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番外編
私の悩み 6
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宝石だらけのアイスバーク侯爵令嬢に向かって、フィリップが笑みを浮かべた。
「サラ嬢、君は見る目があるみたいだね」
フィリップの言葉に、うれしそうに満面の笑みをうかべる、宝石だらけの令嬢。
いや、違う。喜んでる場合じゃない…。
と、心の中で訴える。
しかも、宝石だらけの令嬢は、あろうことか、危険な状態のフィリップのほうに、少し身をのりだした。
じゃらじゃらと身につけている宝石が、ゆれにゆれる…。
「こら、近づくな! 離れろ」
と、思わず、声がでた。
「危険な位置ですね」
ダンが、冷静に相槌を打った。
更に、アイスバーク侯爵令嬢は、フィリップを上目遣いに見ながら、自慢げに言った。
「私の屋敷には、高価な絵が沢山飾ってあるんです。いいものばかり見てるから、私、目が肥えてるんです!」
私の頭に、警告音が鳴りひびく。
高価な絵で目が肥えたなど、成金自慢はどうでもいい。
それより、もっと、危ないものを見極める目を持つべきだ。
ほら、目の前のフィリップの目!
あれは、猛禽類が獲物を仕留める時の目だ!
「なら、ぼくが正解を言う前に、君に、この絵について、すばらしいところを述べてもらおうかな? おのずと答えにつながると思うし」
そう言って、フィリップがにっこりと微笑んだ。
その瞬間、真っ黒い翼が、フィリップの背後にひろがった気がした。
翼をひろげ、鋭い爪で襲う寸前…。
宝石だらけの令嬢よ…。
言葉を間違えるな。もう、一言たりとも失敗は許されないぞ…。
と、その時、何故か、ダンが大きなライトを手に持った。
「…ダン。何してる?」
「王太子様の攻撃をとめるには、この魔石ライトをあてるのがいいかと思いまして。非常に明るい光を遠くまで放てますが、人体に害のない魔石が光っているので、王太子様の目に害はありません。ただ、これを使っても、王太子様であれば、ほんの一瞬、ひるませるくらいだと思いますが…」
「いや、一瞬だけでも、猛禽類をひるませられれば、一時しのぎにはなる。いいアイデアだ! ダン、すぐに備えよ!」
私の言葉に、ダンは、すぐさま動く。
窓際にひざまずき、まるで銃をかまえるように、ライトをフィリップへあわせた。
「あとは、スイッチを押すだけです」
「よし、令嬢が危ないと思ったら、躊躇なく、その光をフィリップに当てろ」
「了解」
ふー、これで少しは安心だ。
令嬢たちよ、もしもの時は、背後から援護する。
一瞬のすきを作るから、その間に、自力で逃げてくれ。
ちょうど、その時、宝石だらけの令嬢が、ルイスの肖像画を見ながら、フィリップの問いに答え始めた。
「この絵の一番すばらしいところは、もちろん、ルイス殿下の美しいお顔ですわ!」
そう言って、ルイスの肖像画をうっとりと見た。
これは、まずい…。
こら、宝石だらけの令嬢…。よく思い出せ!
フィリップは、「おのずと答えにつながる」と言っただろう。
つまり、「きれいな色はどの色か?」という問いに対する答えになるということ。
ということは、せめて、絵の中にある色を答えろ!
が、すでに遅く、フィリップが凍るような声をだした。
「へえええ…ルイスの顔ね…。今の君の発言は、後程、たっぷり対応するとして」
たっぷり対応って、なんだ?! 何をする…?!
「じゃあ、まずは、答えね。一番きれいな色の答えは、ブルー! もちろん、ただのブルーじゃないよ。ルイスの瞳の色だよ。ほら、この絵のルイスの瞳を見てよ。本物には遠く及ばないけど、少しは想像できるでしょ? 君たちは目にする機会もないだろうから、ぼくは、親切にも、ルイスの肖像画を持ってきてあげたの。 あのね、この世の中に、ルイスの瞳の色よりきれいな色なんてないんだよ。わかった?」
いや、わからなくていい…。そもそも、全然、違うだろ、フィリップ…。
一番きれいだと思う色など、人それぞれ。なんだっていい。
もちろん、正解、不正解などない。
驚いた顔をする令嬢たち。
が、フィリップの視線は宝石だらけの令嬢にロックオンされている。
「それより、サラ嬢。さっきの発言だけど、もしかして、ルイスの顔が好きなのかな?」
と、微笑みかけるが、目が怖すぎる。
うまく答えろ、宝石だらけの令嬢!
内心エールを送る。
が、宝石だらけの令嬢は、恥じらうように答えた。
「もちろんですわ! 私、ルイス殿下のお美しいお顔が大好きです。…あ、でも、お顔だけじゃなくて、ルイス殿下御本人にも憧れてます。…フフ!」
顔をあからめる、宝石だらけの令嬢。
その瞬間、フィリップが殺気立った。
ああ…、終わったな…。
「サラ嬢、君は見る目があるみたいだね」
フィリップの言葉に、うれしそうに満面の笑みをうかべる、宝石だらけの令嬢。
いや、違う。喜んでる場合じゃない…。
と、心の中で訴える。
しかも、宝石だらけの令嬢は、あろうことか、危険な状態のフィリップのほうに、少し身をのりだした。
じゃらじゃらと身につけている宝石が、ゆれにゆれる…。
「こら、近づくな! 離れろ」
と、思わず、声がでた。
「危険な位置ですね」
ダンが、冷静に相槌を打った。
更に、アイスバーク侯爵令嬢は、フィリップを上目遣いに見ながら、自慢げに言った。
「私の屋敷には、高価な絵が沢山飾ってあるんです。いいものばかり見てるから、私、目が肥えてるんです!」
私の頭に、警告音が鳴りひびく。
高価な絵で目が肥えたなど、成金自慢はどうでもいい。
それより、もっと、危ないものを見極める目を持つべきだ。
ほら、目の前のフィリップの目!
あれは、猛禽類が獲物を仕留める時の目だ!
「なら、ぼくが正解を言う前に、君に、この絵について、すばらしいところを述べてもらおうかな? おのずと答えにつながると思うし」
そう言って、フィリップがにっこりと微笑んだ。
その瞬間、真っ黒い翼が、フィリップの背後にひろがった気がした。
翼をひろげ、鋭い爪で襲う寸前…。
宝石だらけの令嬢よ…。
言葉を間違えるな。もう、一言たりとも失敗は許されないぞ…。
と、その時、何故か、ダンが大きなライトを手に持った。
「…ダン。何してる?」
「王太子様の攻撃をとめるには、この魔石ライトをあてるのがいいかと思いまして。非常に明るい光を遠くまで放てますが、人体に害のない魔石が光っているので、王太子様の目に害はありません。ただ、これを使っても、王太子様であれば、ほんの一瞬、ひるませるくらいだと思いますが…」
「いや、一瞬だけでも、猛禽類をひるませられれば、一時しのぎにはなる。いいアイデアだ! ダン、すぐに備えよ!」
私の言葉に、ダンは、すぐさま動く。
窓際にひざまずき、まるで銃をかまえるように、ライトをフィリップへあわせた。
「あとは、スイッチを押すだけです」
「よし、令嬢が危ないと思ったら、躊躇なく、その光をフィリップに当てろ」
「了解」
ふー、これで少しは安心だ。
令嬢たちよ、もしもの時は、背後から援護する。
一瞬のすきを作るから、その間に、自力で逃げてくれ。
ちょうど、その時、宝石だらけの令嬢が、ルイスの肖像画を見ながら、フィリップの問いに答え始めた。
「この絵の一番すばらしいところは、もちろん、ルイス殿下の美しいお顔ですわ!」
そう言って、ルイスの肖像画をうっとりと見た。
これは、まずい…。
こら、宝石だらけの令嬢…。よく思い出せ!
フィリップは、「おのずと答えにつながる」と言っただろう。
つまり、「きれいな色はどの色か?」という問いに対する答えになるということ。
ということは、せめて、絵の中にある色を答えろ!
が、すでに遅く、フィリップが凍るような声をだした。
「へえええ…ルイスの顔ね…。今の君の発言は、後程、たっぷり対応するとして」
たっぷり対応って、なんだ?! 何をする…?!
「じゃあ、まずは、答えね。一番きれいな色の答えは、ブルー! もちろん、ただのブルーじゃないよ。ルイスの瞳の色だよ。ほら、この絵のルイスの瞳を見てよ。本物には遠く及ばないけど、少しは想像できるでしょ? 君たちは目にする機会もないだろうから、ぼくは、親切にも、ルイスの肖像画を持ってきてあげたの。 あのね、この世の中に、ルイスの瞳の色よりきれいな色なんてないんだよ。わかった?」
いや、わからなくていい…。そもそも、全然、違うだろ、フィリップ…。
一番きれいだと思う色など、人それぞれ。なんだっていい。
もちろん、正解、不正解などない。
驚いた顔をする令嬢たち。
が、フィリップの視線は宝石だらけの令嬢にロックオンされている。
「それより、サラ嬢。さっきの発言だけど、もしかして、ルイスの顔が好きなのかな?」
と、微笑みかけるが、目が怖すぎる。
うまく答えろ、宝石だらけの令嬢!
内心エールを送る。
が、宝石だらけの令嬢は、恥じらうように答えた。
「もちろんですわ! 私、ルイス殿下のお美しいお顔が大好きです。…あ、でも、お顔だけじゃなくて、ルイス殿下御本人にも憧れてます。…フフ!」
顔をあからめる、宝石だらけの令嬢。
その瞬間、フィリップが殺気立った。
ああ…、終わったな…。
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