(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん

文字の大きさ
50 / 127
番外編

挿話 王太子の受難 11

しおりを挟む
「ロンダ国の第二騎士団長のブリート殿。こちらこそ、遠路、引き取りに来ていただいて、感謝します。ロンダ国、国王陛下には、わが国の事件でもありますので、お礼などお気遣いなきようお伝えください。
…それよりも、未来永劫、その女は出国禁止でお願いしますね」
と、ぼくは、騎士団長に向かって、愛想よく微笑みかけた。

すると、わが国の騎士に羽交い絞めにされている女が、ぼくを、にらみつけると、
「アランみたいに、王太子も、あの表情のないルイス王子も、薬漬けにして、この国を私の思うようにしてやれたのに…。ほんと残念!」
そう言って、ハハッと狂ったように笑いだした。

今、なんて言った…? 
おまえのように、汚れた人間が、ルイスの名前を口にするだけでも許せないのに、おぞましい妄想を言ったな?!

…気が変わった。

「第二騎士団長、ブリート殿。悪いが、この女、やはり、こちらで引き取らせていただきたい」
怒りを含んだ、ぼくの言葉に、

「え?! それはどういうことでしょうか…」
と、ロンダ国の騎士団長が、とまどった顔をした。

「今、この女は、わが弟の第二王子ルイスを侮辱するという、これ以上ないほど重い罪をおかした。
よって、こちらで裁かせてもらう!」
と、ぼくは、言い放った。

「いやいや、それは困ります! わが国に連れて帰って、法によって裁かなければなりませんから…」
あわてたように言う、ロンダ国の騎士団長。

「じゃあ、こちらで裁いて、罪をつぐなわせた後に、ロンダ国に移送するから。それなら大丈夫でしょ。
…まあ、生きてないと思うけどね?」
ぼくが、にっこり微笑むと、

「は? …そんなことされたら、困ります!」
ロンダ国の騎士団長の顔色が、一気に悪くなった。

そこへ、母上が、すごい圧でわりこんできた。

「おい、フィリップ! なに、法を無視した訳のわからんことを言っている! 
たかだか、ルイスの名前がでたくらいで、いちいち、きれるな。それでも、王太子かー!!」
と、母の怒声が響く。

すごい声量に、そばにいるロンダ国の騎士団長が、耳をおさえた。

が、ここはひけない。

「王太子よりも、ぼくは、ルイスの兄です! こんな最大の侮辱、許せるわけがないでしょう! 
この女は、最大限の苦しみを味わせたあと、処刑します!」
と、母上に向かって、怒鳴り返す。

笑ってた女がぴたりと黙り、おびえた顔で、ぼくを見た。
まあ、今更、おびえても遅いけどね?

「いくらなんでも、それはまずいだろ…」
と、ウルスが隣でぶつぶつ言っている。

母上が、ぼくに近づくと、いきなり胸倉をつかんだ。

さっき、ぼくに、きれるなと注意したくせに、自分は、きれっきれの顔をしてるんだけど…。
ほんと、あいかわらず、馬鹿力だよね。

母上は、胸倉をつかんだまま、
「なら、即刻、王太子をやめろ! ルイスでも、ウルスにでも、変わればいい」
と、怒鳴った。

「ここで、なんで、俺をまきこむ…?!」
と、隣で、悲壮な声をあげるウルス。

あきらめろ、ウルス。
この脳筋の母上は、ルイスとウルス、似た音の響きで、セットみたいに覚えているからね。

だから、俺が子どもの頃、言ったよね?

ウルスでなく、ウルルに名前を変えろと。
聞いとけばよかったのに…。

しかし、首が苦しいな…。この馬鹿力!
ぼくは、渾身の力で、母上をふりほどいた。

そして、言った。
「ルイスが、王太子になりたいと言ったら、いつでも、王太子の座を変わりますよ!」

「おまえは、なんで、ルイス離れができないんだー!」
と、怒鳴る母上。

「するつもりはないね!」
と、言い返す、ぼく。

そこへ、
「二人とも、やめなさい。ロンダ国の騎士団長が驚かれてるだろう?」
と、言ったのは父上だ。

あ、父上、いたのか…。影がうすくて、すっかり忘れてた。


しおりを挟む
感想 251

あなたにおすすめの小説

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?

西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね? 7話完結のショートストーリー。 1日1話。1週間で完結する予定です。

恋心を封印したら、なぜか幼馴染みがヤンデレになりました?

夕立悠理
恋愛
 ずっと、幼馴染みのマカリのことが好きだったヴィオラ。  けれど、マカリはちっとも振り向いてくれない。  このまま勝手に好きで居続けるのも迷惑だろうと、ヴィオラは育った町をでる。  なんとか、王都での仕事も見つけ、新しい生活は順風満帆──かと思いきや。  なんと、王都だけは死んでもいかないといっていたマカリが、ヴィオラを追ってきて……。

婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。

黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。 その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。 王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。 だから、泣かない。縋らない。 私は自分から婚約破棄を願い出る。 選ばれなかった人生を終わらせるために。 そして、私自身の人生を始めるために。 短いお話です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

婚約破棄されたので公爵令嬢やめます〜私を見下した殿下と元婚約者が膝をつく頃、愛を囁くのは冷酷公爵でした〜

nacat
恋愛
婚約者に裏切られ、蔑まれ、全てを失った公爵令嬢リリアナ。 「あなたのような女、誰が愛すると?」そう言い放った王太子と元友人に嘲られても、彼女は涙を見せなかった。 だが、冷たく美しい隣国の公爵セドリックと出会った瞬間、運命は静かに動き出す。 冷酷と噂された男の腕のなかで、彼女は再び自分を取り戻していく。 そして――彼女を捨てた者たちは、彼女の眩い幸福の前に膝をつく。 「これは、ざまぁを通り越して愛された令嬢の物語。」

処理中です...