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番外編
私の悩み 5
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フィリップは、テーブルのそばで控えているモーラの方を見た。
「じゃあ、モーラ、ここへ持って来て!」
と、フィリップが軽快な声で指示をとばす。
「はい、王太子様!」
歯切れよく返事をするモーラ。
一体、何を持ってくるんだ?
というか、このふたり、息ぴったりだな…。
モーラは、部下のメイドと一緒に、結構大きめの額のようなものを、大事そうに抱えて来た。
「じゃあ、モーラ。ここに置いて」
フィリップは、そう言って、自分の隣の椅子を手で差し示した。
「承知しました、王太子様!」
モーラとメイドは、背もたれの高い椅子に、額を注意深くたてかけた。
縦に長い額なので、なんだか、額がすわっているようだ。
で、なんだ、あれは…?
なぜ、見合いの席にあんなものを、たてかける…?
布がかかっているため見えないが、嫌な予感しかない…。
「じゃあ、君たちに、一番きれいな色はどんな色か、ぼくが、正解を教えてあげる。モーラ、オープン!」
フィリップが勢いよく片手を振り上げた。
肩についていた金の飾りがじゃらじゃらっと揺れて、反射した太陽の光が、あたりにとびちった。
まぶしい…! そして、うさんくさいぞ、フィリップ!
派手な衣装が、いかさまをする奇術師みたいだ…。
モーラは、厳かに、額にかかっていた布をゆっくりと、とりはずした。
そして、あらわれたのは、ルイスの肖像画…。
「なんで、あんなものを椅子にすわらせてるんだ…!」
思わず、さけんだ私。
「普通に怖いですね…」
と、ダンが静かにつぶやいた。
確かに、我が息子ながら、行動が怖すぎる。
ほら、見ろ。
癖の強い令嬢たちですら、驚きすぎて言葉がでないじゃないか…。
が、モーラだけは、あたたかくも優しい目で、フィリップを見つめている。
モーラ…、今のフィリップに、そんな目でみつめる要素はどこにもないぞ?
正気に戻れ、モーラよ!
心の中で、必死にモーラによびかけていると、「あのっ!」と、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢が声をあげた。
「なに?」
と、黒い笑みを浮かべるフィリップ。
「あの…、これって、…ルイス殿下…ですわよね?」
そう言って、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢が、絵を指差した。
瞬間、フィリップが真顔になった。冷たい声が響く。
「君、なに、指さしてるの? ルイスの絵を指さすなんて、その指、切り落とすよ?」
「ひいっ!!」
悲鳴をあげて、手ごとテーブルの下にしまいこむ木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢。
おい、フィリップ…!
指を切り落とすなど、王太子が言うことか?!
そもそも、そんなところに絵を持ってくるほうがおかしいだろう?!
そして、令嬢たち、見合いどころじゃない。早く、逃げたほうがいい。
ルイス本人でなくても、ルイスに関わる物がでてきた時点で危ない。
ルイスが関わるだけで、フィリップの沸点は、とてつもなく下がるからな。
何がフィリップの逆鱗にふれ、令嬢たちにどんな影響が及ぶかわからん。
が、そんな願いもむなしく、今度は、宝石だらけのアイスバーク侯爵家の令嬢が口を開いた。
「なんて、すばらしい絵なのかしら! やはり、ルイス殿下はお美しいですわ!」
と、絵をあからさまに褒め、勝ち誇ったような顔で、ちらっと、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢を見た。
不況を買った令嬢を見て、ルイスをほめたらいいと思ったようだが、うかつにルイスのことを語らないほうがいい!
たとえ、それが、普通のほめ言葉であってもだ。
口先だけのほめ言葉は、もちろんダメだし、逆に、気持ちが入りすぎて、ルイスへの邪なものを感じたら、命が危ない。
他にも、見当違いのほめかたも、ほめ足りなかったりしても、フィリップは気に入らないだろう。
つまり、触らぬ神に祟りなし。
ルイスに言及しなければ、被害は最小限だ。
「じゃあ、モーラ、ここへ持って来て!」
と、フィリップが軽快な声で指示をとばす。
「はい、王太子様!」
歯切れよく返事をするモーラ。
一体、何を持ってくるんだ?
というか、このふたり、息ぴったりだな…。
モーラは、部下のメイドと一緒に、結構大きめの額のようなものを、大事そうに抱えて来た。
「じゃあ、モーラ。ここに置いて」
フィリップは、そう言って、自分の隣の椅子を手で差し示した。
「承知しました、王太子様!」
モーラとメイドは、背もたれの高い椅子に、額を注意深くたてかけた。
縦に長い額なので、なんだか、額がすわっているようだ。
で、なんだ、あれは…?
なぜ、見合いの席にあんなものを、たてかける…?
布がかかっているため見えないが、嫌な予感しかない…。
「じゃあ、君たちに、一番きれいな色はどんな色か、ぼくが、正解を教えてあげる。モーラ、オープン!」
フィリップが勢いよく片手を振り上げた。
肩についていた金の飾りがじゃらじゃらっと揺れて、反射した太陽の光が、あたりにとびちった。
まぶしい…! そして、うさんくさいぞ、フィリップ!
派手な衣装が、いかさまをする奇術師みたいだ…。
モーラは、厳かに、額にかかっていた布をゆっくりと、とりはずした。
そして、あらわれたのは、ルイスの肖像画…。
「なんで、あんなものを椅子にすわらせてるんだ…!」
思わず、さけんだ私。
「普通に怖いですね…」
と、ダンが静かにつぶやいた。
確かに、我が息子ながら、行動が怖すぎる。
ほら、見ろ。
癖の強い令嬢たちですら、驚きすぎて言葉がでないじゃないか…。
が、モーラだけは、あたたかくも優しい目で、フィリップを見つめている。
モーラ…、今のフィリップに、そんな目でみつめる要素はどこにもないぞ?
正気に戻れ、モーラよ!
心の中で、必死にモーラによびかけていると、「あのっ!」と、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢が声をあげた。
「なに?」
と、黒い笑みを浮かべるフィリップ。
「あの…、これって、…ルイス殿下…ですわよね?」
そう言って、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢が、絵を指差した。
瞬間、フィリップが真顔になった。冷たい声が響く。
「君、なに、指さしてるの? ルイスの絵を指さすなんて、その指、切り落とすよ?」
「ひいっ!!」
悲鳴をあげて、手ごとテーブルの下にしまいこむ木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢。
おい、フィリップ…!
指を切り落とすなど、王太子が言うことか?!
そもそも、そんなところに絵を持ってくるほうがおかしいだろう?!
そして、令嬢たち、見合いどころじゃない。早く、逃げたほうがいい。
ルイス本人でなくても、ルイスに関わる物がでてきた時点で危ない。
ルイスが関わるだけで、フィリップの沸点は、とてつもなく下がるからな。
何がフィリップの逆鱗にふれ、令嬢たちにどんな影響が及ぶかわからん。
が、そんな願いもむなしく、今度は、宝石だらけのアイスバーク侯爵家の令嬢が口を開いた。
「なんて、すばらしい絵なのかしら! やはり、ルイス殿下はお美しいですわ!」
と、絵をあからさまに褒め、勝ち誇ったような顔で、ちらっと、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢を見た。
不況を買った令嬢を見て、ルイスをほめたらいいと思ったようだが、うかつにルイスのことを語らないほうがいい!
たとえ、それが、普通のほめ言葉であってもだ。
口先だけのほめ言葉は、もちろんダメだし、逆に、気持ちが入りすぎて、ルイスへの邪なものを感じたら、命が危ない。
他にも、見当違いのほめかたも、ほめ足りなかったりしても、フィリップは気に入らないだろう。
つまり、触らぬ神に祟りなし。
ルイスに言及しなければ、被害は最小限だ。
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