は?! なに、勧誘してんの? しかも、他国の騎士団長だよね?
辺境伯の騎士団に来るわけないよね?
「本当ですか? 光栄であります! 是非、是非、王妃様、いえ、辺境伯様の下で働かせてください!
今の職は、すぐに、辞めてまいります!」
…え、来るの?!
ほんとに、ロンダ国って、大丈夫?
盛り上がる二人。
よくわからない展開に、茫然としている父上と、ウルス。
そこへ、
「なんの騒ぎだ」
と、澄み渡った声が聞こえてきた。
ルイスだー!!
ルイスが部屋に入ってきただけで、汚れてたものが一掃されて、すがすがしい空気にかわる。
疲れた心が、癒される!
…って、喜んでる場合じゃない!
ルイスの目に入れてはいけない、汚れたものが、まだ、ここにいた。
騎士に取り押さえられ、今は、うつろな目をしているこの女。
さっきみたいに、あんなおぞましいことを、万が一にもルイスに聞かせてはならない。
隣のウルスに、すぐに指示をだす。
「この女に、しゃべれないよう布をかませて。そして、頭から何かかぶせて、ルイスの目に入らないように。
瞬間的に、どっかへ消してもいい。急いで!」
「そんな、無茶なことを言われてもな…。とりあえず、布は用意するが、ルイス、もう、そこにいるし…」
と、ウルス。
あ、ほんとだ。
庭にいたのか、庭師の作業着を着たルイスが、すぐそこまで、歩いてきてる。
後光がすごい!
…じゃなくて、ルイス、こっちへ来てはダメだー!
91
あなたにおすすめの小説
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!
水鈴みき(みすずみき)
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!?
※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり
大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。
airria
恋愛
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」
親友のメイベルから涙ながらにそう告げられて、私が一番最初に思ったのは、「ああ、やっぱり」。
婚約者のアマンド様とは、ここ1年ほど余所余所しい関係が続いていたから。
2人が想い合っているのなら、お邪魔虫になんてなりたくない。
心が別の人にあるのなら、結婚なんてしたくない。
そんなわけで、穏便に婚約解消してもらうために、我儘になってナチュラルに嫌われようと思います!
でも本当は…
これは、彼の仕事の邪魔にならないように、自分を抑えてきたヒロインが、我儘に振る舞ううちに溺愛されてしまう物語。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました
Blue
恋愛
幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる